サンドモーターはオランダ発の技術で、沿岸侵食の抑制に役立ちます。
気候危機による海面上昇のため、世界各地の沿岸地域社会が危険にさらされています。
世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2024』は、沿岸の脅威への適応に失敗するリスクを詳述しています。
気候危機による海面上昇は、世界各地の沿岸都市や町、村を水没させる恐れがあります。国連の試算によると、数千万人が、何世代にもわたり家族が暮らしてきた場所を離れざるを得なくなる可能性に直面しています。
こうした地域社会を守る最も効果的な方法は温室効果ガスの排出削減ですが、海面上昇の影響を和らげる革新的な解決策もあります。
そのような革新的な取り組みの一つが、「サンドモーター」です。リスクにさらされた海岸線で、砂浜の消失を抑え、さらには回復させるのに役立ちます。オランダは2011年、世界初のサンドモーターを建設しました。
サンドモーターとは何か、どのように機能するのか?
まず知っておきたいのは、これはモーターではないということです。エンジンも機械部品もありません。サンドモーターは、海水の動きと調和して機能する、自然を活用した沿岸侵食への対策です。
技術者は数百万トンの砂を使い、海岸線の一部を海に向かって延ばして人工の半島を造り、サンドモーターを形成します。海の波の力が「モーター」の役割を果たし、時間の経過とともに砂を海岸線に沿って運びます。その結果、砂浜は徐々に再生し、沿岸は侵食から守られます。
オランダで最初のサンドモーターが造られてから、現在までに13年が経ちました。海岸線は豊かさを取り戻し、高さ最大3メートルの新たな砂丘も形成されています。
サンドモーターはアフリカで消えゆく砂浜を救えるのか?
世界銀行のデータによると、西アフリカ諸国は毎年38億ドルの損失を被っています。その原因は沿岸侵食、洪水、汚染です。
影響を軽減するため、世界銀行はこの地域で複数の再生プロジェクトに資金を提供しています。これらのプロジェクトでは、オランダのサンドモーターの原則を採用するか、それに極めて近い形で再現しています。
ベナンの沿岸では、サンドモーターが砂浜を再生させています。侵食が漁業や観光に悪影響を及ぼしていた場所です。ベナンの一部では、海岸線が毎年最大13~14メートル後退しています。
オランダのエンジニアリング企業ボスカリスがベナンのサンドモーターを建設しました。海面上昇が続くなか、沿岸地域社会の未来を守ることが期待されています。
セネガルでは、沿岸地域の人々が砂浜の流出を防ぐため、突堤と呼ばれる潮流を遮る構造物を建設しています。突堤はサンドモーターとよく似た方法で、斜めに沖へと延びています。これらの構造物は、浜辺に沿って波が押し寄せる動きを遮り、海岸に30メートルを超える幅の砂を堆積させます。
世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2024』は、変化する気候の影響への適応が十分に速く進まない危険性を詳述しています。
報告書は、「適切なインフラの整備には長い時間がかかるため、急激に生じる地域的または局地的な変化への備えが難しくなる可能性がある」と述べています。「例えば、波のエネルギーの90%超を吸収するサンゴ礁の生態系が崩壊すれば、沿岸地域社会は高潮に対して脆弱になる恐れがある」としています。
報告書によると、サンドモーターのようなインフラの整備には時間と資金が必要で、遅れれば対策が間に合わない可能性があります。





