ハリケーンは発生頻度が下がる一方で勢力が強まり、サファ・シンプソン・スケールにカテゴリー6を加える必要性をめぐる議論が起きる可能性がある。
このスケールは風速に基づいて暴風雨を分類し、カテゴリー5は「壊滅的な被害」を意味する。
研究者らは、時速309キロを超える風をカテゴリー6とする案を提唱している。2013年以降、この範囲に達した暴風雨は5つあるという。
熱帯低気圧が発生すると、その進路上に暮らす人々は、進行方向と勢力に関する報道を不安を抱きながら注視する。風速毎時250キロのカテゴリー5の暴風雨が自分の住む地域に向かっている場合、風速毎時65キロのカテゴリー1の場合とは異なる備えが必要になる。
気温が高い世界では、サイクロンの発生頻度は下がると予想される一方、発生した際の勢力は強まる。新たな研究によると、脅威をより適切に伝えるため、米国で使われているハリケーンの尺度にカテゴリー6を導入する時期かもしれない。
しかし、より深刻な暴風雨に対応するため、サイクロンの尺度に新しいカテゴリーが必要だろうか。西半球で、研究者らがカテゴリー6の基準として提案する風速毎時309キロを超えたハリケーンは、これまで1つだけだ。さらに、オーストラリア独自の熱帯低気圧の尺度を含め、暴風雨の尺度の趣旨は、カテゴリー5が壊滅的な被害をもたらす可能性のある暴風雨を示すことにある。カテゴリー6を設けても何が得られるのか、見えにくい。
検討する価値があるのは、特定の暴風雨がもたらす具体的な脅威を、どうすればより適切に伝えられるかだ。平均より多くの水分を含み、洪水の危険が高まっているのか。それとも、異常に強い風によって高潮でより多くの水が陸地に押し寄せる可能性があるのか。
12月、サイクロン「ジャスパー」はカテゴリー2の勢力でクイーンズランド州北部に上陸した。勢力の分類では比較的弱い部類だったにもかかわらず、大量の雨を降らせ、壊滅的な洪水を引き起こした。住民や農家は、気象局が脅威の規模を十分に伝えなかったと批判した。より具体的な警報が役立つ可能性がある。

暴風雨の尺度は何のためにあるのか?
世界各地の熱帯低気圧警報センターは、最大風速の基準に基づく単純な強度尺度を使ってサイクロンを分類している。サイクロン、ハリケーン、台風は、同じ熱帯暴風雨を指す異なる名称だ。
いくつもの強度尺度が使われている。サファ・シンプソン・スケールは、米国立ハリケーンセンターが、中部および東部北太平洋と北大西洋の海域で発生するハリケーンに用いている。オーストラリア、北インド洋、南西インド洋、西部北太平洋の海域では、それぞれ異なる尺度が使われる。重要なのは、現在使われているすべての尺度に上限がないことだ。つまり、最終カテゴリーは一定の基準を超える風速に基づくが、上限は設けられていない。
熱帯低気圧は、海上にあるときや接近・上陸するとき、さらには通過後にも、私たちに多くの脅威をもたらす。
脅威には、熱帯低気圧の目の近くで吹く猛烈な風や、目から数百キロにわたって広がる破壊的な風の帯、風で高まる波、高潮、大雨、それに伴う洪水や土砂崩れが含まれる。
これらの脅威のうち、どれが他より確実に多くの命を奪い、被害をもたらすとは言えない。2013年のカテゴリー1の熱帯低気圧「オズワルド」は、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州で大雨と洪水を引き起こした。一方、1992年のカテゴリー5のハリケーン「アンドリュー」は、フロリダ州に上陸した際、風で壊滅的な被害をもたらしたが、雨や高潮による被害はほとんどなかった。
本当にカテゴリー6が必要なのだろうか?
研究者らは、サファ・シンプソン・スケールのカテゴリー6を、秒速86メートル(時速309キロ)を超える風を伴う暴風雨とすることを提案している。
研究者らによると、2013年以降、5つの熱帯低気圧がこの基準を超えたという。確かに、ハリケーン「パトリシア」(2015年)はこの基準を満たす。しかし、過去40年間で研究者らの基準を満たすのは、米国の航空機による観測で十分に確認されたこの1つだけだ。他の4つは西半球ではなく、アジアに影響を及ぼした台風だった。これらの地域では、気象学者は風速を確認するための航空機観測を行わない。風速の推定値には大きなばらつきがあり、これら4つの風速は検証できない。

研究者らは自説を裏付けるため、特定の環境下で熱帯低気圧が到達し得る最大強度も用いている。気候予測から直接算出でき、将来、熱帯低気圧の強度がどう変化するかを調べる際によく使われるため、科学者にとって有用だ。しかし、重要な限界がある。熱帯低気圧が最大潜在強度に達することはまれである。
サファ・シンプソン・スケールを最初に考案した際、ハーブ・サファとボブ・シンプソンは、カテゴリー5のハリケーンが上陸すれば、あらゆるインフラが壊滅的な破壊を受けると説明した。オーストラリア熱帯低気圧尺度は基準が異なるものの、カテゴリー5の暴風雨については同様の考え方に基づいている。
カテゴリー5以上の風が壊滅的な結果をもたらすという理解に基づけば、カテゴリー6を加えることで市民にどのような利点があるのか、見えにくい。カテゴリー5が「壊滅的な結果を覚悟せよ」を意味するなら、カテゴリー6は何を意味するのだろうか?

サイクロンの脅威を最も効果的に伝えるには?
科学者たちは、起こり得る被害の性質や規模を明確に伝える手段として、熱帯低気圧の強度尺度を考案した。包括的な尺度を意図したものではない。最も強い風が吹く目の周辺でのみ有効な、単一の風速に基づいているためだ。
こうした尺度の本来の目的は、建物やインフラが風圧にどれほど耐えられるか、また私たちをどれほど守れるかを測ることだ。建築基準や避難計画などの防護策が、カテゴリー5の暴風雨でも壊滅的な損失が生じないところまで改善されたなら、カテゴリー6を導入する意味が出てくるかもしれない。しかし、まだそこには至っていない。カテゴリー5でもカテゴリー6でも、壊滅的な損失に変わりはない。
検討すべきなのは、尺度を別の形で改善できるかどうかだ。こうした気象現象がもたらし得るさまざまな脅威をとらえながら、尺度の簡潔で効果的なメッセージを維持できるだろうか?





