低炭素の未来に水力発電がもたらしうる影響

The Mooserboden water reservoir of Austrian hydropower energy producer Verbund in Austria
The Mooserboden water reservoir of Austrian hydropower energy producer Verbund in AustriaImage: REUTERS/Leonhard Foeger
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  • 水力発電は、発電における主要な再生可能エネルギー源です。

  • しかし、考慮すべき重大な生態学的・経済的影響があります。

  • ネイチャー・コンサーバンシーは、各国が河川流域の価値を最大限に引き出せるよう、「Hydropower by Design(設計による水力発電)」という新たなアプローチを考案しました。

低炭素の未来を実現し、気候変動という課題への取り組みを始めるには、世界は再生可能エネルギーへの投資を増やす必要があります。では、どうすればよいのでしょうか。完璧な発電システムはありません。また、地理的な広がりを伴う「グリーン」電力プロジェクトであっても、「エネルギーの拡散」と、それに伴う景観、河川、海洋への影響を抑えるため、慎重に管理しなければなりません。

水力発電は、再生可能エネルギーのインフラの立地が意図しない結果を招く可能性を示す、最も明確な例の一つです。ダムによる発電は現在、地球上で最大の再生可能エネルギー源であり、他のすべての再生可能エネルギーを合わせた約2倍の電力を供給しています。太陽光発電や風力発電の大幅な拡大が進んでも、世界の気候変動緩和目標の達成には、2040年までに水力発電の設備容量を少なくとも50%増やす必要があると、大半の予測は見込んでいます。

水力発電がもたらす影響

水力発電には大きな可能性がある一方、ダムを建設する際には、重大な経済的・生態学的影響を考慮する必要があります。たとえば、水の流れを妨げる障壁は、内陸漁業に特に大きな影響を及ぼします。水力発電の開発が見込まれる河川流域では、年間600万トンを超える魚が漁獲されています。適切な計画がなければ、こうしたプロジェクトは1億人を超える人々にとって、食料と収入を得るための重要な手段を脅かしかねません。

水力発電は、電力を生み出す主要な再生可能エネルギー源ですImage: 米国エネルギー情報局

各国が個別にダムを計画する場合、こうした影響が常に明らかになるとは限りません。アジア、ラテンアメリカ、サハラ以南のアフリカの多くの地域で、水力発電はエネルギー供給と経済発展の重要な源です。しかし、自由に流れる河川も、地域社会、地元経済、生態系の健全性に欠かせません。いくつかの推計によると、世界で現在進行中または計画中のダム建設をすべて緩和策なしに完了した場合、整備されるインフラによって、自由に流れる河川30万キロメートル(186,411マイル)が分断されます。これは地球を7周する長さに相当します。

「Hydropower by Design(設計による水力発電)」

水力発電を活用する、より良い方法があります。個々のプロジェクトごとではなく、河川流域全体の中でダムを捉えるシステム全体のアプローチを採用すれば、各プロジェクトの環境、社会、経済への影響をより的確に予測し、バランスを取りながら、地域社会のエネルギー需要も満たすことができます。ネイチャー・コンサーバンシーは、こうした計画手法を先駆けて開発しました。私たちが「Hydropower by Design(設計による水力発電)」と呼ぶこの手法は、各国が河川流域の価値を最大限に引き出せるよう支援するものです。

ダムは一基だけでも、河川流域の物理的な特性を変えます。流域全体にその影響が及べば、影響はさらに大きくなります。個別に計画された水力発電プロジェクトは、必要以上の環境破壊を引き起こすことが多いだけでなく、戦略的な可能性を最大限に発揮できず、将来の経済機会を制約することさえあります。

その結果、発電目標を達成したダムであっても、洪水調節、航行、水の貯留といった他の水管理サービスの長期的価値を最大限に高められないことがあります。私たちの調査によると、こうしたサービスは世界経済に年間推定7,700億ドルをもたらしています。したがって、ダムの可能性を最大限に引き出す設計を怠れば、大きなコストが生じます。

水力発電における規模の経済

これまで、一部の開発事業者は、この種の戦略的計画に消極的でした。遅延を招き、実施に費用がかかると考えていたためです。しかし、コンサーバンシーの最新報告書『The Power of Rivers: A Business Case』が示すように、環境、社会、経済のリスクを事前に考慮すれば、遅延や予算超過を抑え、訴訟の可能性も減らせます。さらに開発事業者や投資家にとって重要なのは、包括的またはシステム全体のアプローチを採用することで、ダム建設の規模の経済を活用できることです。

こうした計画がもたらす財務面と開発面の便益により、計画にかかる費用を回収できます。私たちの予測では、「Hydropower by Design(設計による水力発電)」の手法で立地を決めたプロジェクトは、エネルギー目標を達成し、平均収益率を高め、環境資源への悪影響を減らすことができます。今から2040年までに水力発電にほぼ2兆ドルの投資が見込まれるなか、より賢明な計画がもたらす便益は大きな価値を持ちます。

システム全体を対象とする水力発電の計画は、建設事業者にまったく新しい手順の採用を求めるものではありません。政府や開発事業者は、既存の計画・規制手続きに原則やツールを組み込むことができます。同様の原則は、風力、太陽光、その他の地理的な広がりが大きいエネルギー源にも適用されています。

低炭素の未来への移行を完了することは、おそらく現代における最重要課題であり、再生可能エネルギーの生産を拡大しなければ達成できません。水力発電については、より包括的なアプローチで慎重に計画すれば、分断されるはずだった約10万キロメートルの河川を守りながら、クリーンエネルギーに関する世界目標を達成できます。しかし、立ち止まって全体像を見なければ、ある問題を別の問題と取り替えるだけになってしまいます。

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