• COVID-19後に生まれる世界経済は、このような危機に対処する能力を高めなければなりません。
• よりレジリエントなシステムは、人々のウェルビーイングと地球の健全性が相互に結びついていることを認識します。
• 復興策は持続可能な成長を支えるべきです。化石燃料への補助金は廃止しなければなりません。
今は、私たちの人間性そのものが試されている時です。また、パンデミックの最前線にいない人は、この先少し遠くを見渡し、今後数週間から数か月で世界がどうなるかを思い描く時間を持てます。それが、より長期的な未来を形作る助けとなるでしょう。
考えてみてください。長い人類文明の歴史における、数ある悲劇の一つにすぎないとしたらどうでしょうか。集団の記憶の中で、時の流れとともにやがて忘れられる別のパンデミックにすぎず、人類にとって、世界にとっての決定的な瞬間ではないとしたら。5年後、10年後、あるいは50年後にこの危機を振り返ったとき、これが転換点だったと分かるとしたらどうでしょうか。
ポッドキャストで、ジェニファー・モーガンの対談をお聴きください。
COVID-19への対応は、世界規模で、科学的根拠に基づき、協調的かつ包括的でなければなりません。同様に、次のパンデミックや、気候危機のようなその他の世界的危機にも効率的かつ効果的に対処できる世界を築かなければなりません。
今、権力を持つ人々は、物事が現在どのように決定されているかを見直し、COVID-19と気候危機への対応にあたって、次の2つの問いへの答えに基づいて行動すべきです。最も脆弱な人々を守る、よりレジリエントで公正な制度をつくるには何をすべきでしょうか。パンデミックや気候危機のような危険にさらされる状況を招く慣行から経済の重点を移し、人々と地球のウェルビーイングを重視するにはどうすればよいでしょうか。その両者がいかに相互につながっているかを理解したうえで考える必要があります。
解決策に着手するには、短期的な成長とGDPを最優先する考え方が的外れだと認識し、人々と環境のウェルビーイングに焦点を当てなければなりません。GDPは経済パフォーマンスを測る時代遅れの方法であるだけでなく、ひいては社会の進歩を測る方法としても有害です。GDPでは、医療サービスが機能しているか、地球の限界の範囲内で暮らしているか、人々が平等かつ敬意をもって扱われているかを測れず、したがって知ることもできません。
4月3日付のフィナンシャル・タイムズの編集委員会の言葉を借りれば、「過去40年間の主流の政策方針を逆転させる抜本的な改革を、議題に載せる必要がある。政府は経済において、より積極的な役割を担うことを受け入れなければならない。公共サービスを負債ではなく投資と捉え、労働市場の不安定さを和らげる方法を探るべきだ。再分配も再び議題となり、高齢者や富裕層の特権が問われるだろう。最近まで風変わりと見なされていたベーシックインカムや富裕税などの政策も、選択肢に加えなければならない。」
この議論は今、中国で起きています。同国の中央銀行の有力顧問である馬駿氏は、現時点では特定の成長目標が最も重要な目標ではないとして、政府がその設定を取りやめるよう提言しています。
GDPに代わるものとして、何が考えられるでしょうか。一つの方法は、国連の17の持続可能な開発目標を踏まえたウェルビーイング指数です。これにより、将来のパンデミックや気候危機に対処する、よりレジリエントで持続可能かつ公正な世界への歩みを促せます。医療、食料、教育、住居、移動手段、文化といった基本的ニーズを誰も満たせずに取り残されないよう、またその一つひとつが健全で安定した環境と両立するよう、優先して取り組むことになります。
また、地域、国、国際の各レベルで、意思決定の規範の優先順位を見直す後押しにもなるでしょう。人権、社会権、環境権を保障する組織の意思決定能力と執行能力は、目に見える形で強化されます。パリ協定、CITES、生物多様性条約などの協定は、後回しにされたり「都合のよいときだけ」考慮されたりするのではなく、意思決定を導く力となるでしょう。

国際金融機関はその後、構造調整と成長(GDP)を条件とする融資から、採取型経済や浪費的な消費からの脱却につながる経済の多角化支援へと移行するでしょう。
ウェルビーイングを優先すれば、COVID-19への対応として「復興パッケージ」に投じられる数兆ドルは、ただ生き延びるだけでなく、私たちが豊かに生きるために必要な世界を実現するものとなるでしょう。こうした計画は、雇用保障制度の創設、生態系に配慮した農林業、環境負荷の小さい漁業、生態系の保全と再生、持続可能なモビリティ、協同組合の推進や地域主導の計画づくりを後押しする経済活動を支援します。もちろん、これですべてではありません。
人々と地球に焦点を当てるということは、化石燃料の探査・採掘のさらなる拡大や、工業型農業の市場シェア拡大を可能にしたり促したりする金融面の優遇措置、補助金、救済措置、政策上の支援策を一切設けないことも意味します。今後は、第一次産業と第二次産業を含むサービス業・産業部門へのあらゆる公的支援に、10年以内の完全な脱炭素化と生物多様性の損失の阻止を義務付ける計画を組み合わせるべきです。
地域社会と先住民コミュニティの権利、自然との本質的な結びつき、自然を守るうえでの役割を認め、その権利と役割を尊重して意思決定の中心に据えるべきです。貿易協定を見直し、何よりもまず人間の尊厳に応えるものとし、社会と自然の良好な関係を育むものにすべきです。
新型コロナウイルスの感染拡大に対して、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのでしょうか。
なぜでしょうか。今回は、人々と地球のウェルビーイングを最優先する、より良いものをつくると決めたからです。私たちは自然の一部です。自然を守ることで、自分たち自身を守るのです。
思い描くだけでなく、そのために闘う価値のある未来です。大きな進歩につながる変革の機会は、めったにありません。より環境に優しく、健やかで、公正な世界のために、今行動しましょう。




