私たちは毎日汚染にさらされ、知らぬ間に命を脅かされています。自転車で通勤するとき、周囲の車の排気ガスを吸い込みます。水道水を飲むと、私はマイクロプラスチックを摂取しています。食事をすると、その生産に使われた微量の化学物質にもさらされている可能性があります。汚染は広く蔓延しており、私たちはそれを工業化の副産物として受け入れるようになってしまいました。健康と経済に及ぼす悪影響に、今こそ目を向けるときです。
先週、汚染と健康に関するランセット委員会は、画期的な報告書を発表し、汚染が現代世界における疾病と早期死亡の最大の環境要因であると指摘しました。同報告書によると、汚染が原因の疾病により、2015年には推定900万人が早期に死亡しました。これは世界の全死亡者の16%にあたります。その数は、エイズ、結核、マラリアによる死亡者数の合計の3倍です。あらゆる戦争やその他の暴力による死亡者数の15倍にのぼります。さらに、汚染による福祉損失は年間4.6兆米ドルを超えると推定され、世界の経済生産高の6.2%に相当します。最も深刻な被害を受けているのは貧しい国々で、汚染関連死の92%は低・中所得国で発生しています。子どもと高齢者が最も大きな影響を受けています。
これらの数字は衝撃的です。では、私たちに何ができるでしょうか。

イノベーションとデザイン
汚染を未然に防ぐうえで、デザインは極めて重要です。私たちが使う製品に使われる素材、家庭や乗り物を動かす燃料、食物の生育を助ける栄養素が関わっています。設計段階での判断は、目に見えない形であっても、いずれ私たち一人ひとりに影響を及ぼします。自然と調和する設計によって、汚染を防ぐことができます。あらゆる分野で実現可能です。ブラジル最大の有機サトウキビ生産者であるバルボ・グループを考えてみましょう。同社は生態系を再生し、収量を高め、自然そのものと同じように機能する産業型農業モデルを築きました。
また、フェアフォンもその一例です。現在は小規模ながら、製品のライフサイクルを長くし、修理を容易にするモジュール構造を実現しつつ、上流工程で廃棄物や有害性をなくす設計の好例です。こうしたアプローチは、実現可能であり、収益性もあることが証明されています。
汚染を緩和する対策
汚染の影響を最も強く受ける地域は、その管理に必要なインフラや法的枠組みが欠けている地域でもあります。汚染対策への投資は不可欠であり、プラスの効果をもたらします。ランセット委員会の報告書によると、米国では1970年以降、屋外大気汚染の抑制に投じられた1ドルにつき、健康が改善しただけでなく、経済的利益として30米ドルを生むと推定されています。これは650億ドルの投資に対して、総額1.5兆ドルの便益に相当します。特に途上国や中所得国で汚染対策の導入を支援するための資源は、十分な見返りをもたらすでしょう。

賢明な規制と監督
汚染の未知の影響から人々を守るには、賢明な規制が引き続き不可欠です。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』(1962年)は、第二次世界大戦後に広く使われるようになった強力な殺虫剤DDTがもたらす健康・環境上の危険を、鮮烈に警告しました。DDTは食物連鎖に入り、人間を含む動物の脂肪組織に蓄積し、がんや遺伝子損傷を引き起こすことが明らかになりました。これをきっかけに、1970年代の環境運動が勢いづき、重要な規制の導入につながりました。
ランセット委員会の報告書は、1950年代以降、およそ14万種の新たな化学物質や農薬が合成されたと指摘しています。生産量が特に多い5,000種のうち、安全性や毒性の試験を受けたものは半数にも満たしません。新たな化学物質の厳格な市販前評価が義務化されたのは、ここ10年ほどのことであり、しかも一部の高所得国に限られると報告書は述べています。これは懸念すべきことです。化学物質や農薬が食べ物、水、空気に入り込む前に、その影響を監視し、より深く理解するための予防的な取り組みが必要です。
官民連携の取り組みが鍵
政府機関と民間部門の連携は、汚染を発生源で防ぐクリーン技術の開発を拡大し、加速させるうえで不可欠です。再生可能エネルギー部門の成功は、その好例です。政府の強力な政策と再生可能エネルギーへの移行に対する取り組みが、技術革新を促し、コストを急速に引き下げてきました。その結果、現在、太陽光パネルによる電力のコストは2009年のほぼ4分の1です。多くの市場で他の電源と競争できる価格になり、一部では従来型の電源より安くなっています。アナリストは、石炭火力発電所の建設が急速に進む中国やインドのような国でも、早ければ2020年代初頭に太陽光発電がより安価な電力を供給し始めると予測しています。
連携は、浄化の取り組みを迅速に進めるうえでも役立ちます。オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書は、30年前に締結され、オゾン層を破壊すると知られる化学物質を段階的に廃止するために、政府と企業が協力した好例です。現在、197か国がこの議定書に参加しています。これにより、オゾン層を破壊する約100種類の化学物質のうち99%が段階的に廃止されました。このアプローチは他の分野にも応用できます。
一人ひとりの選択
私たちは一人ひとり、日々選択をしています。車で通勤することも、自転車で通勤することもできます。再利用できるコーヒーマグを持ち歩くことも、毎朝プラスチック製の使い捨てカップを捨てることもできます。買う食品や服について、疑問を投げかけることもできます。個人の行動としては些細に思えるかもしれませんが、集団として取り組めば大きな影響をもたらします。よりクリーンな製品の市場を拡大し、汚染の原因になるとわかっているものへの需要を減らせます。こうした個人の選択は重要であり、広く大きな影響を及ぼします。
2017年12月、国連環境総会は世界各地の環境大臣や関係者を集め、陸地、水域、海洋、大気の汚染に対する世界的な解決策を話し合います。これは指導者たちにとって重要な会合ですが、私たち一人ひとりも行動を起こし、#beatpollutionに参加できます。





