自然と生物多様性の保全に取り組む世界の都市

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  • 都市は、増加する人口への対応と都市の生物多様性の保全との両立に苦慮しています。

  • サンフランシスコやダーバンをはじめとする世界の都市は、生息地を守るための取り組みを強化しています。

  • フォーラムは「Nature-Positive Cities」イニシアチブを通じて、野心的な自然目標の策定を支援し、必要な投資を呼び込むことで自然再生を加速させています。

地球上のあらゆる地域で野生生物と生物多様性が脅威にさらされ、種が憂慮すべき速さで姿を消しています。

WWFの2024年報告書は、世界の野生生物個体群の平均規模が73%減少したと指摘しています。対象期間は過去50年間です。報告書は、自然生息地の喪失と劣化を、この減少の主な要因に挙げています。

世界が急速に都市化するなかで、生物多様性はこうした脅威に直面しています。都市環境で自然と野生生物が繁栄できる機会を提供することが、都市にとって課題となっています。

世界経済フォーラムは、民間セクターや市民社会の関係者とともに、都市当局と連携し、都市における自然再生を加速させています。「Nature-Positive Cities」イニシアチブから得た知見を基盤に、フォーラムの自然・気候センターと都市変革センターが連携して取り組むとともに、「Davos Baukultur Alliance」の活動も拡大しています。その活動は、都市の自然保全へのコミットメントを、都市コミュニティの生活の質を高める、投資可能で拡張性のあるプロジェクトへと具体化する支援に、ますます重点を置いています。

フォーラムのパートナー都市5都市が、生息地と自然を保護・再生するために進めている取り組みを紹介します。これらの事例は、現在、世界各地の都市レベルでの自然保全策にも活かされています。

バランキージャ、生物多様性と成長の両立

熱帯乾燥林とマングローブに囲まれたコロンビアのバランキージャは、自然と結びついた都市の特性を生かしながら、持続可能な未来を築く方法を示しています。

豊かな生物多様性を有するこの沿岸都市は、洪水リスクの高まり、海岸侵食、都市の水域の劣化、産業による大気汚染、不十分な廃棄物管理システムなど、深刻化する環境課題に直面しています。

エコツーリズムがバランキージャの湿地帯をどのように変貌させたか
エコツーリズムがバランキージャの湿地帯をどのように変貌させたか
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バランキージャは20年近くにわたり、都市開発と環境保全の両立を目指す野心的な戦略を進めてきました。自然を活用した解決策が今や都市の変革を牽引し、生物多様性の保全、循環経済の原則、再生可能エネルギーの導入、気候レジリエンスが戦略の基盤となっています。

バランキージャは、自然にプラスの影響をもたらす開発が未来への約束ではなく、今日、私たちが築いている現実であることを証明しています。沿岸生態系を再生し、コミュニティに力を与え、包摂的でレジリエントな成長が可能であることを示しています。

—アレハンドロ・チャル・チャルフ、バランキージャ市長、コロンビア共和国

アレハンドロ・チャル・チャルフ、バランキージャ市長、コロンビア共和国

この進展の中核にあるのは、緑地の再生、水域の復元、再生可能エネルギーインフラを対象とする3億8,000万ドルの投資プログラムです。主な取り組みには、バイオガスプラント、太陽光発電を利用した公共照明システム、非公式なリサイクル従事者を正式な廃棄物管理経済に組み込むプログラムがあります。

市の包括的な取り組みには、海岸線を守る緑の回廊や、洪水防止のための全長70キロメートルを超える水路化された小川が含まれます。自然と調和したこのインフラは、都市開発が環境の持続可能性を損なうのではなく、高められることを示しています。

バランキージャの都市緑化戦略により、180万平方メートルを超える緑地が再生され、世帯の93%が徒歩8分以内で自然エリアにアクセスできるようになりました。劣化した空間を再生し、人と環境のつながりを強めることで、同市はラテンアメリカ全域で応用可能な持続可能な都市開発モデルを確立しました。

