カメルーンの漁業者の生計は、プラスチック汚染と気候変動によって危機にさらされています。
Madiba & Natureは、再生プラスチックから手頃な価格の「エコボート」を作ることでこの問題の解決に取り組み、海岸からプラスチックごみを取り除くことにも貢献しています。
同社は、UpLinkのオーシャン・コホートに参加する12のイノベーションの一つで、海が直面する最大の課題に取り組んでいます。
世界の他の多くの地域と同様、アフリカも深刻化するプラスチック汚染の危機に直面しています。カメルーンでは、ある非営利企業が廃プラスチックの海への流出を防ぐとともに、生計の向上を支援し、全国各地の地域社会で起業家を鼓舞しています。
廃棄されたプラスチックボトルで作られるMadiba & Natureの「エコボート」は、漁業者を支援すると同時に、リサイクル業界で雇用を創出し、エコツーリズムを促進し、サーキュラーエコノミーへの認識を高めています。
今年初め、世界経済フォーラムのUpLinkプラットフォームは、Madiba & Natureが「オーシャン・コホート」のメンバーになったと発表しました。同コホートは、海が直面する最大の課題に取り組む12のイノベーションで構成されています。
Madiba & Natureの創設者兼代表であるイスマエル・エソメ・エボネ氏に、同社設立の着想、地域社会への影響、そして将来への希望について話を聞きました。
Q:Madiba & Natureはどのような活動をしているのですか。また、会社を立ち上げたきっかけは何ですか?
Madiba & Nature設立の背景には、漁業者の生計を守ると同時に、海洋プラスチック汚染の問題に取り組みたいという思いがありました。
回収したプラスチックごみを使って、支援を必要とする漁業者向けの「エコボート」を製作しています。ごみは海岸の清掃活動を通じて回収します。現在は「エコビン」を活用して事業を拡大し、カメルーンのドゥアラの一地区の海岸に、プラスチックごみを分別回収する初の仕組みを設置する計画です。
Q:カメルーンの漁業者は、なぜそれほど支援を必要としているのですか?
カメルーンの漁業は、気候変動全般の影響を受けており、特にプラスチック汚染の影響が深刻です。
海に面する巨大都市ドゥアラの人口は約500万人で、毎年60万トンのプラスチックごみが発生しています。そのうちリサイクルされるのは10%未満です。主な原因はごみの管理システムがないことで、ごみは海へ流れ込み、クリビの海岸や主要な漁場に打ち上げられます。
その結果、漁場の面積と収入が減少し、海洋生物と生態系が脅かされています。漁業者はさらに困窮し、高価な伝統的木造漁船を買えなくなります。そのため若者は都市へ向かい、ホームレスや失業者になることも少なくありません。
リサイクルや廃棄物管理の研修を受ける機会がなければ、村の人々はサーキュラーエコノミーがもたらす機会を生かせません。
Q:事業を立ち上げるまでに、どのような課題を乗り越える必要がありましたか?
まず、資金がないなか、変化を起こそうという決意だけで、組織でのボランティアを決めた若手エンジニア6人を鼓舞することができました。
学生や女性、地域住民数百人が毎週の海岸清掃活動に参加し、水辺と地域の清掃を行いながら、新しいリサイクル技術を学びました。
プロジェクトの初年度には、エコツーリズムを制度化し促進するため、ロンジの漁業者と女性たちの2つの団体を連携させることができました。
地域住民との協力と、組織を前進させるという私たちの決意により、エコツーリズムとエコボートの販売という、収入を生む2つの活動を多角化できました。
Q:これまで、Madiba & Natureは地域社会にどのような影響を与えてきましたか?
クリビ、ロンジ、ドゥアラの漁業に大きな影響を与えてきました。エコボート50隻が、漁業者や観光ガイド150人に利用されています。
廃棄物管理における分別回収の仕組みでは、Madiba & Natureは現在、エコビン150基を管理し、年間合計60トンのプラスチックごみを回収しています。2020年末までにエコビンをさらに50基追加し、合計200基で67トンのプラスチックごみを回収する予定です。
Madiba & Natureの能力開発・研修プログラムは現在、年間平均40人に影響を与えており、2020年末までに村の漁業者や女性50人に届けることを目指しています。
環境教育プログラムは中等学校15校と大学2校で実施され、年間およそ10万人の学生に影響を与えています。
Q:あなたのアイデアは、世界の他の国々でも再現できるでしょうか?
多くのアフリカ諸国が、同じ深刻なプラスチック汚染問題に直面しています。現在の人口増加と消費の急増を考えれば、こうした南半球の国々すべてに、廃棄物を持続可能な方法で管理する仕組みが必要なのは明らかです。
カメルーンで効果を上げている、エコビンを基盤とするプラスチックごみの分別回収の革新的な仕組みは、大陸の他の地域や国々にも導入できます。
多くのアフリカ諸国で、漁業は地域社会の主要な生業の一つです。支援を必要とする世帯が非常に多いため、手頃な価格で利用しやすく、維持管理も簡単なエコボートを、漁業とエコツーリズムの両方に活用できるよう、各国に広げることは理にかなっています。
Q:今後の展望について教えてください。5年後にはどうなっていたいですか?
今後3~5年間でエコボートの生産数を100隻にするという目標を踏まえると、5年後には組織として約460隻を生産し、約1,380人の漁業者がいる地域社会にサービスを提供することになります。カメルーン沿岸部のクリビ、ドゥアラ、リンベの3地域で活動する予定です。
今後5年間で市議会や市役所との提携計画を進めることができれば、Madiba & Natureは年間500基のエコビンを製造し、3都市で合計2,200基に増やせるでしょう。
これにより、地域社会で最大300トンのプラスチックごみを回収し、500万世帯に影響を与えることになります。
来年は毎年100人を研修することを目標としており、影響を受ける人は合計約450人になります。
Q:UpLinkとの連携は、貴社にどのような影響をもたらしましたか?
世界経済フォーラムのさまざまなチャンネルでプロジェクトが紹介され、認知度が高まりました。また、多くのボランティアから連絡を受け、ウェブサイトの設計や管理、マーケティングを支援してもらえるようになりました。
また、リサイクル用のプラスチック原料の買い手を探すため、ロンドンのボランティアとも話し合いを進めています。
Q:目標達成に必要なもので、現在不足している資源や支援は何ですか?
Madiba & Natureは現在、成長段階にあり、主な課題は資金調達です。特に社会的インパクトを目指すプロジェクトは、規模を拡大し、地域社会全体に活動を届けるために、十分な資源を必要とします。
川沿いの地域社会に届けるため、私たちには二つの使命があります。一つは新しいエコボートのモデルを普及させること、もう一つは廃棄物を管理することです。どちらも拡大するための資金が必要です。
さらに、チーム運営の能力を強化するための有資格人材や、プラスチックの処理・リサイクルを改善する設備の購入、地域社会の収入源の多角化を可能にする提携先も不足しています。
資金がなくても、まずは事業を始めるよう人々に伝えています。そうすることで勢いがつき、機会が訪れたときに備えられるからです。
私にとって事業の成功とは、Madiba & Natureの持続可能性を確保しながら、地域社会に本当の変化をもたらし、人々の暮らしに良い影響を与えることです。成功とは、気候変動への適応策と緩和策を生み出し、グリーン経済を活性化するとともに、カメルーンで支援を必要とする人々の雇用を創出することです。
世界経済フォーラムのUpLinkプラットフォームは、海洋とブルーエコノミーを保護、回復、支援する解決策を探しています。詳しくは、UpLinkをご覧ください。





