これがバイオ燃料の未来なのか?

これがバイオ燃料の未来なのか?
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第2世代(2G)液体バイオ燃料は、現在は原油由来の燃料が主流となっている運輸部門の世界的なエネルギー需要を満たす、有望な将来技術と見なされている。ライフサイクル分析によれば、2Gバイオ燃料はトウモロコシ由来エタノールよりも大幅に多くの炭素排出を相殺する。環境保護活動家は、特にバイオ燃料以外に低炭素の代替手段がまだ存在しない航空部門において、世界のカーボンフットプリントを削減する方法として期待している。第2世代バイオ燃料の原料には、スイッチグラスや森林・収穫残渣などの非食用バイオマスが含まれるため、食用作物と直接競合しない。そのため、貧困や栄養に関心を持つ人々は、バイオ燃料が食料価格に及ぼす影響を軽減する手段として2Gバイオ燃料を捉えている。

最近の UNCTADの報告書によると、米国、EU諸国、ブラジル、インド、中国のような先進的な開発途上国は第2世代バイオ燃料に投資してきたが、その商業化は長らく「実現まであと少し――おそらく10年先」とされてきた。

過去10年間の最近の技術革新と原油価格の上昇を受けて、全米研究評議会のバイオ燃料増産による経済・環境影響委員会 の報告書は、セルロース系原料を液体燃料に変換する技術が、ついに商業規模で導入される段階に近づいている可能性を示唆した。しかし、こうした新技術を開発・導入することが社会にもたらす全体的な経済価値はいくらなのか。その価値を決める要因は何か。気候影響や政策、経済成長、エネルギー価格、人口増加の不確実性に対して、この評価はどの程度敏感なのか。

世界規模で2Gバイオ燃料技術を導入した場合の純便益を評価するには、多くの課題がある。2G技術の実現可能性は、再生可能燃料や気候変動緩和に関する政策、気候影響、原油価格に左右される。実際、最近の 研究 では、将来の原油価格に大きな不確実性があるため、民間投資家は現時点で第2世代バイオ燃料技術への大規模投資に消極的であることが示された。また、炭素排出の世界市場が存在しない限り、民間企業はバイオ燃料が温室効果ガス(GHG)排出に及ぼす潜在的影響を意思決定に織り込まないだろう。しかし、2Gバイオ燃料技術の大規模導入は、GHG排出をはるかに超える影響をもたらす。自然地が供給する市場外の生態系サービスへの潜在的な影響を伴う、世界的な土地利用の深遠かつ長期的な変化に加え、土地市場を通じた商業林業、畜産、作物生産との相互作用も、重大な意味を持つ可能性がある。

最近の 研究 では、FABLE(モデルの説明は こちら)と呼ばれる世界の土地利用に関する計算可能な部分均衡モデルを用い、大規模な不確実性と市場外部性を考慮したうえで、改良型2Gバイオ燃料技術を体系的に評価し、これらの問いへの理解を深める。モデルを2回実行し、一方は2G技術を利用可能とし、もう一方は利用不可とすることで、2Gバイオ燃料が社会にもたらす世界的な価値を明らかにできる。さらに、土地転換費用、耕地地代、肥料費用、計画期間終了時点における森林や自然地の遺産価値など、評価を左右する要因を分解できる。

基準ケースはいくつかの仮定に基づいている。主なものは次のとおり。

  1. 21世紀を通じて、石油価格は 米国エネルギー情報局(EIA)の基準予測に沿って上昇する。

  2. 2G技術は、生化学工学における現時点の最良の実践に基づいて利用可能である。

  3. 気候が食用作物の収量に及ぼす影響は中程度である。

  4. 経済成長と人口増加は、 国連の予測に沿った最も可能性の高い経路をたどる。そして

  5. 土地由来のGHG排出に対する気候規制はない。

図1 2Gバイオ燃料変換技術の評価額(ドル/人)。

縦軸の値は世界の1人当たり厚生の差を示し、FABLEモデルを技術あり・なしの2通りで解いて算出した。その差は、4つの異なる基準仮定のもとでの現行2G技術(四角のマーカー)または改良型2G技術(丸のマーカー)の価値である。色付きの各部分は、現行技術のもとで厚生が変化する要因を示す。

政府による2Gバイオ燃料の導入義務がない場合、現行の2G技術は2035年に商業的に実現可能になると予測され、その社会的価値の世界全体での割引現在価値は1人当たり10.03ドル、または2004年の価格と人口水準で642億米ドルと推定される(図1、最初の棒の灰色の丸)。この基準シナリオでは、社会的便益のほぼすべてが石油支出の削減によって生じる(図1、青色部分)。しかし、社会全体の便益という観点から、この変化だけに注目するのは著しく誤解を招く。2Gバイオ燃料が存在することで土地をめぐる競争が激化し、地代に影響することで、作物、畜産物、林産物、生態系サービスなど、土地に基づく他のサービスの生産コストが上昇する。これにより、土地由来の他の製品の消費水準は低下する(図1、緑色部分)。また、追加的な土地転換も促され、それ自体に費用がかかる。2G技術の導入はバイオ燃料原料のための土地転換をさらに促すため、シナリオの終了年である2205年に残る森林や自然地の面積も減少する。これにより、社会が将来世代に残す「遺産」の価値が損なわれ、ひいては2G技術が社会にもたらす総価値も低下する(図1、水色部分)。