フォーラムの「Nature Positive Transitions」報告書に掲載されたバランキージャの事例では、同市の取り組みや投資プログラム、同様の成果を目指す他の都市地域への教訓を包括的に紹介しています。

世界経済フォーラムは、世界各地の都市やコミュニティの発展をどのように支援しているのでしょうか。

都市変革センターは、都市の未来を形作る課題や機会への理解を深めるため、都市のリーダー、企業、政府を結びつけています。

相互学習と協働を通じて、同センターは都市間の知見の共有を促し、共通の理解を実践的でレジリエントな都市の解決策へとつなげます。

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ベレン、水路を再生する

ブラジルのベレン・ド・パラーは、第30回国連気候変動会議(COP30)の開催地であり、周囲の自然によって特徴づけられるもう一つの都市です。「川の中の都市」と呼ばれることもあり、150万人の住民は周辺の水路と文化的、経済的に深く結びついています。

ベレンは最近、Davos Baukultur Allianceの新たな先駆的地域に認定され、自然にプラスの影響をもたらし、人を中心に据えた都市開発の実証の場として位置づけられました。

これまで、河岸や流域の土地における都市開発は、人工構造物の整備や埋め立てによって進められてきました。その結果、洪水リスクが高まり、インフラの見直しとコミュニティの参画促進が、ベレンの都市計画の中心課題となっています。

地方政府は連邦政府および国際機関と連携し、ウォーターフロントと流域を再生する2つのプロジェクトに取り組んでいます。水質を回復させ、市民の70%超の生活水準を向上させることが目的です。

マタフォメ流域総合排水計画は、インフラ整備、住宅の建て替え、環境再生の3つを柱としています。これらを連携させ、水路を直線化したり川床を舗装したりせずに、流域の自然再生と総合的な排水対策を進めます。ベレンは国の支援を受けてプロジェクトの実施を監督しています。

一方、イガラペ・サン・ジョアキン・マスタープランに基づくコミュニティ都市アグロフォレストリーパークは、アマゾン地域の人々と川との関係を重視し、河川の自然再生に取り組んでいます。コミュニティの交流拠点であり自然保護区でもある空間をつくり、人々と都市河川との有意義な関わりを促します。

こうしたプロジェクトの成功には、行政、民間、コミュニティの強固な連携が欠かせません。ベレンの取り組みは、都市流域の再生が環境リスクを軽減し、市民の社会経済状況を改善する大きな力となることを示しています。

ダーバンが直面する開発課題

南アフリカの都市ダーバンは、森林、サバンナ、インド洋沿岸地域を擁する世界的な生物多様性ホットスポットに位置しています。フォーラムの「Nature Positive Cities」報告書によると、この豊かで多様な景観には、植物2,267種、鳥類526種、固有の無脊椎動物25種、爬虫類69種、両生類37種、哺乳類80種の生息地があります。

ダーバンの生物多様性に対する最大の脅威は、急速な、そしてしばしば非公式な都市開発です。

人口が増加するダーバンでは、非公式な開発によって自然が危険にさらされています。Image: 世界経済フォーラム

人口410万人のこの都市では、住宅44万戸が不足しています。この深刻な住宅不足が非公式居住地の建設を促し、自然が生息地の喪失や劣化に脆弱な地域に建設されることも少なくありません。

ダーバン市当局は、市内と周辺地域の自然を保護するため、複数の取り組みを実施しています。

ダーバン都市圏オープンスペースシステムは、生物多様性の価値が高い陸地と水域9万5,000ヘクタールの保全を目指し、生息地破壊に対処する主要な手段となっています。

変革的河川管理プログラムは、ダーバンの都市河川を市の適応計画の中核に据えています。自然を活用した解決策と生態系インフラを優先する、10~15年の取り組みです。自治体の各部局、政府機関、民間セクターなど、複数の関係者間で効果的な連携を築くことを目指しています。

