「生きた防潮堤」が証明する、エコエンジニアリングの確かな実力

Replacing natural defenses with hard seawalls can make coastlines more vulnerable. Living seawalls – a form of eco-engineering – are 3D printed structures that mimic local marine habitats.
Replacing natural defenses with hard seawalls can make coastlines more vulnerable. Living seawalls – a form of eco-engineering – are 3D printed structures that mimic local marine habitats.Image: Unsplash/Bastian Pudill
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  • シドニーからサンフランシスコまで、各地の都市では、海面上昇によってインフラが浸水するのを防ぐため、防潮堤が建設されてきました。

  • しかし、自然の防御機能を頑丈な防潮堤に置き換えると、気候変動によって深刻化する事象に対して沿岸部がより脆弱になる可能性があると、ある教授は指摘します。

  • エコエンジニアリングの一形態である生きた防潮堤は、地域の海洋生息環境を模倣した3Dプリント構造物です。

  • こうした構造物は、地域の生態系の回復を助け、水質を改善し、洪水などの自然災害による影響を最小限に抑えることができます。

世界各地の沿岸地域社会は、気候変動の最もよく知られた兆候の一つである海水 の上昇に立ち向かっています。洪水対策として、シドニーからサンフランシスコまで、各地の都市は海面上昇によってインフラが浸水するのを防ぐため、防潮堤を建設しました。

オーストラリアに拠点を置くマッコーリー大学の准教授で、プロジェクト「The Living Seawalls」の共同リーダーを務めるメラニー・ビショップ氏はインタビューで次のように述べました。「皮肉なことに、自然の防御機能を頑丈な防潮堤に置き換えると、気候変動によって深刻化する事象に対して沿岸部がより脆弱になる可能性があります」。ビショップ氏が説明しているのは、人間が建設した構造物が自然の河口域や沿岸防御機能に及ぼす影響であり、それは破壊的なものです。では、今後の海洋事象が大惨事を引き起こすのをどう防げばよいのでしょうか。

ビショップ氏によると、生きた防潮堤はエコエンジニアリングの一形態で、既存の防潮堤や採掘設備などに取り付けるため、地域の海洋生息環境を模倣するよう特別に設計された構造物を3Dプリントします。設置後は、地域の生態系の回復を助け、地元の魚類、軟体動物、海洋植物が戻ってくるよう促します。フジツボやカキなどの濾過摂食生物のおかげで、(理想的には)水質が大きく改善し、生物多様性が高まり、水温も下がります。さらに、沿岸生態系の回復は、地震やハリケーンによる洪水など、自然災害の影響を最小限に抑えるのに役立ちます。

シドニー港の生きた防潮堤プロジェクトは2018年11月に始まりました。研究者が主導するこのプロジェクトは、個々の人工構造物の3DプリントをReef Design Labsと連携して行っています。構造物はまず、シドニー海洋科学研究所が設計しました。それぞれの構造物はサンゴの質感と多孔性を模倣するように設計され、パズルのように組み合わせてコンクリートの壁に取り付けられます。各構造物に意図的に設けられたさまざまな隙間やくぼみは、小型の沿岸海洋生物が定着する場所となります。研究者らは、設置から4カ月以内に、海洋細菌が定着していることを確認しました。

このエコエンジニアリング・プロジェクトは、環境面での期待に応える成果を上げています。チームが7月に発表した研究で、ビショップ氏は次のように述べました。「2年間で、[海の]壁には115種の生物が定着したことが分かりました。これは天然の岩礁で見られる種の数に匹敵し、改変されていない防潮堤で見られる数を約20%上回ります」

米国もオーストラリアの取り組みに続いています。サンフランシスコ港は、スミソニアン環境研究センターと連携し、湾内の3カ所で生きた防潮堤の実証実験を進めています。このプロジェクトの発表で、サンフランシスコ港のエグゼクティブ・ディレクター、エレイン・フォーブス氏は次のように述べました。「生きた防潮堤プロジェクトは、自然と共生するレジリエンス対策の設計に対する港の取り組みを示す、もう一つの重要な機会です」。オーストラリアの事例と同様に、生きた防潮堤は、マングローブの根やサンゴの群生など、海洋生物の多様性を育む在来の自然構造物を模倣するよう設計されています。1フィート四方のタイル91枚を既設の構造物に沿って固定し、実証プログラムを観察、記録するため、少なくとも2年間モニタリングします。

米国東海岸では、Kind Designsがマイアミで、生きた防潮堤の形成を加速させる、迅速で低コストな3Dプリント工程を開発しました。一般的な防潮堤の耐用年数は劣化が始まるまで30~40年ですが、Kind Designsの製品はより長い耐用年数を想定して設計されています。同社は、リサイクルした海洋プラスチック繊維を使用し、生きた防潮壁のライフサイクルを強化しています。

世界各地で研究が始まり、好ましいデータが発表されるにつれ、海面上昇への対応と生物多様性の回復を求められる都市にとって、生きた防潮堤は今後も魅力的な選択肢であり続けるでしょう。気候変動に直面する中で、自然と人間の生態系双方に安定性をもたらすことは、気候危機の影響を軽減する取り組みに必ず役立ちます。

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