2016年は、さまざまな意味で歴史的な年でした。なかでも重要な出来事の一つは、気候変動に関するパリ協定が発効したことです。
しかし、テクノロジー業界の大物で慈善活動家でもあるビル・ゲイツは、気候問題を解決するには世界の排出量削減だけでは不十分だと主張します。「必要なのはエネルギーの奇跡です」と彼は言います。
そこで彼は、世界有数の富豪たちとともに、基金を立ち上げ、テクノロジーを活用した解決策への投資を目指しています。この基金は、気候変動の抑制に取り組む各国政府や研究機関、億万長者の投資家を結びつけます。
彼らが目標を達成する助けとなり得る、5つの技術革新を紹介します。
発電
原子力は二酸化炭素を排出せずに電力を生み出す方法だと、すでに知られています。しかし、真に安全で費用対効果の高い形で活用するには至っていません。とはいえ、解決策に近づいているのかもしれません。
カナダの企業ゼネラル・フュージョンは、商業的に採算の取れる核融合発電所を世界で初めて実現することを目指しています。
「核融合は温室効果ガスを一切排出せず、排気として放出するのはヘリウムだけです。また、他の再生可能エネルギー技術より必要な土地が少なくて済みます」と同社は述べています。「核融合エネルギーは本質的に安全で、炉心溶融事故の可能性はゼロ、長寿命の廃棄物もありません。さらに、地球に何億年もの間電力を供給できるだけの核融合燃料があります。」

輸送
輸送部門は、エネルギー関連の世界のCO2排出量の23%を占めます。一方、輸送需要は今後も増加する一方です。
電気など、車両を動かす代替手段はすでに見つかっています。しかし、広く普及させるには、より高効率のバッテリーと、充電技術が必要です。
サリー大学の研究者らは、この分野で科学上の飛躍的進展を遂げたと述べています。バッテリーに代わる新素材を発見し、既存の代替技術であるスーパーキャパシタより1,000~10,000倍高い性能を実証したといいます。
「この新技術により、電気自動車はガソリン車と同程度の距離を走行できる可能性があると考えられています。6~8時間に及ぶ長い充電休憩のために停車する必要はなく、一般的な自動車に給油する時間で満充電できます」と大学は述べています。
食料
世界の総排出量の約4分の1は、世界人口70億人を養うことに由来し、その一部は食肉の消費によるものです。「90億人分の肉を十分に生産する方法はありません」と、ビル・ゲイツは2013年のブログ投稿で述べました。
代替策の一つは、培養肉の生産を始め、本物のような見た目、味、食感の代替肉を作ることです。SFのように思えるかもしれませんが、企業も投資家も真剣に取り組んでいます。ビル・ゲイツもすでに支援する企業ビヨンド・ミートは、世界初の完全植物由来のミートバーガーを開発しました。主にエンドウ豆に含まれる植物性タンパク質から作られています。

製造
日々使う物を作ることは、気候に大きな負荷を与えています。排出量の約30%は産業に由来します。
しかし、こうしたCO2排出を大気中から取り除けるとしたらどうでしょうか。カーボン・エンジニアリングは、まさにその取り組みを進めるカナダの新興企業です。大気から二酸化炭素を直接回収し、それを燃料の生産に利用します。
同社によると、「直接空気回収は、土地面積1エーカー当たりで、樹木や植物よりはるかに多くのCO2を除去できます」。同社はすでにブリティッシュコロンビア州スクアミッシュで実証プラントを稼働させ、毎日1トンのCO2を大気から除去しています。

建物
建物からの温室効果ガス排出も大きな割合を占めます。自宅でも、オフィスでも、学校でも、病院でも、照明や電力、暖房、冷房が必要です。これらの排出量を合計すると、世界の排出量のほぼ20%に達します。
解決策の一つは、よりスマートな都市をつくることです。
これに取り組んでいるのが、サイドウォーク・ラボという企業です(Googleの親会社であるAlphabet Inc.の傘下)。デジタル技術を活用し、今日の都市が直面する差し迫った課題の解決を目指しています。現在進行中のプロジェクトの一つでは、都市内の交通の流れを調査し、混雑が集中する場所の問題をどう解決できるかを検討しています。これにより、都市の大気汚染を大幅に減らせる可能性があります。

Amazonのジェフ・ベゾス、アリババ・グループのジャック・マー、リチャード・ブランソンらが名を連ねるブレークスルー・エナジー連合(BEC)のメンバーは、今後20年間で新技術に10億ドル超を投資することを約束しました。





