コンゴ東部のヴィルンガ国立公園では、警察と自然保護活動家が犯罪現場を調べるなか、密猟対策部隊の隊員が警戒に当たっている。切断されたゾウの死骸は、おぞましく、残念ながらあまりにも見慣れた光景だ。
一方、密猟された牙はすでにトラックでケニアのモンバサ港へ運ばれている。港の腐敗した職員は、東方へ出荷される茶葉のコンテナに隠された違法な積み荷を見て見ぬふりをする。シンガポールの仲介業者がコンテナを引き取り、最終目的地である中国へ向けた輸送の準備を整える。
殺害現場から何千キロも離れた中国の工場では、職人がゾウの牙を象牙の小物に加工し始める。こうした装飾品は、拡大し新たに豊かになった同国の中産階級から高く評価されている。
この一連の出来事は架空のものだが、象牙がたどる典型的な流通経路を表している。しかし、この流れは終わりを迎えようとしているのかもしれない。中国が象牙取引を段階的に縮小しているためだ。昨年12月、世界第2位の経済大国であり、世界最大の象牙市場でもある中国は、2017年3月31日までに象牙の商業加工と販売を停止し、登録業者も年末までにすべて廃業させると発表した。
この動きは、野生生物保護を大きく変えるものとして歓迎されている。
「血の象牙」取引
象牙の国際取引は1989年から禁止されているが、象牙の主要市場である中国や米国を含む多くの国では、国内での販売が引き続き認められていた。両国は国内の象牙市場を閉鎖することで合意した。
販売業者には象牙の年代や産地を証明することが求められたが、腐敗や偽造証明書によって、需要の拡大に伴い「血の象牙」取引が急増した。
象牙のおよそ70%は最終的に中国に流れ着き、非常に収益性の高いビジネスとなっている。密猟者には労働の対価として多額が支払われ、流通経路の先にいる者たちは、象牙が1ポンド当たり最大1,000ドルで売れることを知っている。密猟者にとって、これは密猟対策部隊に捕まる危険を冒すだけの価値がある。
アフリカゾウにとって、これは種の存続を脅かす最大の脅威だ。違法な象牙取引に供給する大規模な密猟により、年間約2万頭のゾウが命を落としている。密猟が現在のペースで続けば、世界最大の陸生哺乳類は絶滅しかねない。
そのため、中国が象牙取引を終わらせる動きは歓迎すべきニュースだ。初期の報告によると、この政策は効果を上げる可能性がある。最近の調査では、政策の結果、すでに象牙の価格が下落していることが分かった。
密猟の影響
密猟は何十年にもわたり世界各地で問題となっており、狙われるのはゾウだけではない。サイ、ゴリラ、トラも、収益性の高い取引で利益を得ようとする地元住民や、武装し組織化された密猟犯罪組織に密猟されている。
中国本土が常に流通経路の終着点とは限らない。香港、タイ、ベトナムも違法な野生生物取引の盛んな拠点となっている。
世界自然保護基金(WWF)の新たな報告書によると、世界遺産の45%が深刻な密猟被害を受けている。





