生物多様性と先住民文化が直面する「二重の絶滅」

A combination photo shows indigenous people from various tribes posing for pictures during a four-day pow wow in Piaracu village, in Xingu Indigenous Park, near Sao Jose do Xingu, Mato Grosso state, Brazil January 15, 2020 and on January 16, 2020. Pictures taken January 15, 2020 and January 16, 2020. REUTERS/Ricardo Moraes - RC2WHE951RZ5
There are an estimated 370-500 million indigenous people globally.Image: REUTERS/Ricardo Moraes
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  • 生物多様性と先住民文化は密接に結びついているが、「二重の絶滅」に直面している。

  • 先住民と伝統知識は、生物多様性の保全と持続可能な土地管理に重要な役割を果たすことが、研究で示されている。

種の消失速度は、およそ自然絶滅率の千倍に達している。これは人類史上、ほかのどの時代よりも速い。すべての生命が依存する重要なシステムである生態系は、世界各地で劣化している。

生物多様性の喪失という危機は、ようやく注目を集めるようになった。しかし、もう一つの喪失、すなわち先住民文化の喪失とのつながりは、ほとんど語られていない。動物から昆虫、植物に至るまで、生物多様性の喪失に効果的に対処するには、先住民文化の急速な消失にも取り組まなければならない。この二つは切り離せない関係にある。

先住民は何千年にもわたって生物多様性を守ってきた。何千もの作物品種や家畜品種、独自の景観を含め、世界の農業生物多様性の多くを生み出してきたのである。こうした営みは現在も多くの先住民の土地で続いており、現代の品種よりも環境変化に強いことが多い、新たな作物品種や家畜品種を生み出している。

そのため、先住民の土地では、自然の豊かな多様性が他の地域よりも緩やかな速度で減少しているのは驚くことではない。この事実は、世界の3億7,000万人から5億人の先住民が、生物多様性の保全に極めて重要な役割を担っていることを明確に示している。

ペルーのポテトパーク。Image: アダム・カービー

これは広範な研究によって裏付けられている。複数の研究によれば、伝統的な生態学的知識は、生物多様性の保全と、狩猟、野生植物の採集、漁業、農業、畜産の一形態である牧畜など、資源の持続可能な利用の管理に有効である。自然と調和して暮らすことは、先住民の中核的な価値観や信念の根幹をなしている。

中国南部から南北アメリカに至る先住民文化には、共通する生態学的価値観や世界観が見られる。たとえば、アンデスの人々の世界は、人間とその生活圏、野生の世界(種、生態系、水)、そして神聖なものと祖先の世界という三つに分けられる。経済発展を重視するのではなく、この三つの世界の均衡を通じて実現する、全人的な幸福を目指している。

中国・雲南省の石頭村に暮らすナシ族の女性。Image: イーチン・ソン

より大きな発言力

しかし世界各地で、近代化、商業開発の圧力、土地や資源に対する確かな権利の欠如、移住、文化教育の不足によって、先住民の文化や慣習が損なわれている。その結果、多くの人々が、独自の文化や知識体系、アイデンティティを絶滅から守ろうと苦闘している。彼らが今日の環境問題の多くを解決する鍵を握るという認識が高まりつつあるにもかかわらず、こうした状況にある。

生物多様性の最大80%は先住民の土地に存在し、世界の陸地の少なくとも4分の1は、伝統的に先住民が所有または管理している。こうした文化を保護する必要があるのは明らかだ。それは生物多様性を保全するための幅広い取り組みに不可欠な要素でなければならない。たとえば、新たな生物多様性目標には、先住民文化の保護を盛り込む必要がある。

しかし、ほとんどの生物多様性戦略や目標では、先住民の役割が十分に認識されていない。生物多様性条約の愛知目標18は、2010年に合意され、条約の実施に伝統知識と慣習的利用を全面的に組み込むよう求めているが、進展は限られている。憂慮すべきことに、2020年までの愛知生物多様性目標は、いずれも完全達成が見込めない。大きな進展が見られるのは一部にとどまり、その主な理由は、生物多様性の喪失を招く経済政策が続いていることにある。

ケニア沿岸部ラバイのミジケンダ文化村での集会。Image: クリスティナ・スウィデルスカ

生物文化遺産の領域

視点を変える必要がある。2005年、私が所属する持続可能な開発の研究機関IIEDとそのパートナーは、この二重の絶滅危機に対処するため、生物文化遺産の定義を策定した。ペルー、パナマ、ケニア、インド、中国の先住民11集団を対象とした私たちの研究では、先住民の知識、生物多様性、景観、文化的・精神的価値観、慣習法の間に、複数のつながりと相互依存関係があることが明らかになった。先住民の言語とともに、これらは生物文化遺産の重要な構成要素をなしている。

ペルーの領域であるポテトパークを考えてみよう。ここはケチュア族の五つの共同体から成る協会が共同で管理している。この公園は、生物文化遺産のアプローチによって、保全と開発に関する複数の目標を達成できることを示している。

ペルーのポテトパークで行われたジャガイモの日の祝祭。Image: クリスティナ・スウィデルスカ

ポテトパークでは、ケチュア文化と慣習法の復興、そして在来品種を取り戻すための国際ポテトセンターとの返還協定を通じて、ジャガイモの多様性が約650の在来品種へと3倍に増えた。

また、この取り組みによって、9,000ヘクタールにわたるアンデスの野生生物、作物の多様性、水も保全された。ジャガイモの多様化と科学者との共同研究により、深刻な気候変動の影響にもかかわらず収量が向上した。さらに、エコツーリズム、伝統料理のレストラン、ハーブティー、スキンクリーム、ジャガイモシャンプー、織物など、景観を基盤とする生物文化的な製品やサービスによって、収入は2倍になった。

この成功の鍵となったのは、NGOであるアソシアシオン・アンデスの支援を受けた、先住民主導のきわめて参加型のアプローチである。このアプローチによって、地域社会の強い主体意識と自立性が育まれた。

私の博士課程の研究では、ポテトパークのモデルを異なる状況に応用できるか、また、どのように応用できるかを探っている。インド北東部、ケニア沿岸部、中国南西部でのこの研究は、社会文化的、生態学的、政治的な状況が異なる地域にも、同様の生物文化遺産の領域を築くためにモデルを適応できることを示唆している。

中国・雲南省の石頭村では、中国農業政策研究センターと中国国家農民種子ネットワークの支援を受け、ナシ族の人々が独自の作物の多様性、文化、古くから続く段々畑の農業景観の復興に着手した。この取り組みには、伝統的な信仰の回復、地方政府との緊密な協力、そして中央集権的な政治体制のもとで共同管理の仕組みが生まれるよう支える創意工夫が必要となる。

中国・雲南省の石頭村。Image: クリスティナ・スウィデルスカ

今後の道筋

このことが示すのは、自然の豊かな多様性を守る取り組みは、先住民文化の保護に努めなければ実現できないということだ。各国政府は、先住民の領域、天然資源、伝統知識、自己決定権に関する権利を法的に認め、保護しなければならない。また、生物多様性を守る取り組みのあらゆる段階に、先住民が十分かつ実効的に参加できるようにしなければならない。

新たな世界的生物多様性目標が今年交渉される際には、これは特に重要となる。人類が自然と調和して生きるために不可欠であるだけでなく、国連の2030年持続可能な開発目標を達成するため、貧困に苦しみ、周縁化された先住民への支援を強化するうえでも欠かせない。

生命の多様性を存続させるには、生物多様性と先住民文化の喪失を招いている農業、鉱業、林業を含むすべての部門に、両者を守る対策を組み込まなければならない。

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