2025年、カリフォルニア州のディアブロ・キャニオン発電所にある2基の原子炉のうち、2基目が停止される。地元では、この技術に批判的な人々が、究極の目標である「原子力のないカリフォルニア」の実現を喜ぶだろう。
同時に、同州は4基の原子炉の停止によって、年間の低炭素電力をより多く失うことになる。その量は、太陽光発電と風力発電が2016年に累計で生み出した電力量を上回る。
商業用原子炉は、米国で生産される電力の約5分の1を供給している。全米で、原子炉は深刻な収益性への脅威に直面し、それゆえ運転継続も脅かされている。原子力発電の苦境は比較的急速に訪れ、好転の兆しは見られない。
原子力発電の失速
わずか10年前まで、原子炉はドル箱だった。しかし、天然ガス価格の低迷と太陽光・風力発電の急拡大が重なり、電力価格が競争にさらされる州では、原子炉は競争力を失った。5基の原子力発電所が過去10年間に停止した。残る99基のうち、少なくともさらに12基が今後、閉鎖される可能性がある。
こうした状況を受け、複数の州が原子力発電所への補助に動いており、直近ではニュージャージー州がそうした措置を講じた。しかし、米国の原子力発電所は平均で37年を経ていることを考えると、こうした取り組みは一時しのぎにすぎないとも言える。
一方、米国で新たな原子炉を建設する取り組みは中止されたり、大幅な遅延やコスト超過に見舞われたりしている。予見できる将来に、この技術に猶予をもたらすような革新や政策変更は見当たらない。
私は同僚とともに、原子力技術の現在の見通しと今後の見込みを調査してきた。この10年間、業界では、苦境の原因は不運な経済情勢、連邦エネルギー政策の不適切な運営、厳しい規制、そして組織的な反対運動だというお決まりの主張が繰り返されてきた。私の見方では、こうした説明は、業界自身による破滅的な判断ミスを過小評価している。
もちろん、業界が嘆く要因はいずれも影響している。天然ガスと再生可能エネルギーのコストが高止まりしていたなら、原子力発電所の建設が小規模ながら再び活発化していた可能性は高い。
それでも、業界には根深い問題があると私は考える。低炭素エネルギーへの移行に貢献できると政策立案者を納得させられず、別の論拠に頼らざるを得ないこと、原子力分野のイノベーションに固有の難しさと費用、そして世論のイメージを改善できていないことだ。
方向転換の試み
業界が深刻な窮地に陥った今、再生に向けたさまざまな案が、業界内や議会で盛んに議論されている。私の見方では、歴史と経験に裏打ちされた控えめで慎重な議論に基づく案もある一方、根拠に乏しい案や不適切な案もある。
たとえば、原子力発電の推進派の一部は、多額の予算を確保するために国家安全保障を持ち出す。こうした推進派は、原子力技術や原子力発電所の輸出で中国とロシアが主導権を握る世界を懸念している。これを受け、一部のアナリストは、米国の民生用原子力産業の再生に国防総省が投資するよう提言している。
私の研究グループはこの主張の妥当性を詳しく検討したが、説得力に欠けると判断した。国防任務を果たすために設計された原子炉がもたらす規制上・経済上の課題に加え、米国の原子力産業を救う役割を国防総省に負わせることは、その任務や米国の公共生活における役割について、深刻な疑問を投げかける。
原子力発電の推進派は、新世代の原子力技術を商用化することも提案している。構想されているシステムは、現行の原子炉より小型で、安価で、あるいは安全性が高いという。しかし、原子力のイノベーションは、ほとんどの他の産業とは事情が異なる。新しい原子力発電システムの商用化には、およそ100億米ドルが必要であり、複雑な試験設備が求められ、原子力技術が機微な性質を持つため、その過程には間違いなく政府の関与が必要となる。
私たちの研究 によると、この分野のイノベーションを促す政府の取り組みは、これまで資金も焦点も不足してきた。連邦政府、あるいは極めて気前のよい投資家がその額の小切手を切ったとしても、成功の可能性は低いだろうと私は考えるようになった。
世論のイメージ
一方、この技術の支持者の一部は、原子力規制委員会の任務を変更し、原子炉の安全規制だけでなく、全米で新たな原子炉の建設を促進することにも重点を置くよう求めている。
私の見方では、この案は原子力技術の歴史と、世論のイメージをめぐる課題への深い無理解を露呈している。原子力発電は、他のエネルギー源にはない形で安全性への懸念にさらされることが、研究で示されている。数十年前から研究者たちは、原子力発電のリスクは未知で、差し迫り、制御不能であり、壊滅的な事態を招きかねないと人々が捉えるため、恐怖を呼び起こすと指摘してきた。
この恐怖の説明の一つは、原子力業界に関係するリスク情報の発信者への信頼の欠如だ。たとえば行政当局者や業界の科学者がそれに当たる。また、原子力事故が起きた場合の放射線被ばくと、それ自体が恐怖を引き起こす病気であるがんとの関係もある。
業界が過去50年間、この否定的な世論のイメージという課題を解決できていないことは、非常に憂慮すべきだ。新世代の原子力技術によって、人々の恐怖を現実的に和らげられるのだろうか。世論やリスクコミュニケーションに関する膨大な文献を調べても、この問いへの説得力ある答えは見つからなかった。
米国で原子力発電が失われれば、環境に重大な影響が及び、危険な温室効果ガスを無視できる水準まで抑えるという国の取り組みが遅れる。2017年、米国の原子力産業は二酸化炭素排出量を5億4,750万メートルトン削減し、太陽光と風力を合わせた発電量を上回る低炭素電力を供給した。
さらに、信頼できる低炭素電力源の必要性は今後ますます高まる。世界では今後数十年、排出量の大幅削減を目指す一方で、電化が進むと見込まれる。
私と同じく温室効果ガスの削減を重視する人々は、米国の原子力発電が崩壊の瀬戸際にあるように見えることを、深く懸念すべきだ。