基準シナリオの仮定を変えることで、作物収量への気候影響、原油価格、世界の経済成長率と人口増加率、GHG規制、将来の便益を社会が割り引く率などの要因に対して、2G技術の評価額がどの程度敏感かを検討できる。

世界全体の土地由来GHG排出に上限を設けると、森林の社会的価値が高まり、農業用途への転換を抑制する要因となる。その結果、食料やバイオ燃料の生産に使われる土地の費用が上昇し、食料、森林、生態系の財・サービスの費用が増える。これは、GHG排出と消費の間のトレードオフを浮き彫りにする。液体化石燃料の生産・燃焼による排出を削減することで、2Gバイオ燃料技術の導入はGHG排出制約の枠内に追加的な土地転換や肥料使用などの余地を生み、機会費用を下げて土地由来の財・サービスの消費を押し上げる(図1:気候規制/緑色部分)。全体として、世界全体のGHG排出制約がない場合と比べ、その制約下では現行の2G技術の社会的価値は2倍を超える。2G導入による世界全体の利得は1人当たり約22ドルに達し、2004年の人口水準では総額1,390億ドルとなる。

シェールオイル・ガスを採掘する新技術の登場と応用により、化石エネルギーが潤沢になり、最近の原油価格上昇の流れが反転する可能性が浮上している。実際、原油価格は最近、1バレル当たり約50ドルまで下落した。この場合(そして土地由来のGHG排出規制がない場合)、2Gバイオ燃料技術の社会的な経済価値はほとんどない(図1「エネルギー価格横ばい」)。

最近の科学的な 証拠 は、気候変動の農業への悪影響がさらに強まれば、世界の食用作物の生産性向上が大幅に抑制される可能性を示唆している。私たちのモデル分析では、世界の食料需要を満たすためにより多くの耕地が必要となり、その結果、バイオ燃料生産に使う土地の機会費用が上昇し、バイオ燃料の生産量がわずかに減少する。しかし、経済厚生全体への影響は小さい(図1「気候影響」:1人当たり9.98ドル、基準技術では1人当たり10.03ドル)。

経済成長率が低いと、地代の経時的な上昇率は低下する。土地の希少性が相対的に低くなれば、土地を利用する2Gバイオ燃料技術は競争にさらされにくくなり、その価値は基準の経済成長率の場合よりやや高くなる(図1「低成長」:1人当たり10.14ドルに対し10.03ドル)。人口増加率が高い場合も同じ原則が当てはまるが、今度は逆方向に働く。基準シナリオよりも人口が急速に増えると、養い住まわせる人が増え、土地はより希少になる。この場合、2G技術の社会的価値は低下し、人口が急速に増加するケースでは1人当たり8.54ドルとなる(図1「人口増加率高」)。

現在、2G技術の改良に向けて多額の公的投資が行われており、コストを合計で18%削減できる可能性があると私たちは推定している。こうした技術的改良により、2G技術の社会的評価額は基準ケースに比べておよそ30%増加する(2004年の人口で約200億ドル)(図1、最初の棒の黒い丸)。一方、技術に悲観的な見方が正しく、2G技術の実証プロジェクトが効果的に規模を拡大できなければ、世界全体での2G技術の評価額は予測を下回る可能性がある。悲観ケースでは、予測コストが基準より18%高く、2G技術の社会的評価額は1人当たり約7.49ドル、または2004年の人口で479億ドルとなる(図1、最初の棒の白い丸)。

私たちの調査結果は、2G技術の社会的便益を推計する際、石油支出の削減とバイオ燃料の生産コストだけにとどまらず検討すべきことを示している。セルロース系バイオ燃料の積極的な拡大は、地代と土地転換費用の上昇、土地由来の他の財・サービスの消費減少、将来世代に残される天然林や保護地の縮小など、より広範な影響をもたらす。これらを考慮した結果、気候変動の緩和が最優先課題であり、2G技術が進歩を続ける世界では、改良型技術を利用できることが社会に大きな便益をもたらし得ると分かった。

この記事は当初、 世界銀行「Let’s Talk Development」ブログに掲載されたものです。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。

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著者:Jevgenijs Steinbuksは、世界銀行開発研究グループのエコノミスト。Thomas Hertelは、パデュー大学の農業経済学特別栄誉教授。Tyner教授は、エネルギー経済学者であり、パデュー大学のJames and Lois Ackerman農業経済学教授。

画像:2014年4月18日、女性がギリシャ北東部トラキア地方のクサンティ近郊で、バイオディーゼル原料となる作物畑を歩く。REUTERS/Yannis Behrakis

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