オーストラリアは、さらなる絶滅をどう防げるのか?

オーストラリアは、さらなる絶滅をどう防げるのか?
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昨年7月、連邦環境相のグレッグ・ハントは、オーストラリア初の 絶滅危惧種コミッショナーにグレゴリー・アンドリュースを任命したと発表した。彼の使命は、増え続ける在来の動植物種の絶滅を防ぐ手助けをすることだ。

アンドリュースの任命に際し、科学者チームが、オーストラリア北部の先端沖、東部トレス海峡にある不安定な4~5ヘクタールのサンゴ礁州であるブランブル・ケイへ派遣された。チームは、ここ以外では記録がなく、2007年以降目撃されていない小型げっ歯類の ブランブル・ケイ・メロミスを捜索した。

チームはこの種の痕跡を何も見つけられず、オーストラリアの哺乳類がまた一種、絶滅したことを示唆している。ヨーロッパ人の植民以来、哺乳類30種(オーストラリアの哺乳類種の10%超)が同じ運命をたどった。オーストラリアは、どの国と比べても最悪の部類に入る絶滅記録を持つ。

1,850を超える動植物が、連邦法( 環境保護・生物多様性保全法)に基づき絶滅危惧種に指定されている。このうち800種以上については、絶滅を防ぐために何をすべきかが分かっている。

問題は、利用できる資金が限られるなかで、どの種を優先すべきかということだ。

資金はいくら必要か

オーストラリアは最近、統治、国土の広さ、豊かさを考慮した世界の生物多様性に対する負担分の資金拠出について、 下位40か国 の一つにランク付けされた。

どの動植物を救うかの優先順位付けは、他を救うために一部を諦めるトリアージを意味するため、議論を呼ぶ。

しかし、実施せざるを得ない。絶滅の危険が最も高い種を優先する方法もあるだろう。しかし、この方法の非効率性は 十分に記録されている。各州・準州は、種の優先順位付けに、より複雑な方法を採用している。

真に必要なのは全国的な制度であり、これは2008年のオーストラリア環境法制に関する ホーク報告書 の主要勧告だった。アンドリュース・コミッショナーには、そのような枠組みの策定が課されている。

保全の課題

一般の人々が保全を望む象徴的な種(コアラなど)と、知名度は低くても科学的に同じくらい重要な絶滅危惧種( マウンテン・ミスト・フロッグ や大半の在来牧草など)との間には、緊張関係がある。

例えば、2014年1月、オーストラリア政府はタスマニアデビルの回復に 300万豪ドルを拠出すると約束した 一方、クイーンズランド州政府は、コアラの回復に2012年から2015年にかけて 2,650万豪ドルを投じている 。こうした投資は必然的に、絶滅の危機にある他の種から資金を振り向けることになる。

さらに、ジュゴン、海鳥、沿岸のイルカなど、絶滅危惧種には指定されていないものの、オーストラリアが締約国である国際的な保全協定の対象となっている種もある。明らかに、これらの種にも、オーストラリアで絶滅危惧種に指定されている種と並行して注意を払う必要がある。

絶滅危惧種のための3つの赤いバケツ

保全資金は3つに分けるべきだ。ジョアン・キム、ミレナ・キム、ボブ・プレッシー、著者提供

象徴的な種と、そうでない種とでは、異なる種類の資金が必要だ。環境オフセットが対象とする第3のカテゴリーもある。ニュージーランドでは、象徴的な種への資金が他の種への資金と明確に分けられており、象徴的な種が政治的に敏感な問題であることが認識されている。

ニューサウスウェールズ州は、 同じアプローチを採用しつつある。オーストラリア政府も同様の対応を検討できるだろう。

絶滅危惧種は、公共部門と民間部門の双方から資金を得ている。資金源にはオフセットもある。絶滅危惧種(または渡り種)に影響を及ぼす開発事業は、他の場所で保護を確保することで、 損害を相殺しなければならない 。

例えば、クイーンズランド州のガリリー盆地で現在進行中および計画中の石炭採掘事業は、ノドグロキンセイチョウの生息地の大部分を破壊する可能性がある。現在の開発承認を相殺するために、ノドグロキンセイチョウの 最良の生息地 が約17万ヘクタール必要となる。

オフセットは、ビクトリア州のクサムラツカツクリの事例のように、限られた範囲で用いられてきたほか、コアラへの適用も提案されている。オフセットを活用するには、政府のあらゆるレベルでオフセット政策を 抜本的に見直す 必要がある。

種をバケツに割り当てる

では、種の各カテゴリーにはどのように資金を割り当てるべきだろうか。

象徴的な種であるビルビーには、理想的には象徴種用のバケツから資金を出す。そこには、NGO、民間企業(ピンク・レディーはチョコレート製のビルビーの販売を通じてセーブ・ザ・ビルビー基金を支援している)、官民パートナーシップからの拠出金が入る。

対照的に、リストに載る約1,300種の植物のように、多くの絶滅危惧種は一般の人々に知られておらず、大きな民間資金を集める可能性は低い。こうした種には、主に公的資金で賄われる、非象徴種用のバケツから資金を充てられるだろう。

開発計画によって危機にさらされ、オフセットが必要となる可能性の高い絶滅危惧種には、象徴的な種(コアラ)も、そうでない種(グローリング・グラス・フロッグ)もある。オフセット用のバケツからの資金は、主に非象徴種または渡り種、すなわち限られた公的資金に最も依存する種に向けるべきだ。

オフセットや民間資金の活用によって、絶滅危惧種に対する政府の責務が軽減されてはならない。むしろ、非象徴種用のバケツの資金規模は、絶滅危惧種の保護に関するオーストラリア政府の国際的な約束を反映すべきだ。

例えば、オーストラリアは種を保護する複数の国際条約の締約国である。これには、国連生物多様性条約、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、移動性野生動物種の保全に関する条約が含まれる。

保全資金のこうした抜本的な見直しは、オーストラリアの絶滅危惧種の生存見通しを大きく改善し、種の絶滅という壊滅的な記録に歯止めをかけることにつながり得る。コミッショナーには変化をもたらす機会が数多くある。

この記事は、 The Conversationとの協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:ミレナ・キムは、ジェームズ・クック大学の環境政策担当リサーチ・オフィサー。同大学の教授兼保全計画プログラム・リーダー。

画像:2歳のコアラ、ジンベルングが、2014年11月16日、ブリスベンで開催されたG20サミットのメディアセンターで抱かれている。REUTERS。

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