北米、アジア、欧州、オセアニアでは、畜産が農業由来排出量の少なくとも3分の2を占めています。
動物を飼育する農業は世界中の何百万人もの暮らしを支える一方、森林破壊、動物の権利をめぐる懸念、気候変動にもつながっています。
ある獣医師は、昔ながらの農業システムが解決策になり得ると考えています。
林畜複合システムでは、自生または栽培された樹木、低木、草を輪換放牧と組み合わせて管理します。
科学者たちは、世界各地で実践されているこのシステムを数十年にわたり研究してきました。
蓄積された研究からは有望な結果が示されており、生物多様性の向上、動物福祉の改善、収量と利益の増加など、多くの利点が明らかになっています。
私たちは、ハンバーガーやステーキを食べることが環境に悪影響を及ぼし得ることを知っています。食料システムは、温室効果ガス排出量全体の4分の1を占めており、そのうち畜産が北米、アジア、欧州、オセアニアの農業由来排出量の少なくとも3分の2を占めています。
畜産は、森林破壊、生物多様性の損失、食用穀物をめぐる競合、そして動物福祉の劣悪な状況の一因だと指摘されてきました。
提案されている解決策には、食生活をより植物性食品中心に切り替えることがあります。これは望ましいものの、完全な解決策ではありません。というのも、畜産は何百万人もの生計を支えているからです。牛、ヤギ、羊を鶏や豚に置き換えることもよく提案されますが、これは一つの惨事を別の惨事に置き換える近視眼的な方法です。
しかし、別の農業システムがこの問題を解決できる可能性があります。畜産が環境に及ぼす影響に対処するだけでなく、農家に社会的・経済的な恩恵ももたらします。新たな雇用の創出、新しい技能の習得、コスト削減、所得向上などが含まれます。
獣医師であり、マギル大学の博士課程候補者としてメキシコの畜産部門における持続可能性への移行を研究してきた私は、この有望な代替策が林畜複合農業にあると考えています。
畜産を解決策の一部に
林畜複合システムは、自然の森林生態系を模倣する農業技術であるアグロフォレストリーに畜産を組み合わせます。自生または栽培された樹木、低木、草を輪換放牧とともに管理します。
実際には、牧草地を小さな放牧区画に分け、数日ごとに家畜を次の区画へ移動させます。こうすることで、放牧を終えた区画に休養期間が設けられ、植生が再生するとともに、ふん尿がより均等に分散して土壌を豊かにします。また、動物は草だけに頼らず、低木や木の葉、落果で食事を補います。
最も簡単で費用のかからない林畜複合システムでは、既存の天然林を利用します。農家は広大な土地に家畜を放し、動物は木陰と豊富な飼料を得ます。
より集約的な管理を要する林畜複合システムでは、果物や木材など商業利用を目的とする樹木の高密度栽培に、高タンパク質の低木や、品質と生産性に優れた熱帯性の草を組み合わせます。こうしたシステムは収量を増やしますが、導入にはより高度な専門知識と初期投資も必要です。
この二つの中間には、多様な林畜複合の実践方法があり、さまざまな地理的条件、生態系、予算に適応できます。
昔ながらのこのシステムがもたらす環境面の利点
科学者たちは、世界各地で実践されている林畜複合システムを数十年にわたり研究してきました。蓄積された研究からは、有望な結果が示されています。
第一に、新たな植樹(および既存の樹木の維持管理)は、炭素を蓄えることで気候変動への対策に役立ちます。また、生物多様性を高め、複数の種に生息地を提供します。生物多様性が高まれば、ダニなどの害虫の個体数を抑える鳥や昆虫が増え、家畜にも恩恵があります。
第二に、樹木は必要不可欠な日陰をつくり、樹冠の下の気温を下げるため、動物福祉の向上にもつながり、暑熱ストレスの軽減に役立ちます。また、動物はその生態に沿って、探索し、草を食み、葉を食べることができます。
輪換放牧は土地の回復を促すだけでなく、家畜に影響を及ぼす寄生虫の生活環を断つことで、生産性と動物の健康の向上にも役立ちます。
収量と利益の増加
研究によると、林畜複合の実践により、通常は農業用地または森林として別々に管理される土地の生産性を、最大55%向上させられます。
また、林畜複合システムでは、従来型の単一作物の放牧システムと比べて、牛の体重と乳量が増加することも報告されています。
こうしたシステムでは、飼料の入手可能性が高まり、栄養価も向上します。高価な化学肥料や農薬を必要とせずにこれを実現できるため、さらなるコスト削減につながります。
さらに、林畜複合システムがもたらす多角化は、資金繰りを改善し、農家の脆弱性を軽減するうえで役立ちます。これにより、不利な市場環境や気象関連の事象への耐性が高まります。木材、果物、飼料、家畜、畜産物の販売による直接的な収入に加え、土壌への水の浸透を促して洪水リスクを軽減したり、干ばつの時期に動物の食料を提供したりする樹木の効果から、間接的な恩恵も得られます。
草を基本とする食事
持続可能なシステムを実現するには、高エネルギー飼料、化学肥料、農薬の使用を減らすことが重要です。これは経済的にも理にかなっています。人間が食べられない草や低木、作物残渣を動物に与えることは、資源をより安価かつ効率的に活用する方法です。
忘れてはならないのは、牛の消化器系は草を基本とする食事に適応しており、腸内微生物の助けを借りて、草に含まれる消化しにくいセルロースを高品質のタンパク質に変換できるということです。人が食べる可能性のある作物をめぐって競合し、世界の食料安全保障を脅かす必要はありません。
実際、牛の食事に穀物を多く含めると深刻な消化器疾患を引き起こすことがあり、肥育場での牛の死亡原因の最大33%を占めます。世界では、作物の生産と人間向け食料の生産を競合させる形で、家畜の飼料を生産する耕作地が40億ヘクタールあり、家畜の飼料に対する別のアプローチを優先すべきなのは明らかです。
拡大に向けて:課題と機会
林畜複合システムが畜産の経済的、社会的、環境的課題に対する三方よしの解決策となるなら、なぜもっと広く普及していないのでしょうか。
アグロフォレストリーは、おそらく農業そのものと同じくらい古くからあります。しかし、利益を絶え間なく追求する資本主義的な市場や政策によって、農業は専門化と工業化へと再編され、いわゆる目に見えない社会的・環境的コストが犠牲にされてきました。
科学は林畜複合システムの多くの利点を明らかにしてきました。今後は、世界各地の異なる地域事情において、その導入を妨げている課題をさらに研究する必要があります。移行を促す政策や市場の革新についても研究が求められます。さらに、特に裕福な国々では、肉の消費を健全な水準まで減らすことに社会が前向きになる必要があります。
前進は始まっています。すでに、樹木被覆率が10%を超える農業景観は約10億ヘクタールに及び、世界の陸地のさらに16億ヘクタールでアグロフォレストリーによる管理が可能です。
食料システムの変革に積極的に関わり、持続可能な代替策を求め、支援するために行動を起こすなら、今をおいてほかにありません。







