ケニアの農家を干ばつと貧困から救う木

Farmer Jonathan Kituku Mung’ala shows some of the food crops that can grow with the help of the shade of Melia volkensii trees at his farm in Kibwezi, southern Kenya, on February 5, 2019. Thomson Reuters Foundation/Kagondu Njagi
"This tree makes money for me all year round."Image: Thomson Reuters Foundation/Kagondu Njagi
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2000年、干ばつで作物が全滅するのではないかと心配した農家のジョナサン・キトゥク・ムンガラは、以前ケニアの電力会社に勤めていた頃、丈夫な在来樹種を育てて大きな収入を得ている農業関係の顧客たちに会ったことを思い出した。

地元でムカウと呼ばれるメリア・ボルケンシーは、乾燥地でもよく育つことで知られ、濃い木陰をつくって作物を日差しから守る。

ナイロビに拠点を置くケニア森林研究所(KEFRI)によると、農家はその木材を販売することで、1ヘクタール当たり300万ケニア・シリング(29,806ドル)を超える収入を得ることもできる。

気候変動が深刻化し、食用作物だけでは安定した収入を得るのが難しくなるなか、乾燥したケニアの一部地域では、畑で木を育てるアグロフォレストリーに取り組む農家が増えている。

彼らはメリア・ボルケンシーを作物と一緒に植えることが、農地と生計を守る最も簡単で効果的な方法の一つだと気づいた。

ムンガラは、ケニア南部キブウェジにある65ヘクタール(160エーカー)の農場に、メリア・ボルケンシーを100本植えることにした。当時63歳だった。

それから10年で、木は7,000本を超えた。

木陰が作物を強い日差しから守るだけでなく、夜に葉から落ちる露が土壌の乾燥を防ぎ、枝は暴風を和らげる役割を果たしていると、彼は話した。

また、必要なときにはいつでも、木材を売って収入を補える。

「学費が払えず、子どもたちが教育を受けられなくなる心配はありません。病気になっても医療を受けられないのではないかと不安になることもありません」と彼は話した。

「この木は一年中、私に収入をもたらしてくれます」

2019年2月5日、ケニア南部キブウェジの農場で、農家のジョナサン・キトゥク・ムンガラがメリア・ボルケンシーの木を確認している。Image: トムソン・ロイター財団/カゴンドゥ・ンジャギ。

土地をよみがえらせる

長引く干ばつに苦しむ地域社会にとって、メリア・ボルケンシーは「状況を一変させる存在」だと、KEFRIの研究者ジョセフィン・ムショキは話した。

乾燥期にも作物の生育を助けるだけでなく、異常気象や森林伐採で損なわれた土壌をよみがえらせることもできると、ムショキは語った。

葉が落ちて腐ると、土壌に重要な養分が戻る。

ケニア中部マリマンティの農家、43歳のローレンス・ギターリは、この木のおかげで村の土地に活気が戻ってきたと話す。

わずか10年前には、村人たちが炭を作るために木を伐採し、この地域の牧草地の大半が切り開かれていたという。

その結果、土壌浸食が起き、太陽の直射熱によって土壌を豊かにする生物の多くが死滅した。

「メリア・ボルケンシーがこの状況を変えています。木の葉が農地に落ちるようになってからわずか3年ほどで、劣化した土壌が再び肥沃になるのです」と、自身の農場にも数本を植えているギターリは話した。

2019年2月5日、ケニア南部キブウェジにあるジョナサン・キトゥク・ムンガラの農場で、作業員たちが草を束ねて運び出す準備をしている。Image: トムソン・ロイター財団/カゴンドゥ・ンジャギ

灌漑

しかし、農地の周りにこの木を植えるだけで裕福になれるわけではないと、キブウェジの農家ムンガラは話した。

メリア・ボルケンシーの栽培は簡単だが、適切な世話の仕方を知っている農家だけが、その恩恵を十分に受けられるという。

木を適切に育て、木材として販売できるよう幹をまっすぐに保つには、こまめな剪定が必要だ。

種は傷つきやすいため、殻から丁寧に取り出す方法も農家は学ぶ必要があると、ムンガラは付け加えた。

気候・大気浄化連合の共同議長で、短寿命気候汚染物質の削減を目指す国連主導の取り組みに携わるアリス・アキニ・カウディアは、木をうまく育てる方法を知っている農家であっても、乾季を乗り切るためにこの木に過度に頼ることには注意すべきだと話した。

カウディアは、メリア・ボルケンシーを育てる農家はいずれ灌漑を取り入れるよう勧めた。特にケニアの乾燥地域では、雨の遅れや不足で作物の収量が大幅に落ち込むことが多い。

金に困ったときに木材を売ることはできるかもしれないが、家族を養い、地域の人々に売るための作物も育てる必要があると彼女は指摘した。

「誰もがお金を持っていても、食べ物がなければ、人はお金を食べるのでしょうか」と彼女は問いかけた。

2019年2月5日、ケニア南部キブウェジの農場で、農家のジョナサン・キトゥク・ムンガラがメリア・ボルケンシーの苗木の育て方を実演している。Image: トムソン・ロイター財団/カゴンドゥ・ンジャギ

「この木がすべて」

ムンガラのメリア・ボルケンシーが成木になってからは、樹冠の木陰が作物を涼しく保ち、雨水を蓄えるのに役立つため、灌漑を使う必要が一度もなかった。

木陰が濃くなりすぎて、その下では作物が育たなくなることもあるという。しかし、そうした暗い場所でも、家畜の餌として売る草を育てて収入を得る方法がある。

ムンガラは1季節に100束の干し草を収穫できる量を育て、1束300シリングで販売している。

ムンガラはメリア・ボルケンシーの苗木をほかの農家に販売するほか、木材として自分の木の一部も売り、1メートル当たり8,000シリングを得ている。マツやイトスギなど、ほかの人気樹種の木材はその半額だという。

ムンガラはこの木の栽培で成功を収め、評判を築いてきた。その経験を生かし、ケニアやタンザニアの農家に教えている。

研修を通じて、キブウェジだけでもこの木を育てる農家を約60人知っていると彼は話し、沿岸地域一帯では最大4,000人に上ると推定した。

「木を見れば、お金が見えます。農地の草を見ても、お金が見えます。農家がほかに何を望むでしょう」とムンガラは問いかけた。「この木がすべてです」

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