現在、世界の海洋には約 3億3,000万立方マイルの水 があり、地球上の水全体の97%を占めています。地球の45億年に及ぶ歴史の初期、大気中や地球内部の水が、地表の低い場所に徐々に集まり、海盆を形成しました。その過程で塩分も蓄積していきました。
1993年から2008年までの海面変化
NASA/JPL
地球を取り巻く海洋の水位、そしてそれによって決まる海岸線の位置は、海洋に存在する水の総量に直接関係し、気候とも密接に結びついています。気候が変化すれば、海面も変化します。
およそ35億年前にさかのぼる海洋の歴史を通じて、数百万年の誤差はあるものの、気候は絶えず変化し、それに応じて海面も上昇と下降を繰り返してきました。海水が温まると膨張し、海面が上昇します。地球が温暖化すると、氷床や氷河が融解して後退し、海洋に水が加わるため、海面が上昇します。
人々が海面、つまり海洋の高さを記録してきた期間は、約200年に及びます。比較的最近まで、その記録には潮位計が使われていました。潮位計は、海岸沿いの構造物に固定された水位記録装置です。桟橋やコンクリート製の防波堤、あるいは長期間安定している別の頑丈な構造物に設置されます。
世界で 最古の潮位計 はポーランドの海岸にあり、1808年に設置されました。米国には1856年以来稼働している潮位計が2基あり、1基はニューヨーク、もう1基は サンフランシスコにあります。ほかにも多数ありますが、その大半はもっと新しく、50~75年前に設置されたものも多くあります。
潮位計は基本的に、海に差し込まれた大きな管で、内部の浮きが水位の変化に応じて上下します。潮位が毎日満ち引きするたびに、こうした計器が水位の変化を来る日も来る年も記録します。
これらの計器は当初、船が安全に港へ出入りできるよう、水深の正確な情報を提供する目的で設置されました。しかし時がたつにつれ、これらの計器に記録された海面が世界的に上昇していることが明らかになりました。
ルイジアナ州グランドアイル(ニューオーリンズ近郊)のNOAA潮位計データ。ミシシッピ・デルタ地域の沈下により、陸地に対して海面が年9.03 mm(1世紀あたり36インチ)の速度で上昇しています。
NOAA
これらの公式潮位計はそれぞれ、特定の沿岸地点の海面を記録しています。しかし、多くの沿岸地域は安定していません。ニューオーリンズやベネチアのように沈下している地域もあれば、アラスカやスカンジナビアのように隆起している地域もあります。各潮位計は、設置されている陸地に対して海面がどのように変化しているかを記録します。
アラスカ州ジュノーのNOAA潮位計記録。海岸線の隆起により、陸地に対して局地的な海面が年13.16 mm(1世紀あたり4.3フィート)の速度で低下しています。
NOAA
過去1世紀に世界の海面は年約1.7ミリ(1世紀あたり約7インチ)の速度で上昇しましたが、潮位計の設置場所には、海岸が隆起している所も沈下している所もあるため、局地的な海面上昇率は異なります。アラスカの一部では、海面より速く陸地が隆起しているため、潮位計は陸地に対する海面の低下を実際に記録します。
こうした地理的な差異は、1993年にレーダーで宇宙から海面の高さを非常に精密に測定する衛星2基が打ち上げられたことで解消されました。このハイテクな方法は地球上の地面の動きによる問題を取り除き、過去22年間の新たな世界平均の海面上昇率として年3.2ミリを示しました。これは1世紀あたり12インチに相当します。
陸地の標高、地図上の等高線、海図上の水深は、長期平均の海面を基準としています。ただし、世界の海面は、局地的な水温、海流、気圧、風の違いによって変動するため、どの瞬間にも一様ではありません。このため事情は複雑です。
こうした地理的な変動を整理し、一定の基準点を設けるため、長期間にわたる多数の潮位計の海面標高を平均して、基準面が定められました。この基準面は現在、北米垂直基準面(NAVD)と呼ばれ、すべての地図上の標高の基準となる高さ(平均海面に近い値)です。つまり、桟橋、高速道路、建物が「海抜20フィート」とされる場合、それはこの公式の北米垂直基準面から20フィート上にあるという意味です。
この記事は The Conversationとの協力により掲載しています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。
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著者:ゲイリー・グリッグスは、カリフォルニア大学サンタクルーズ校海洋科学研究所所長であり、地球・惑星科学の特別教授です。
画像:2010年3月20日、サンティアゴの北西約75マイル(121 Km)にあるビニャ・デル・マール市で、夕暮れ時に波に乗るサーファー。REUTERS/Eliseo Fernandez。





