国・国際水域で操業する約450万隻の漁船が、海洋プラスチック汚染の半分をもたらしていると推定されている。
漁業による汚染を規制する強力な国際ルールがすでに存在するにもかかわらず、国連は世界的なプラスチック条約の交渉を支持する宣言を発表した。
しかし、公海上の船舶によるプラスチック汚染の禁止を監視し、執行するのは難しく、旗国にはそうする動機が欠けていることも多い。
既存の法律の実施と執行を強化すれば、船舶由来のプラスチック汚染への対処に役立つ。
海洋プラスチック汚染は、先ごろ開催された国連海洋会議の主要議題となり、同会議は、国連環境総会がプラスチックに関する宣言を支持するとともに、交渉開始を決定したことを受けて、世界的なプラスチック条約の交渉を開始することを支持した。
この取り組みはほぼ普遍的に歓迎されているが、船舶からプラスチックが海に流出するのを規制する優れた国際法がすでにあるという事実から目をそらしてはならない。単に、それらを適切に執行できていないのだ。
推定で半分の海洋プラスチック汚染は、国・国際水域で操業する約450万隻の漁船に由来する。最近の研究によると、産業漁業の漁具だけで、1億ポンドを超えるプラスチックが海洋に流入している。
既存の法律の実施と執行を強化するほうが、新たな条約の採択を待つよりも、船舶由来のプラスチック汚染にずっと迅速に対処できる。
漁船から出るプラスチックごみには、紛失したり意図的に放棄されたりした漁具が含まれる。網、籠、浮き、コンテナ、集魚装置(FAD)などがその例だ。
プラスチックは、海洋最深部のマリアナ海溝や、ピトケアン諸島のヘンダーソン島のような遠隔地でも見つかっている。
紛失または放棄された漁具は、「ゴーストフィッシング」を引き起こすことがある。網やFADなどの漁具が何十年にもわたって「漁」を続ける現象だ。海洋プラスチック汚染は、絡まりや誤食、外来種や有害物質の移送、航行上の危険、海岸の汚染なども引き起こす。
漁船によるプラスチック汚染をめぐる世界的ルール
世界的な規制が弱い陸上由来のプラスチック汚染とは対照的に、船舶由来のプラスチック汚染に関する国際ルールは、少なくとも書面上は強固だ。
国際海事機関(IMO)の下で、主に2つの制度が整備されている。1つはロンドン海洋投棄制度で、船舶や海洋施設からプラスチックごみを意図的に海洋投棄する行為を規制する。もう1つは、船舶による汚染の防止のための国際条約(MARPOL)で、船舶からのプラスチックの意図的および偶発的な排出を規制する。
ロンドン海洋投棄制度の下では、漁網やFADを含むプラスチックごみを、国家の内水以外のすべての海域で、いかなる船舶も意図的に投棄または廃棄してはならない。船舶の「通常の」運航に伴う物質の処分は例外とされるものの、海洋生態系に害を及ぼすことを考えれば、この例外にプラスチックごみの意図的な処分が含まれるとは言えない。
この解釈は2018年、ロンドン条約の締約国によって確認され、漁具の意図的な処分は同制度の目標に反すると表明された。
船外への偶発的な流出
ロンドン制度は漁具の偶発的な紛失には適用されない一方、MARPOLは、網、FAD、その他の漁具を含むあらゆるプラスチックの海洋排出を、意図的か偶発的かを問わず禁止している。
ただし、重要な抜け穴がある。「そのような紛失を防ぐためにあらゆる合理的な予防措置が講じられている」場合、または環境保護のために漁具の排出が必要な場合は、漁船にはこの禁止が適用されない。2017年に採択されたガイドライン
は、合理的な予防措置の内容を示している。たとえば、プラスチックごみが船外に流出しないよう、適切に分別・回収することなどだ。プラスチック汚染は地域漁業管理機関(RFMO)にとっても課題となっている。各機関は国連食糧農業機関と連携し、漁具の紛失やゴーストフィッシングの影響を最小限に抑えるため、さまざまな取り組みを進めている。
たとえば、南極海の漁業を管理する南極海洋生物資源保存委員会(CCAMLR)は、ほとんどの船舶でプラスチック製の梱包用バンドの使用を禁止している。
これらのルールの問題は、執行が不十分なことだ。公海上の船舶によるプラスチック汚染の禁止を監視し、執行するのは難しい。旗国にはそうする動機が欠けていることも多い。
漁具への標識の付与や、ごみを減らすための特定の積載技術といった実務的な措置は、拘束力のあるルールではなく、拘束力のないガイドラインに盛り込まれていることが多い。また、漁船が操業中に見つけた放棄漁具を回収するよう促す誘因も不十分だ。
プラスチック汚染への対策
各国は海洋法に基づく法的権限を行使し、漁具を海上で放棄した、または過失により紛失した証拠がある場合、その船舶が自国の港に入港した際に措置を講じるべきだ。
旗国は自国の船舶に漁具への標識付与を義務づけ、漂流する漁具を回収して安全に処分できるよう、金銭的な誘因を設けるべきだ。
ロンドン制度には強固な遵守手続きがある。漁具の投棄への対処にこれをより定期的に活用し、この問題を国際的な場で取り上げることができる。
新たなプラスチック条約は、最終的に海洋プラスチック問題への対処で重要な役割を果たすかもしれない。しかし、船舶由来のプラスチック汚染により適切に対処するために、それまで待つ必要はない。すでにある法律をより適切に執行すればよい。






