家庭内の大気汚染は命を奪う。型破りな解決策とは

An Indian fisherwoman prepares a meal on a wood-burning stove in her home near Mumbai
Household air pollution is one of the world's biggest killers.Image: REUTERS/ Adeel Halim
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つい先ごろ、世界保健機関(WHO)は、大気汚染がどれほど多くの人々の命に影響を及ぼしているかを明らかにしました。地球上の10人に9人が高濃度の汚染物質を含む空気を吸っており、その結果、毎年700万人が死亡しています。このため大気汚染は、環境に起因する健康リスクのなかで最大のものとなっています。

世界で都市化が進むなか、中国やインドなどで新たに台頭する中間層が、世界のエネルギー資源に新たな負荷をかけています。エネルギーを容易に利用できることは、社会の発展を測る指標となることが少なくありません。スモッグに覆われ、遠くの景色が著しくかすんだ都市の写真は、WHOが報告した数値を如実に物語っています。屋外(一般環境)の大気汚染も深刻な問題ですが、大気汚染による死者の半数以上は、家庭内の大気汚染(HAP)が原因です。HAPは一般環境の大気汚染ほど注目されていませんが、HIV、マラリア、結核を合わせた数を上回る死者をもたらしています。

世界では30億人が、電気や液化石油ガス(LPG)などの現代的な調理用燃料を利用できません。その代わりに、薪、木炭、家畜のふん、農作物の残さなどのバイオマス燃料を、煙の出る火や効率の悪いストーブで燃やして調理しています。多くの場合、家の中で行われ、燃料エネルギーの90%が無駄になります。HAPとは、こうした固体燃料の燃焼によって生じる煙、粒子状物質、その他の排出物が混ざった有害なものです。一般的なこうした調理方法は資源を大量に消費し、非常に危険です。HAPに世界中の人々がさらされる主な原因であり、女性や子どもに不均衡な影響を与えています。

大気汚染による死者の半数以上は、家庭内での汚染が原因です。Image: WHO

問題を理解する

世界各地の一般環境の大気汚染レベルをリアルタイムで確認する手段はあります。しかし、インドのマハーラーシュトラ州の農村で、母親が子どもの通学用のパンを土製のチュラ(かまど)で焼いている台所や、ガーナのアクラの混雑した街角で、露店商が車のタイヤから作った石炭コンロに燃える木炭を積み、プランテンチップスを揚げている様子について、即時データを呼び出す方法はありません。

家庭内の大気汚染は新しい問題ではありません。クリーンな調理器具の販売や普及を通じて、汚染への曝露を減らす取り組みが進んでいます。クリーン調理用コンロのためのグローバル・アライアンスによると、2010年以降、世界で1億1,600万台のクリーン調理用コンロが配布されました。最近まで、HAP対策の多くは、従来型のストーブを改良型バイオマスストーブに置き換えることに重点を置いていました。これは短期的には有効な解決策ですが、よりクリーンな燃料が利用できるようになるまでのつなぎとして、家庭に導入するのが最適です。

一般的な見方とは異なり、液化石油ガス(LPG)は化石燃料であるにもかかわらず、持続可能でない方法で調達されたバイオマス燃料より環境に優しい選択肢です。LPGは原油精製の副産物です。すすを出さずにクリーンに燃焼し、バイオマスを燃やすストーブと比べて汚染物質の排出量が50分の1です。ライフサイクル評価によると、炭素と水素の比率が低いこと、燃焼効率と燃焼の完全性、LPGストーブが高い性能を維持していることから、LPGによる正味の温暖化への影響はほとんどないか、まったくありません。

さらに、バイオマスをLPGに置き換えれば、薪を集める負担がなくなり、森林破壊を防ぐことができます。バイオマスストーブが健康に及ぼす影響については、現在も研究が続いています。一方、LPGは、排出量がWHOのガイドラインを下回る数少ない燃料の一つであることが明らかになっており、呼吸器感染症などの減少も確認されています。

現代的な調理を設計する

LPGの普及を妨げる最大の障壁は、価格の手頃さです。しかし、エネルギー貧困の解消に最先端技術を活用する家庭向けエネルギーソリューションのおかげで、価格は日々下がっています。私たちの会社Envirofitは過去10年間、クリーンな調理ソリューションを設計、製造、提供し、家庭が薪から木炭、そしてLPGへとエネルギー利用の段階を上げられるよう支援することで、HAPの解消に取り組んできました。

EnvirofitのSmartGasサービスは、LPGを利用する際の障壁を減らし、より手頃な価格で利用できるように設計されました。これを実現するのが、モバイル技術とIoT技術を搭載し、必要に応じて燃料を供給するEnvirofit SmartGasメーターです。この技術によって、家庭は環境負荷を減らしながらLPGを使ったクリーンな調理を手頃な価格で利用できるようになります。また業界は、クリーン調理用コンロの普及状況をリアルタイムで追跡し、その効果を測定できるようになります。

現代的なエネルギーを大規模に利用できるようにするのは困難です。世界では今も30億人がバイオマスを使って調理しています。LPGを実用的なクリーン燃料として受け入れることに慎重な団体もありますが、インド、インドネシア、ガーナなどの政府は、家庭がよりクリーンに調理するうえでLPGが果たす役割を認識しています。二国間組織であるSE4ALLや、クリーン調理用コンロのためのグローバル・アライアンス(GACC)、そして世界LPG協会は、LPGの普及を推進しています。より多くの人々が世界でエネルギーを利用できるようにする必要性は、国連の持続可能な開発目標にも盛り込まれています。第7目標は「すべての人々に、手頃で信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことです。

エネルギー貧困に苦しむ人々は、高所得国の人々にはない、自分や家族を養ううえでのリスクに直面しています。だからといって、環境負荷を減らし、健康を改善するクリーン燃料を利用する権利を奪われてはなりません。毎年380万人に上る死者をゼロにすることが、私たちの日々の原動力です。問題を理解し、よりクリーンな燃料と新たな技術を取り入れて長期的な解決策を生み出せば、明日は今日よりも家庭内の大気汚染にさらされる人を減らせるはずです。

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