ダボス2025:自然と気候に関する主なポイント

Former U.S. Vice-President Al Gore, Spanish Prime Minister Pedro Sanchez and Bangladesh's interim leader Muhammad Yunus attend the 55th annual World Economic Forum (WEF) meeting in Davos, Switzerland, January 22, 2025. REUTERS/Yves Herman; climate change
Several important climate change and nature initiatives were announced at the World Economic Forum's Annual Meeting 2025 at Davos.Image: REUTERS/Yves Herman
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  • 気候変動はすでに、自然生態系だけでなく、世界各地の地域社会、雇用、財産にも、現実的かつ深刻な影響を及ぼしています。

  • 企業や地域社会は、気候変動に加え、地政学的緊張や技術的混乱から生じる複雑な課題に対処するため、レジリエンスと機動力を高める必要があります。

  • しかし、希望を持てることは数多くあると、世界経済フォーラム自然・気候センター長のジム・フイ・ネオは述べています。年次総会2025での気候関連イニシアチブの進展を振り返ります。

希望と可能性。今年の世界経済フォーラム年次総会では、企業や政界のリーダーに加え、上級専門家や学識者との会話を通じて、こうした思いが力強く浮かび上がりました。

会議に臨むにあたり、私たちは、世界が気候変動の現実的で深刻な影響を現在受けているという厳しい現実に直面していました。昨年(2024年)は、過去最高の暑さを記録した年で、過去10万年間で最も暑い年となりました。一方、世界のサンゴ礁の70~80%が白化し、ほかにも多くの自然生態系が崩壊の瀬戸際にあります。会議直前の日々に最も激しさを増したカリフォルニア州ロサンゼルスの山火事は、気候変動に起因する異常気象が地域社会や雇用、財産にもたらす壊滅的な被害を、痛ましい形で改めて示しました。

こうした状況の中、企業は、地政学的緊張や技術的混乱、気候変動が従業員、資産、サプライチェーンに及ぼす影響から生じる不確実性と複雑さに対処するため、レジリエンスと機動力をどう高めるべきか、模索しています。同時に、事業の成長と利益を確保し続け、人々と地球のための長期戦略にも取り組まなければなりません。

気候変動対策への楽観的な見方

年次総会初日、米国のドナルド・トランプ大統領が大統領令に署名し、気候変動に関するパリ協定から米国を離脱させようとしたことは、誰の目にも明らかでした。それなのに、会議後の私はなぜ楽観的な気持ちなのでしょうか。

第一に、今年のダボスでは、気候と自然に関する重要なイニシアチブがいくつも発表され、目標を絞った行動志向のパートナーシップで大きな進展が示されました。これは、すでに始まっている気候と自然をめぐる前向きで止められない機運を裏付けています。

第二に、科学者、思想的リーダー、業界の専門家が、地球の現状や、リスクを効果的に軽減し、将来の機会に投資するために必要な行動を、より明確に示しています。第三に、データとテクノロジーを活用し、持続可能性に向けた新たな事業やビジネスモデルを取り入れる企業は、人材を引き付け、長期的な競争優位を築くうえで、はるかに有利な立場にあるとの認識と証拠が広がっています。

今年の年次総会で最も期待を集めた発表の一つは、キブ・キンシャサ・グリーン回廊の創設でした。このイニシアチブは、コンゴ盆地の全域にわたる54万平方キロメートルの土地の再生と保護を目指しています。コンゴの人々の雇用と地域支援を生み出し、持続可能な観光と農業、クリーンエネルギーを基盤とする経済を促進します。

フランスと同じ広さを持つこの熱帯自然保護区は、地球の大きな肺の一つです。ここは今、世界最大の地域住民主体の保護区となる見込みです。生物多様性の宝庫であるこの地には、1万種の鳥類や、多くの象徴的な動物種、絶滅危惧種が生息し、年間15億トンのCO2を吸収します。

この地域には保護区としての地位が与えられ、アフリカ最古の国立公園、ヴィルンガと、同公園周辺で環境に配慮した経済活動を促進するため12年前に設立されたヴィルンガ・アライアンスの成功を土台とします。コンゴ民主共和国のフェリックス=アントワーヌ・チセケディ・チロンボ大統領が、発足式でグリーン回廊は「グリーン開発を求める地域における透明性、ガバナンス、公正な競争のモデルとなる」と述べた言葉に、私は心を動かされました。

