マイクロプラスチックとナノプラスチックによる汚染が環境を脅かしている。どう対応すべきか?

Volunteers show the plastics, after a garbage collection, ahead of World Environment Day on La Costilla Beach, on the coast of the Atlantic Ocean in Rota, Spain June 2, 2018. REUTERS/Jon Nazca - RC1FD6A855F0
In 2017, one dump truck of plastic waste entered our oceans every minuteImage: REUTERS/Jon Nazca
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電気絶縁材として使われた初の量産プラスチック、ベークライトが1907年に開発されたことで、合成ポリマーへの依存が始まりました。ベークライトは耐久性と耐熱性に優れ、さまざまな形に成形できました。こうした特性を背景に、費用対効果の高い多様な合成ポリマーが開発され、技術、医療、食品の流通・保存に大きな進歩をもたらしました。

これまでのプラスチック総生産量は83億メトリックトンに達しています。その大半は今も環境中に残っています。年間に生産されるプラスチックの91%はリサイクルされていません。廃棄物処分場や海洋に流れ着いています。2017年には、毎分平均してごみ収集車1台分のプラスチック廃棄物が海洋に投棄されており、この量は今後数年で増加すると予想されています。

プラスチックに依存することが環境に及ぼす影響は世界各地で明らかになっており、深刻な健康・環境上の懸念につながっています。調査によると、世界各地で検査された水道水サンプルの83%がプラスチックの微粒子に汚染されていました。マイクロプラスチックは、ボトル入り飲料水の93%からも検出され、土壌や、さらには人体からも見つかっています。パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)など、人為起源の有機化合物も人の血液から検出されています。

2018年1月、欧州連合(EU)は、プラスチックの循環型経済を促進する初の戦略に署名しました。同戦略は、2018年後半にナノプラスチックおよびマイクロプラスチックによる汚染に関するレビューを公表する予定です。国連や各国のプラスチック関連団体も同様の戦略を提案しています。効果的なリサイクル制度、プラスチック生産の脱化石燃料化を目指した代替原料の活用、使い捨てプラスチック製品の慎重な規制を通じて、プラスチック廃棄物の削減を目指すものです。

プラスチック廃棄物が世界に及ぼす影響への認識は高まっていますが、その貴重な特性から、プラスチックへの依存が変わる可能性は低いでしょう。そのため、近年は生分解性プラスチックの研究が進み、多くの企業が堆肥化可能または分解可能なプラスチック製品を宣伝しています。

残念ながら、こうした製品の多くは特定の環境でしか分解されません。また、その分解によって、マイクロプラスチックの影響が示すように、環境に同じくらい深刻な脅威をもたらす廃棄物が生じることもあります。消費者は有害な汚染を減らせると期待してこうした製品を進んで購入し、支持していますが、実際にはほとんど、あるいはまったく効果がありません。このことから、「生分解性」と分類したり宣伝したりできるものについて、政策上の規制が必要だと考えられます。

さまざまなバイオ原料から作られた分解性プラスチック、いわゆるバイオプラスチックが開発されています。キャッサバや海藻などを原料としているため、安全かつ完全に分解されます。食べられる原料から作られた食器についても同様の報告があり、こうした素材を大規模に生産できるのか疑問が生じています。特に、2018年の国連「世界食料危機報告書」は、1億2,400万人が食料不安に直面していると推計しています。

こうした素材に代わる有望なものとして、Newlight Technologiesが開発したAirCarbonがあります。同社は回収した炭素排出物からバイオプラスチックを製造しています。この方法では、炭素を含む温室効果ガスから自然由来のバイオポリマーを生産し、化石燃料由来の合成ポリマーをバイオ由来の代替品に置き換えるとともに、プロセス全体で温室効果ガスを削減し、炭素を差し引きで吸収します。Newlight Technologiesは、さまざまな市場分野で製品を発売する準備を進めており、温室効果ガスを活用して実用的な素材を大規模に生産できるという期待をもたらしています。

合成ポリマーに代わる持続可能で生分解性の素材の開発が進んでいるとはいえ、私たちはなお問いかける必要があります。生態系に存在する数百万トンものプラスチック廃棄物に、どう対処できるでしょうか?リサイクルの重要性は広く認識されていますが、現在の取り組みでリサイクルされるのは、毎年生産されるプラスチックのわずか9%です。

現在のリサイクル方法を改善する先駆的な研究は、ポーツマス大学のジョン・マギーヒン教授と、米国エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所(NREL)のグレッグ・ベックマン博士が主導しています。最も広く使われているプラスチックであるポリエチレンテレフタレート(PET)を分解できる、自然界に存在する細菌酵素(PETase)を研究する中で、研究者たちは偶然、PETを餌としてより効率的に分解する、酵素の遺伝子組み換え派生型を発見しました。

マギーヒーヒン教授は、「改善幅は小さいものの、この予期せぬ発見は酵素をさらに改良する余地があることを示しており、増え続ける廃棄プラスチックの山をリサイクルする解決策に一歩近づくものです」と述べました。この先駆的な研究は、プラスチック廃棄物を分解できる遺伝子改変酵素の設計に関する後続研究の基盤となる可能性があります。しかし、こうした酵素を持つ微生物が大規模に増殖した場合に起こり得る影響は、まだわかっていません。

プラスチック廃棄物は広範囲に環境影響を及ぼしており、その影響を最小限に抑えるには大規模な計画が必要です。こうした問題に取り組む戦略の策定は歓迎すべきことですが、分解性(バイオ)プラスチックや遺伝子組み換えのプラスチック分解酵素といった新技術に関する法的措置や政策が不足しています。そのため、これらの技術が潜在力を発揮できない可能性があるほか、望ましくない別の分解生成物が環境に放出されるおそれもあります。

生分解性と見なされ、そう宣伝されるものに関する基準の改善を検討すべきです。プラスチック依存が環境に及ぼす影響を減らそうとする取り組みが、さらにどのような影響をもたらすのか、より深く理解する必要があります。欧州委員会、国連、各国のプラスチック関連団体が策定した戦略の目標を効果的かつ安全に達成するため、慎重に政策を設計することが求められます。

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