気候変動との闘いで流れを変えようとする私たちにとって、森林はおそらく最大の資産だ。
その多くが先住民である森林チームは、この闘いの最前線に立ち、世界最大の炭素吸収源を守り、再生するために日々取り組んでいる。
しかし、種子の増産からスタートアップ資金の調達まで、2023年にはより手厚い支援が必要だ。
世界各地で森林チームは、炭素を吸収し、私たち全員に恩恵をもたらす生物種豊かな生態系の再生に懸命に取り組んでいる。気候危機を懸念するすべての人にとって、彼らを支援することは最優先事項であるべきだ。
適切に行えば、森林再生は炭素吸収を最大化するだけでなく、生物多様性を守り、先住民や地域社会に持続可能な雇用と機会を生み出すこともできる。
しかし、植樹の取り組みや森林炭素プロジェクトは、あまりにも頻繁に植林地に依存しており、そこには在来種がほとんどなく、本来の生物多様性に富む森林とは似ても似つかない。最悪の場合、こうした樹木農園は水や土壌を損ない、地域社会を立ち退かせる。
世界的な機運に変化
本物の森林を育てるには、現場のチームに実効性のある支援が必要だ。2023年、私たちにはその支援を提供する前例のない機会がある。
昨年11月、エジプトで開かれたCOP27気候会議の首脳らは、自然保護を目指す画期的な合意をまとめた。26カ国の代表が森林・気候リーダーズ・パートナーシップ(FCLP)を設立し、森林減少の阻止と反転に取り組むこととなった。このパートナーシップは、資金を動員し、森林保全を促し、先住民や地域社会が主導する取り組みに投資することを目指す。この機運はCOP15にも引き継がれ、世界の首脳らは画期的な「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を採択し、地球の生態系を保護・再生することを約束した。
合意を行動に移し、森林チームを支援する
今こそ、その約束を具体的な行動に移すときだ。現場の森林チームにツールや研修、リソースを提供すれば、私たちは生命を支える、本物で持続する森林を育てることができる。
この1年間、テラフォーメーションは保全と炭素吸収の最前線にいる世界各地の森林チーム230組に話を聞いた。2023年に成功するために必要なものとして、彼らが挙げたのは次のとおりだ。
1. 立ち上げ資金へのアクセス。
FCLPは、森林のために官民の資金を動員することを目的としている。この約束を実効性のあるものにするには、森林チームが資金をすぐに、実際に利用できる必要がある。特に、再生プロジェクトの困難な立ち上げ段階では不可欠だ。
政府、企業、その他の組織は再生に数十億ドルを拠出すると約束しているものの、植樹が始まるずっと前から発生するプロジェクトの立ち上げ費用に充てられる資金はごくわずかだ。現状では、チームの95%は資金がまったく足りていない。ネパールのあるNGOのリーダーはこう説明した。「助成金を追い求めてばかりいるように感じます。それが実施の妨げになっています。」
森林資金をめぐるいくつかの革新は、大規模な再植林を推進するために必要な多額の民間資本を呼び込む助けとなる。再生プロジェクトのリスクが高い初期段階で信頼性と透明性を高めれば、民間資本が新たな森林プロジェクトの立ち上げ費用を支援する道が開け、業界の拡大につながる。
テラフォーメーションの「Seed to Carbon Forest Accelerator」は、こうした課題への対応に一定の役割を果たしている。このプログラムは、森林チームが事業を継続的に拡大するための資金を確保できるよう、重要な初期段階で包括的な支援を提供する設計だ。InstacartやStripeのようなスタートアップをテック系アクセラレーターが支援してきたのと同じような仕組みである。
2. 炭素クレジットの基準を引き上げる。
需要が高まっているのは、自然由来の炭素クレジットだ。 企業のサステナビリティ計画の一環として購入される炭素クレジットは、森林への資金提供や生物多様性に富む再生の加速につながる。ただし、それが本物の森林に資金を充てる場合に限られる。現在、検証済みの炭素クレジットの多くが、自然生態系の再生ではなく、生物多様性の乏しい植林地を支援している。
炭素クレジットの品質基準を引き上げる必要がある。検証を受ける前に、プロジェクトが在来種を取り入れ、生物多様性を確保することを義務づけるべきだ。ネイチャー・ポジティブ運動の高まりに加え、生物多様性クレジットへの関心の高まりも、生態系の真の再生を後押しする可能性がある。
3. 種子の供給を改善する。
世界の再植林目標を達成するには、森林管理者に数兆個の種子が必要だ。しかし現時点では、世界には、その規模で種子を貯蔵し、増殖させるためのインフラがない。同時に、気候変動や異常気象によって種子の採集も難しくなっている。
供給量に加え、種子貯蔵インフラの不足も広く見られる問題だ。その結果、調査対象となった森林チームのほぼ半数は、現在、種子を保管していない。これにより再植林プロジェクトの生物多様性の可能性が制限され、回復力も直接損なわれている。
種子が増えなければ、FCLPのようなハイレベルなパートナーシップも、現場で迅速に成果を上げるのに苦労しかねない。種子問題の解決には、分散型の世界的な種子バンク網が欠かせない。しかし、今世紀半ばまでに実現するには、植樹に関わるすべての人々、すなわち政府、ネットゼロを目指す企業、土地所有者などが、このネットワークの構築と、今後数十年間の運営に必要な数千人の人材の育成に投資する必要がある。
ボタニック・ガーデンズ・コンサベーション・インターナショナルのように在来種子の保全に取り組む組織や、世界各地の森林チームをつなぐRestor.ecoのようなプラットフォームは、種子貯蔵施設とその運営に携わる人々の双方のネットワークづくりを促進できる。
4. 研修、技術、追跡ツール。
森林チームは地域の生態系について深い知識を持つ一方、再生プロジェクトを迅速に拡大するのに役立つ技術ツールには不慣れなことが多い。さらに、プロジェクトの70%には、現場データの収集や進捗の監視・報告に必要な技術がない。
チームには、種子の採集を簡単に追跡し、種を記録して、樹木を地図上に表示できるソフトウェアが必要だ。こうしたツールは、追跡によってリスクを大幅に減らし、投資機会を増やせるプロジェクト初期に特に重要となる。再植林の約束を今年実現するには、この重要な技術を利用できるようにし、研修を提供することが不可欠だ。
気候変動対策の拡大に向けた連携
森林チームが直面するボトルネックは深刻だが、克服できる。
世界はすでに正しい方向に進んでいる。官民の資金を増やし、FCLPのようなパートナーシップを広げれば、世界的な取り組みの焦点を定めるとともに、種子インフラと炭素市場へのアクセスを改善できる。
1t.orgは、世界の再植林コミュニティをつなぎ、活動を動員する世界経済フォーラムのプラットフォームであり、あらゆる分野の関係者を集めて、こうした再生の課題に共同で取り組み、2023年の行動拡大に向けた新たなパートナーシップを促進するうえでも重要な役割を担う。
気候危機と生物多様性危機が深刻化するなか、私たち全員の未来は、世界各地、とりわけグローバルサウスの森林チームに大きくかかっていることを忘れてはならない。彼らは気候変動対策の公約を本物の森林へと変えられる。来年は、彼らが直面する最大の障壁への対処を最優先にすべきだ。