年次総会2025では、プラスチック汚染対策も大きく前進しました。フォーラムは、世界最大のマルチステークホルダー型プラスチック汚染対策イニシアチブである「グローバル・プラスチック・アクション・パートナーシップ(GPAP)」を支援しています。現在、25の政府と25のパートナーシップを結んでおり、すべての政府が地域のプラスチック汚染問題に取り組む目標を設定しています。その多くは2025年または2030年を期限としています。各政府は企業や市民社会と緊密に協力し、GPAPのプラットフォームを通じて優れた取り組みを共有します。

GPAPはプラスチック汚染対策における最大の取り組みとなる
GPAPはプラスチック汚染対策における最大の取り組みとなる
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これと並行して、年次総会では、企業がサステナビリティに取り組む過程で直面する課題への具体的な進展も見られました。特にファースト・ムーバーズ・コアリションは、グリーン移行を支える政策や協力の分野をどう強化できるかを検討しました。これには、グリーンテクノロジーに投資する企業の許認可手続きを政府が短縮するために取れる措置も含まれます。

もう一つの注目点は、タイ政府が、農家、貿易業者、ブランド、流通業者を後押しし、持続可能な食料生産の供給を拡大すると発表したことです。特に、タイが世界有数の輸出国である低メタン米に重点を置きます。

グリーン移行の道筋を見つける

細部が重要です。グリーン移行の先駆者にとって、志を現実に変えるには、慎重な計画と実行が欠かせません。また、機動力を保ち、問題が生じた際に解決できる備えを整えながら、より長期的な目的と目標に集中し続けることも必要です。

フォーラムがポツダム気候影響研究所(PIK)およびCDPと共同で最近実施した、地球システムの健全性と、自然・気候問題に取り組む企業の行動状況に関する調査によると、企業の10%だけが、気候と自然に関する目標で具体的かつ意義ある進展を遂げています。年次総会で目の当たりにした熱意と決意を踏まえれば、この割合は伸びると楽観しています。今後、新たなグリーン移行の道筋に関する成功事例をさらに聞けることを楽しみにしています。

私たちは今、気候変動の影響が大規模に広がる様子を目の当たりにしており、ダボスで最も強く共有された見方は、これは始まりにすぎないというものでした。会議では、人々、健康、食料・水の安全保障の相互連関と相互依存に加え、包摂、公正、保険空白地帯の拡大する脅威、金融システムへのリスクといった問題も取り上げられました。

重点分野の一つは、テクノロジーの活用拡大でした。特に参加者は、人工知能、センサー、衛星、機械学習が、排出削減や自然の再生・保全の取り組みを進める企業や地域社会を、異常気象への対応やレジリエンスの強化とともに、どう支援できるかを検討しました。

私にとって特に印象的だったのは、アル・ゴア元米副大統領によるClimate Traceについての発表でした。Climate Traceは、過去5年間に100を超える組織と専門家が協力し、あらゆる産業と地域における炭素排出の監視・管理に役立つ、アクセスしやすく無料で利用できる、タイムリーで高品質かつ包括的なデータを提供する取り組みです。この画期的なイニシアチブにより、政府や企業は、汚染をなくし人々の健康をよりよく守るため、より迅速かつ的を絞った対応を取ることができます。

地球を守るための協働

会議では、最先端の気候科学と、地球を守る先住民コミュニティや市民社会組織の知恵との連携が深まっていることも示されました。その結果、地域の状況に合わせた解決策が生まれつつあり、地域社会、政策立案者、企業に、自然との調和を取り戻すための指針を提供するとともに、地域社会に機会をもたらしています。

年次総会2025は、初開催となる地球のための行動を広げる資金(GAEA)賞で幕を閉じました。この授賞式では科学、イノベーション、ビジネス、分野横断的なパートナーシップ、世代間のリーダーシップの各部門で、画期的な5つのイニシアチブが表彰されました。これらの取り組みは、それぞれ異なる方法で、人々と地球のためのシステム変革を推進しています。GAEA賞の受賞者の皆さんにお祝いを申し上げます。彼らの活躍は、すべての人に機会のあるより良い未来を築けるという希望を私に与えてくれます。

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