こうした関係者間の協働は、自然にプラスの影響をもたらす取り組みを可能にする環境を形作る6つの柱を示す、フォーラムの「Nature-Positive Cities」アプローチの中核です。

仁川の緑のビジョン

歴史ある韓国の港湾都市、仁川は、独自の課題に直面しています。

同国で人口が3番目に多いこの都市は、輸入の主要拠点として長い歴史を持つ漢江の河口に位置しています。そのため、産業が盛んな都市へと発展しました。

同時に、地域の文化や魚介類を中心とする食文化と重要な結びつきを持つ水路は、産業化による脅威にさらされています。微細粉じんの堆積、洪水リスク、水管理の難しさなどがその例です。

国レベルで自然にプラスの影響をもたらす取り組みへの強力な支援があるなか、仁川市は自然環境保全行動計画を策定、採択しました。

この計画は、保護地域の拡大、野生生物保護の強化、自然生態系の管理を目指します。強固なガバナンス体制を整え、官民の参画を促す政策を導入するとともに、自然教育プログラムを通じて、市内全域で生物多様性への理解と管理を促進します。

仁川は、シベリアからオーストラリアに至る18カ国で、脆弱または準絶滅危惧の渡り鳥の生息地を保護する東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップにも参加しています。

仁川の統合的なアプローチは、人口密度の高い産業拠点でも、地域に根ざした自然を活用した解決策を導入し、生物多様性を守りながら経済成長を維持できることを示しています。強力な地域ガバナンスと自然を重視した計画が、急成長する都市における将来の投資や実施の道筋を支えうることを示しています。

サンフランシスコの生物多様性を守る

サンフランシスコは進歩の代名詞です。世界のデジタル革命の中心地、シリコンバレーを擁しています。同市のテクノロジー産業の急成長は労働力の拡大を必要とし、それに伴って住宅需要が急増しています。それが自然と生物多様性に影響を及ぼしています。

サンフランシスコでは活況を呈するテクノロジー産業が、住宅需要を押し上げています。Image: 世界経済フォーラム

サンフランシスコの市街地は、海岸沿いの低木地帯、砂丘、オーク林など、脆弱な生態系に隣接しています。広大な淡水湿地もあります。こうした生息地には、希少種や絶滅危惧種の動植物が生息しています。

サンフランシスコが抱える主な課題の一つは、これらの生態系を調整して管理する体制が整っていないことです。多くが手つかずのままであり、保全や管理へのコミュニティの参画も不足しています。

手頃な価格の住宅への膨大な需要も生物多様性への脅威です。都市の自然環境の保護や再生より、住宅が優先される可能性があるためです。

フォーラムの報告書は、市当局に対し、「省庁横断の解決策の実施を優先し、調整するとともに、すべての取り組みをあらゆる関係者が利用できるようにする」ことを提言しています。

さらなる改善策として、「市の自然に特化した解決策を特定し、実施するための正式な自然行動計画」の導入が挙げられています。

人口密度の高い都市コミュニティで人々が利用できるコミュニティガーデンの整備や、学校での生物多様性カリキュラムの導入も、主な提言です。サンフランシスコの経験は、今日、多くの都市主導の自然保全へのコミットメントを特徴づける、自然に関する計画の調整とコミュニティの参画の重要性を浮き彫りにしています。

都市とインフラにおいて自然を最優先に考えている、刺激的な3つの場所
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自然と共に生きる

これらの都市が示すように、都市開発と生物多様性の保全が抱える課題は複雑に絡み合っています。しかし、革新的な発想、協働、自然にプラスの影響をもたらす解決策への取り組みによって、人と自然の双方が繁栄できる都市環境をつくることが可能であることも、これらの事例は示しています。Davos Baukultur Allianceを通じて、フォーラムの「Nature-Positive Cities」の取り組みは、自然と一体化した都市開発の世界的な基盤を形作っています。人々と生態系が共に繁栄できるよう、連携、投資、イノベーションを促進しています。

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