海洋微生物の世界最大のDNAデータベース、海洋の健康への地球温暖化の影響を追跡

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  • 新たに公開された「Global Ocean Gene Catalogue(全球海洋遺伝子カタログ)」は、これまでで最大規模のオープンソースの海洋微生物データベースです。

  • 研究者らは、このDNAデータベースが医療、エネルギー、農業分野での画期的な進展につながることを期待しています。

  • 世界経済フォーラムの「海洋行動アジェンダ(Ocean Action Agenda)」は、海洋を保護・回復させるとともに、沿岸部や海洋に依存するコミュニティの回復力を高めることで、健全で豊かな海洋の実現に取り組んでいます。

ヒトゲノムについてはご存じかもしれませんが、海洋ゲノムについてはご存じでしょうか。

前者がヒトに存在する遺伝子の全体像を解明する一方で、後者は海洋の動植物について同様の解析を行うものです。

サウジアラビアのキング・アブドゥッラー科学技術大学(KAUST)は、このたびGlobal Ocean Gene Catalog 1.0を公開しました。これには3億1,700万を超える遺伝子クラスターが含まれており、世界中の海洋から採取された試料に基づく、これまでで最大規模のオープンソースの海洋微生物カタログです。

次世代ゲノム解読技術により、このような種類のメタゲノム解析、すなわち試料内のさまざまな生物のゲノムを研究することが可能になりました。

海洋微生物は地球上で最初に誕生した生命体であり、窒素、硫黄、炭素など気候に関連する元素の循環に関与しています。

『Frontiers in Science』に掲載された本研究の著者らは、これらの微生物は、海洋の健康に対する地球温暖化や汚染、その他の影響を追跡するための基準を提供できると指摘しています。さらに、海洋微生物の研究は、医療、エネルギー、食品その他多くの分野で活用できる新たな遺伝子の発見にも役立ち得るとしています。

海洋はさまざまなゾーンで構成されています。Image: Wikimedia Commons

生命の揺りかごである海洋

海洋は地球上で最大の生息域です。その表面積のほぼ4分の3を占めています。海の生命は単細胞生物から始まり、今日の微生物の多様性は、エネルギーを得て有機物を処理するための、さまざまな機能や代謝経路を反映しています。

KAUSTの研究は、海洋の異なる領域や深度帯における微生物の分布と、その機能を示しています。

研究の試料において最も大きな生物群を形成する細菌は、海洋の下層部や海底(ベントス域)で最も多く見られます。ウイルスと真核生物は、遠洋域(外洋)で最も高い割合を示しています。

菌類は、遠洋域の中層において遺伝子クラスターの半分以上を占めており、微生物の多様性と機能性にとっての重要性が浮き彫りになっています。

海洋の上層部では、炭素関連の代謝経路や硫黄処理に関わる遺伝子も豊富に見られました。ベントス域で見つかった遺伝子は炭素固定に集中していた一方、光の届かない1,000メートルより深い暗黒の海洋に存在する遺伝子は、硝酸塩およびクエン酸塩の還元に関連していました。

さまざまな海洋深度で見つかった古細菌、細菌、真核生物、ウイルスの割合。Image: Frontiers in Science

海底は地球温暖化の危機にさらされている

これまでのところ、海洋メタゲノム解析(「環境試料に含まれる混合された遺伝情報の研究」)は、主に外洋である遠洋域に焦点が当てられてきました。

海底であるベントス域については、十分に記録されていません。海底は非常に脅かされていることを踏まえると、それらの微生物群集に関する基礎的な理解を深めることが極めて重要になると研究者らは述べています。

この領域の研究は、これらの生息域や生物がどのように機能しているかについての理解を深めるだけでなく、さらに多くの遺伝子や機能を発見する可能性ももたらすと、研究者らは付け加えています。多くのベントス生息域が危機に瀕していることから、これは重要です。

世界経済フォーラムは海洋に関して何に取り組んでいるのでしょうか?

例えば、科学者の予測によれば、地球温暖化が抑制されたとしても、2050年までにサンゴ礁の最大90%が失われる可能性があります。生物多様性のホットスポットとして、サンゴ礁は海洋生物種の4分の1を支えており、食料や生計を提供するとともに、洪水からの保護も担っています。気候変動と海水温の上昇は脅威の一つにすぎず、乱獲や汚染もサンゴの衰退の既知の要因です。

ベントス域は、深海採鉱によっても脅かされる可能性があります。電子機器や電化に必要とされる金属が海洋に豊富に存在するため、この活動は増加する可能性があります。

また、海洋プラスチックの95%が深海に行き着くことから、その遠方の微生物群集も、生息域や機能が損なわれるおそれがあると本研究は指摘しています。

海洋の健康状態を明らかにする

本研究の結果は、海洋ゲノムが動的であり、人為的な変化に反応することを示しています。その影響には、海洋細菌における抗生物質耐性の拡大のような進展が含まれ、これは例えば、沿岸地域での排水の放出など、人間の活動の結果として生じる可能性があります。

これらの動態を理解することは、生物多様性と海洋生息域を維持する上で極めて重要になります。これは、世界経済フォーラムの「海洋行動アジェンダ」の焦点でもあり、同アジェンダは、海洋を保護・回復させるとともに、沿岸部や海洋に依存するコミュニティの回復力を高めることで、健全で豊かな海洋の実現に取り組んでいます。

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