米国で熱波と干ばつの複合発生が「憂慮すべき」増加

Trees are ablaze from the Brattain Fire in the Fremont National Forest near Paisley, Oregon, U.S., September 19, 2020. REUTERS/Adrees Latif - RC212J98TFVQ
Results show that dry-hot extremes have increased in frequency across the western United States.Image: REUTERS/Adrees Latif
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  • 気候危機が深刻化するなか、米国では森林火災の発生頻度が一貫して高まっている。

  • こうした現象は、熱波や深刻な干ばつを含む、気候変動に起因するフィードバックループによって引き起こされている可能性が高い。

  • 2011年から2013年にかけて米国で発生したこうした複合現象のうち3件により、農業損失は600億ドルを超えた。

過去50年間に米国で熱波と干ばつの両方が発生する年の数が「憂慮すべき」ほど増加したのは、気候変動が原因だと研究は明らかにしている。

熱波と干ばつが同時に発生すると、作物生産、電力網の信頼性、山火事の規模や深刻さに「重大な影響」を及ぼす可能性があると、著者らは述べている。

この研究によると、米国の極端な乾燥・高温現象は「自己強化的」だ。つまり、気温が上がるほど干ばつが深刻になり、その逆も起きると、研究著者の一人はCarbon Briefに語る。また、こうした現象は「自己伝播的」で、地域から地域へ移動し得るという。

こうした状況が、近年の記録的な火災が米国西海岸で発生する「要因」になったと、同氏は付け加える。

高温と乾燥

気候変動が熱波のリスクに影響を及ぼしていることを示す多くの証拠がある。例えば、温暖化により、今年の記録的な北極圏の熱波が発生する可能性は600倍に高まり、昨年の欧州全域の熱波は最大100倍に高まったことが、研究で示されている。

気候変動が干ばつを悪化させていることを示す証拠もある。ただし、温暖化が世界の水分パターンに及ぼす影響はそれほど単純ではない。

『Science Advances』に掲載された新たな研究は、気候変動によって、1年のうちに熱波と干ばつが同時に起きる可能性がどのように変化したかを調べている。対象は米国本土に限られる。

この二つが重なる「乾燥・高温」の極端現象は、食料生産や生態系に特に大きな被害をもたらす可能性があると、研究著者でモジタバ・サデグ教授は説明する。同氏は気候極端現象を研究するボイシ州立大学の研究者で、Carbon Briefに次のように語った。

「干ばつと熱波の同時発生は、農業システムに最も大きな被害をもたらすストレス要因です。暑ければ灌漑により多くの水が必要になりますが、乾燥していれば、そのための水がありません。2011年から2013年に米国で起きた同様の現象3件により、農業損失は600億ドルを超えました。」

干ばつによる作物の不作、米国ネブラスカ州Image: Inga Spence / Alamy Stock Photo.

「乾燥・高温が重なる現象は森林にも大きな被害を与え、大規模な樹木の枯死を引き起こすことがあります。例えば、カリフォルニア州のシエラネバダ山脈で2014年から2017年にかけて観測された事例があります。」

かつてはまれだった乾燥・高温の極端現象が、米国の広い地域で頻繁になっていることが研究で分かったと同氏は述べ、さらにこう付け加える。

「さらに、干ばつと熱波の同時発生が憂慮すべき速さで空間的に拡大し、大陸規模の複合的な極端現象が起きる可能性を高めていることも示しました。」

灼熱に見舞われる州

研究者らは、乾燥・高温の極端現象の頻度、規模、発生場所が1896年から2017年にかけてどう変化したかを調べるため、米国全土の気候データを分析した。

研究では「乾燥・高温の極端現象」を、暑さと干ばつの両方が例外的に強い年と定義した。

以下の地図は、1943~1967年(左)、1968~1992年(中央)、1993~2017年(右)に米国で発生した乾燥・高温の極端現象の頻度を示している。

上段の3枚は「25年超の水準」に相当する乾燥・高温の極端現象の頻度を、中央の地図は「50年超の水準」の現象の頻度を、下段の地図は「75年超の水準」の現象の頻度を示す。

これらの水準は、深刻さが段階的に増す3つのレベルを表す。例えば、25年水準の乾燥・高温の極端現象では、自然な気候のもとでは25年に1度しか予想されない程度の暑さと干ばつが生じる。これに対し、75年水準の現象では、自然な気候のもとで75年に1度しか起きない程度の暑さと干ばつが生じる。

