海水中の塩分から気候変動の影響を予測できる

a team of researchers take samples from the artic ocean
Salty areas of the ocean getting saltier and fresh areas getting fresher.Image: REUTERS/Kathryn Hansen/NASA
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  • 気候変動が深刻化するにつれ、極端に湿潤または乾燥した天候がより一般的になる可能性が高いです。

  • 気温が1°C上昇するごとに、大気が保持できる水分量はおよそ7%増加し、降雨の極端化が起きやすくなります。

  • 新たな研究手法では、海面の塩分濃度を用いて、陸地の季節降水量がどのように変化するかを予測します。

  • 研究では、塩分の多い海域はさらに塩分が濃くなり、淡水域はさらに淡くなるという傾向が示されました。

  • この水循環はヴィクトリア朝時代以降強まっており、洪水、干ばつ、山火事がより頻繁かつ激しくなっています。

近年、欧州では洪水が 前例のない被害 をもたらしており、中国の鄭州市では平年の1年分に相当する降雨がわずか 3日間で降りました。一方で、極端な暑さと干ばつが山火事を引き起こし、数百人の死者を出したのは北米北西部です。

このような極端に湿潤または乾燥した天候は、気候変動が深刻化するにつれてより一般的になる可能性が高いです。これは、温暖化した世界では大気が保持できる水分量が 増加するためです。大まかな目安として、気温が1°C上昇するごとに、大気が保持できる水分量は最大7%増加します。

水分が増えると降雨の極端化が進みます。逆説的ですが、乾燥地域では蒸発によって大気中へ失われる水分が増える可能性もあり、そのため干ばつが長期化し、激化するおそれがあります。

過去の降雨の変動を知ることは、科学者が将来の変化を予測するのに役立ち、記録が長いほどその価値は高まります。しかし、衛星技術のおかげで正確な地球規模の測定が可能になったのはごく最近のことであるため、何十年、さらには何世紀にもわたって世界の降雨パターンがどのように変化してきたかをどう評価できるでしょうか。

新たな手法では、海面の塩分濃度を用いて、陸地の季節降水量がどのように変化するかを予測します。海面の平均塩分濃度は、海水1キログラムあたり約35gの塩分です。ただし、水の蒸発が多い亜熱帯域は最も塩分が高く、極域や熱帯域は、そこで得られる雪や雨の量を反映して塩分が低くなります。つまり科学者は、海洋を巨大な雨量計として利用する方法を見いだしたのです。

降雨の測定

研究船やブイによる測定を用いて、科学者は 明らかにしました。1950年代以降、海の塩分の多い海域はさらに塩分が濃くなり、淡水域はさらに淡くなっています。これは、蒸発と降水からなる地球規模の水循環が過去70年にわたって強まってきたことを裏付けています。

しかし、気候変動がこのプロセスをどのように加速させるかを理解するには、地球規模の海洋観測が可能になる前の、産業時代初期の海洋の塩分がどのようなものであったかを知ることが役立つでしょう。

幸いなことに、1870年代には世界一周を行った先駆的な海洋調査航海が2回ありました。ジョン・マレー卿が率いた英国海軍の HMS チャレンジャー号(1872~1876年)の航海は、大規模な海洋科学の出発点と広く見なされています。その多数の報告書は、海洋化学や物理学だけでなく、海洋生物学や地質学における新たな発見を記録しています。

あまり知られていませんが、ドイツ海軍の SMS ガゼル号(1874~1876年)の航海も、チャレンジャー号と同様の測定を行いました。両船とも塩分を測定したわけではありません(当時は定義が曖昧な概念でした)が、海水サンプルの比重を慎重に測定していました。

私たちはこれらの比重の値を塩分に換算し、1950年代の前後に起きた海水の塩分変化を比較できるようにしました。私たちの 研究では、塩分の多い海域はさらに塩分が濃くなり、淡水域はさらに淡くなるという傾向が、1870年代から1950年代の間にも当てはまることが示されました。

しかし、産業時代初期であったこの80年間の変化の速度は、1950年代から現在までの変化の速度の半分でした。簡単に言えば、その傾向は加速しており、過去150年間の海面水温の変化の加速とも一致しています。水循環はヴィクトリア朝時代以降強まっており、洪水、干ばつ、山火事がより頻繁かつ激しくなっています。

1950年代以降の海洋の塩分変化。 Image: Nature Communications in Earth and Environment、CC BY

海面の塩分、降雨、海水温と気温の複雑な関係を解明するには、スーパーコンピューターで動かす海洋と大気の複雑なモデルを用います。温室効果ガスの排出が続けば、世界の気温が上昇し続けることは確実です。さらに、これらのモデルが、19世紀まで遡って測定された海水の塩分変化と、20世紀半ば以降のより速い変化を再現できれば、洪水や干ばつに関する科学的予測への確信も高まります。

近年の極端な気象現象が示したように、これは単なる学術的な関心事ではなく、何百万人もの人々の生活の行方を左右するものなのです。

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