世界規模の「自然保護ベーシックインカム」は、なぜ賢明な投資となり得るのか

The cost of a global conservation basic income would be at least US$351 billion each year, and maybe as much as US$6.73 trillion.
The cost of a global conservation basic income would be at least US$351 billion each year, and maybe as much as US$6.73 trillion.Image: Unsplash/Piotr Usewicz
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  • 世界規模の自然保護ベーシックインカム(CBI)には数兆ドルの費用がかかる可能性があるが、長期的な便益を考えれば、依然として賢明な投資である。

  • CBIは、自然地域の近くに暮らし、その保全に取り組む地域社会に経済的支援を提供し、保全活動を促して持続可能な慣行を推進することを目指す。

  • 研究によれば、CBIに投資することで、重要な生態系の保全を確かなものにし、気候変動を緩和し、生物多様性を守り、持続可能な開発を支援できる。

  • 自然保護ベーシックインカムは、貧困への対処、天然資源への圧力の軽減、地域社会の管理責任意識の醸成を通じて、環境劣化の根本原因に取り組むことができる。

世界各地の重要な保全地域に暮らす人々や、そうした地域を利用する人々に、政府が無条件で資金を給付すると想像してみよう。対象は、アマゾン熱帯雨林の先住民族から、東アフリカの平原を移動する牧畜民、インドネシア沿岸部に暮らす漁業者までさまざまだ。これが自然保護ベーシックインカム(CBI)であり、最近提案された普遍的ベーシックインカムという広く知られた考え方をモデルにした制度である。

私たちの試算では、世界規模のCBIには少なくとも3,510億米ドル、最大で6兆7,300億米ドルの費用がかかる。研究成果は学術誌『Nature Sustainability』に掲載された。いずれにしても莫大な金額であり、政府が現在、保全に毎年支出している約1,330億米ドルを大きく上回る。

しかし、こうした給付によって、自然に依存する推定44兆米ドルの世界の経済生産を守れることを考えれば、自然界を保全するための賢明な投資といえる。

公正で、衡平で、持続可能

自然保護戦略では通常、保護区を設置したり、観光や炭素貯留を通じて収入を生み出したりする。しかし、こうしたトップダウン型の取り組みは、しばしば先住民族や地域社会に大きな負担を強いるうえ、失われた生計を補うのに十分な収入をもたらさないことも多い。また、先進国の過剰消費を支える資源採掘型産業に代わる、適切な選択肢を提供できないこともある。

自然保護のための給付は、パーム油産業で働くことに代わる選択肢となる可能性がある。Image: KYTan / shutterstock

自然保護ベーシックインカムは優れた考えであり、より公正で、衡平で、持続可能な社会につながると考える十分な理由がある。例えば、無条件の現金給付は、人々が自らの世界観に沿って暮らしを向上させる助けとなる一方、野生生物やその他の天然資源を過剰に利用せざるを得なくすることの多い貧困の罠を和らげる可能性がある。

同様に、給付によって、住民は土地の収用に抵抗したり、輸出用の換金作物を栽培したり、環境を破壊する産業に労働力を売ったりせずに済む可能性がある。また、地域活動や社会参加に充てる時間が生まれ、地域の制度や意思決定の強化にもつながり得る。こうしたことはすべて、大衆迎合的な政治や資源採掘産業による世論操作の影響力を弱め、歴史的に続いてきた資源の流出をグローバルサウスから是正する助けとなり得る。

高額だが、価値がある

CBIには理論上、一定の可能性があることは分かっていた。しかし、費用がどれほどになるかを知りたかった。そのためには、給付を受ける人が何人ほどになるのか、また一人ひとりがいくら受け取るのかを推計する必要があった。

最も控えめな案として、生物多様性にとって特に重要な地域だけを対象とした場合、世界で約2億3,200万人にCBIを給付することになると推計した。既存のすべての保護区を対象とする、より意欲的な案では、3億1,800万人が対象となり、そのうち2億3,800万人は低・中所得国に暮らす。中国だけでも7,000万人に上る。生物多様性全体を守るために必要な地球表面の44%を対象とする、さらに包括的なCBIでは、驚くべきことに16億人への給付が必要となる。

妥当と考えられる給付額をいくつか検討した。第一は、居住国にかかわらず、一人当たり1日5.50米ドル(4.42ポンド)を一律に支給する案である。この金額は世界的な貧困ラインとみなされているため採用した。第二は、各国の一人当たり国内総生産の25%を支給する案である。

第三は、その国の所得グループに応じた貧困ラインを支給する案である(すなわち、低所得国では1日1.90米ドル(1.53ポンド)、低位中所得国では3.20米ドル(2.57ポンド)、高位中所得国では5.50米ドル(4.42ポンド)、高所得国では21.70米ドル(17.42ポンド)。)

これらの給付額をさまざまな人口推計に当てはめ、想定される費用の幅を算出した。そのため、対象地域と給付額の選択によって、自然保護ベーシックインカムの費用は年間3,500億米ドルから6兆7,300億米ドルに上ると推計される。

中間的な選択肢の一つは、低・中所得国にある既存の保護区の住民に1日5.50米ドルを支給する案で、年間4,780億米ドルの費用がかかる。

これも莫大な金額だ。しかし、世界の自然を効果的に守るために必要だと自然保護活動家が主張する金額の範囲内であり、政府が有害産業への補助金として支出していると推定される最大年間5,000億米ドルを下回る。

うまくいくのか?

世界規模のCBIにおおよそいくらかかるかは分かったが、実際に機能するという証拠も必要だ。そのため、地域主導の試験的な取り組みが重要な次の段階となり、実施時に生じうる課題を明らかにする助けとなるはずだ。例えば、給付によって保全地域への移住が促されるだろうか。また、中央アジアの牧畜民のような、地域外の資源利用者や移動する人々も制度の対象にするにはどうすればよいだろうか。

期待できることに、すでに複数の地域でCBI制度の提案がある。世界有数の生物多様性を誇る一方、最も貧しい地域の一つでもあるインドネシア領ニューギニアでは、最近の報告書が、炭素クレジットの販売収益の配当(その限界も考慮する必要がある)を通じてベーシックインカム制度を実現できる可能性を示した。収益は年間1,730億米ドルと推定され、成人一人当たり月約180米ドルを給付できる。

他の現金給付プログラムから得られた証拠も有望だ。例えば、広大な熱帯林を抱えるインドネシアでは、最も貧しい数十万世帯への無条件給付によって、森林減少も抑えられた。

最近の調査では、自然保護活動家自身もCBIの考えを支持していることが分かった。今こそ、より大規模に自然保護ベーシックインカムを試す時だと私たちは考える。

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