1943~1967年(左)、1968~1992年(中央)、1993~2017年(右)に米国で発生した乾燥・高温の極端現象の頻度。Image: Alizadehほか(2020年)。

オレンジ色と赤色の領域は、3つすべての深刻度レベルで、近年になるほど乾燥・高温の極端現象の頻度が全般的に増加していることを示す。

具体的には、再現期間が25年の乾燥・高温の極端現象が、米国西部、フロリダ州、北東部の東側、さらにミシガン州、ミネソタ州、ミシシッピ州、アラバマ州の一部で増加している。

1943~1967年には、米国の大半の地域で25年水準の乾燥・高温現象は1回だけだった。1968~1992年には1~3回に増え、1993~2017年にはさらに増加し、国内の一部では25年水準の現象が5年発生した。

研究によると、最も深刻な乾燥・高温の極端現象(再現期間75年)の増加は、太平洋岸北西部の沿岸地域、南カリフォルニア内陸部、フロリダ州、メイン州、テキサス州の複数地域で起きている。

フィードバックループ

研究者らは、観測された増加を引き起こした可能性のある要因も調べた。

サデグ氏によると、研究者らは、人為的な気候変動が、自然な気候変動ではなく、極端現象の増加をもたらした主な要因だと突き止めた。

「気候変動は、複数の極端現象が同時に起きる確率を体系的に高めてきました。乾燥・高温が重なる現象では、多くの地域で温暖化により熱波の頻度と規模が大幅に増加しました。そのため、気象学的な干ばつが起きる確率が高まっていなくても、両方の極端現象が同時に起きる確率は上昇します。」

分析によると、1930年代には、降雨不足が乾燥・高温の極端現象を引き起こす最も可能性の高い要因だった。例えば、米国中西部を襲った「ダストボウル」の干ばつがそれに当たる。

しかし、過去50年間で、最も可能性の高い引き金は極端な暑さに変わったと、サデグ氏は説明する。

「これは重要です。降水量が平年をわずかに下回る年でも、極端な暑さのために中程度から深刻な干ばつが起きることがあるからです。」

乾燥・高温の極端現象は「自己伝播的」で「自己強化的」になっていることも分かったと、サデグ氏は述べる。

「自己強化とは、干ばつと熱波が互いを強め合うことです。乾燥が進むと暑さが増し、暑さが増すとさらに乾燥します。自己伝播とは、乾燥と暑さがある地域から別の地域へ移動することを指します。」

干ばつと熱波が互いを強めるのは、陸地と大気のフィードバックが働くためだと、同氏は説明する。

例えば、干ばつによって土壌は乾燥する。土壌が乾燥すると、水分の蒸発による冷却効果が弱まるため、地表に届く熱をより多く吸収する。その結果、土壌の上の空気がより速く熱せられる。空気が高温になると水分の蒸発が増え、土壌はいっそう乾燥するとサデグ氏は説明する。

「この循環は、大規模な気象パターンによって断ち切られるまで続きます。」

火災を引き起こす「要因」

乾燥・高温の極端現象の増加は、別の懸念すべき気候フィードバックループにも関係している。

こうした状況は、大規模火災に理想的な条件を生み出す。最近、米国西海岸で見られた火災もその一例だと、サデグ氏は述べる。

「乾燥・高温現象は大規模火災の要因です。そこに風と着火源が加われば、巨大火災が確実に起きます。」

世界資源研究所によると、今年の米国の火災による炭素排出量は、平均の3倍に達している。世界資源研究所。

排出量が増えれば、乾燥・高温の極端現象も増える可能性が高く、それに伴い山火事のリスクもさらに高まると、サデグ氏は述べる。

「現在の温暖化傾向が続けば、将来はこうした災害がさらに増えるでしょう。」

研究結果は、米国西部で「火災が起きやすい気象条件」の可能性が高まることを示していると、ソニア・セネビラトネ教授も同意する。同氏は陸地と気候の相互作用を研究するチューリッヒ工科大学の研究者で、Carbon Briefに次のように語った。

「これは非常に時宜にかなった研究です。複合現象の研究は、気候研究において急速に注目を集めているテーマだからです。」

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