12月に合意が期待される新たな世界気候協定の要となる、地球温暖化による気温上昇を摂氏2度に抑える目標では、気候変動による最悪の影響の多くを防げないと、科学者やその他の専門家からなるグループが金曜日に警告した。
気温が2度上昇すれば、太平洋の小島嶼国は居住不能になる可能性があり、気象災害はより頻繁になり、世界の多くの地域で労働者がうだるような暑さにさらされ、大勢の人々が、特に沿岸都市で、移住を余儀なくされると専門家らは警告した。
2度という目標は「基本的人権、労働、移住および避難に深刻な脅威をもたらす不十分なものだ」と専門家らは、 気候脆弱性フォーラム(フィリピンが議長を務める20か国のグループ)の委託を受けて作成された一連の報告書で述べた。
グループの一部の加盟国、特に太平洋の島嶼国は、これまでに、より低い摂氏1.5度の気温目標を求めてきた。
「わずか0.5度の追加的な暑さでさえ、人々の暮らしや労働条件、人々の移動にどれほど大きな違いをもたらすのかを、報告書は浮き彫りにしています」と、フィリピン気候変動委員会の委員長を務めるメアリー・アン・ルシル・セリング氏は声明で述べた。
「摂氏1度未満の上昇でさえこれほどの影響が生じているのに、現在の温暖化の2倍を超える上昇を、どうして受け入れられるでしょうか?」
フィリピンはここ数年、壊滅的な台風に相次いで見舞われており、「(気候変動の抑制に向けた)目標を強化しないという主張は、説得力を失いつつあります」と同氏は述べた。
科学者によると、産業革命前からこれまでの上昇幅は摂氏1度未満だが、気温上昇はすでに世界各地で気象災害の頻度と強度を高めている。
こうした災害は、気温上昇に伴う海面上昇と相まって、沿岸都市を危険にさらし、「壊滅的な結果」を伴うさらなる避難や移住につながるおそれがあると、国際的な ナンセン・イニシアティブ で災害および気候変動に起因する避難に取り組むウォルター・ケーリン氏は述べた。
「人の移動に対する気候変動の影響は、複雑さと規模を増し続ける世界的な現実です」と、かつて国内避難民の権利に関する国連事務総長特別代表を務めたケーリン氏は報告書で述べた。
同氏は、気候目標の2度という水準を見直す必要があると提案した。
報告書の作成を主導した国連人権・環境特別報告者のジョン・ノックス氏も、地球の気温が摂氏2度以上上昇することはリスクが高すぎると述べた。
「温暖化が1度から2度に進むだけでも、幅広い人権を十分に享受することに悪影響を及ぼします」と同氏は述べ、各国が「人権を尊重し、保護し、促進する」ことをより困難にすると指摘した。
12月、世界各国の交渉担当者がパリに集まり、さらなる気候変動を抑制し、その影響に対処するための新たな世界協定に合意する予定だ。この協定には、世界の気温上昇を摂氏2度に抑えるという現行目標が十分かどうかを判断することも含まれる。
科学者によると、既存の気候変動要因となる排出量の測定値と、各国政府がすでに掲げている排出削減公約からは、世界が現在、2100年までに気温が摂氏4度上昇する道筋にあることが示唆される。
本記事は、 トムソン・ロイター財団との協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。
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著者:ローリー・ゴーリングは、気候変動が人道支援と開発に及ぼす影響を伝えるトムソン・ロイター財団のニュースサイト「AlertNet Climate」の編集者です。
2014年11月21日、干ばつに見舞われたサンパウロで、グアラピランガ貯水池の干上がった区域に立つ看板。看板には「水に飛び込まないで」と書かれている。REUTERS/Paulo Whitaker


