この古代の建築技法は、今日の持続可能な解決策になり得るだろうか?

この古代の建築技法は、今日の持続可能な解決策になり得るだろうか?
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建築技法としての版築が、時の試練に耐えてきたと言ってよいでしょう。世界各地で建物を生み出すために用いられ、その美しさと堅牢さは今日も目にすることができます。たとえば、スペインの アルハンブラ宮殿 や 万里の長城があり、いずれも1,000年以上前に建設されました。

伝統的な版築は、粘土質の土、水、そして動物の尿や血液、植物繊維、瀝青などの天然安定材を混ぜて作ります。これを仮設型枠の中で突き固め、混合物が乾燥して固まった後に型枠を取り外します。こうしてできる構造体は、最大2.5メガパスカル(現代のレンガの平均圧縮強度の約10%)の圧縮力に耐えられます。

壁は、埋め込んだ木材の梁や竹の格子で補強できます。また、もちろん雨や風から守るための建築上の工夫も必要です。伝統的な版築で造られた建物の歴史的な例は、南米、中国、インド、中東、北アフリカで見ることができます。

ヨーロッパでは、特にフランス、英国、ドイツで伝統的な版築が再び注目を集めており、この技法を使った現代建築もいくつか建てられています。たとえば、下に示す3階建ての版築住宅は、2008年にオーストリアで建設されました。

過去30年間に、版築の新しい形が登場し、オーストラリア、カリフォルニア、カナダなど、世界の特定の地域で人気を集めています。セメント安定処理版築(CSRE)と呼ばれるこの工法は、粘土分の少ない土、水、セメントを混ぜて作ります。伝統的な版築と同様に、この混合物を仮設型枠の中で突き固め、乾燥させます。

しかし、強度は桁違いに高く、最大40メガパスカルの圧縮力に耐えるため、強度と耐久性はコンクリートに匹敵します。そのため、壁は強く耐久性があり、とりわけ鉄筋で補強すれば、雨や風から特別に保護する必要がありません。

持続可能な建築材料

伝統的な版築もCSREも、建築材料として魅力的な選択肢となる特徴をいくつも備えています。主な材料は土で、安価(無料の場合も)です。遠隔地では、現地の土で建築すれば、建設資材を現場まで運ぶ費用を大幅に削減できます。

この建築技法は非常に簡単です。一般に現場で必要なのは、作業員に型枠の組み立て方や材料の混ぜ方を指導する、経験豊かな建築作業員1人だけです。残りの作業は、地元コミュニティの未訓練または未熟練の人々が行うことができ、雇用を生み出すとともに、遠方から作業員を運び、宿泊させる費用を抑えられます。

版築は断熱性があまり高くありませんが、壁は非常に厚く(通常250~800 mm)、暑く乾燥した地域でも版築建築の室内を快適な状態にしやすいという利点があります。版築の壁は呼吸するため、室内の相対湿度を調節でき、呼吸器に問題のある人にも適しています。

そして最後に、版築の壁の仕上がりの質感は独特で美しいため、通常、漆喰や塗り仕上げは必要ありません。

版築でメッセージを伝える

現在、持続可能で費用対効果の高い建築技法として版築を広めることを目指すプロジェクトが、世界各地でいくつも進められています。

同僚たちと私は、西オーストラリア州住宅局と協力し、遠隔地の先住民コミュニティでCSREを利用する方法を調査しています。これまでのところ、先住民の人々の信頼を得ることが、プロジェクトで最も難しい課題となっています。

一方、米国では、コロラド大学が、先住民居留地に版築住宅を建てる可能性を検討する同様のプロジェクトを始めています。

なかでも特に注目すべきなのは、中国の 西安建築科技大学 が、伝統的な版築と現代的な版築の両方を使って農村コミュニティが新しい住宅を建てられるよう支援するプロジェクトを開発したことです。この取り組みは、地元の人々が版築で村全体を新たに築くことを成功裏に支援しました。

しかし、版築は手頃な価格の住宅プロジェクトだけに使われるわけではありません。意外なことに、もう一つの主な用途は、裕福で環境意識の高い顧客のために、風変わりな建築家が設計する高級住宅です。こうした住宅はたいてい、建築・デザイン雑誌に掲載され、芸術作品とみなされます。

では、なぜ誰もが版築を使わないのでしょうか?

版築は何世紀にもわたって使われてきましたが、今日では、上記のような専門的なプロジェクトに用途が限られています。なぜ、オフィスや住宅のような一般的な建物に、世界中で広く使われていないのでしょうか?

主な理由の一つは、知識の不足だと考えられます。版築そのものは古くからありますが、版築の研究は、コンクリート、鋼材、組積造、木材など、ほかの伝統的な建築材料と比べると、まだ新しい分野です。残念ながら、研究が不足しているため、材料やその構造特性への理解も不足しています。

もう一つの障壁は、規制、あるいは規制の欠如です。オーストラリアでは、ほとんどの国と同様に、版築建築に関する建築基準がありません。規制されていない建築技法を扱う見通しは、多くの技術者や建築家を遠ざけるでしょう。

朗報なのは、環境に優しく手頃な価格の住宅への関心がかつてないほど高まっていることです。さまざまな分野(工学、材料科学、建築学、化学など)の研究者たちが、この建築技法の普及を目指し、版築のさまざまな特性を調査し始めています。

アルハンブラ宮殿ほど壮大ではないかもしれませんが、今後数年のうちに版築建築の中にいる機会は増えていくでしょう。

この記事は、 The Conversationとの協力により公開されています。 元の記事をお読みください。

記事の公開は、世界経済フォーラムがその見解を支持することを意味するものではありません。

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著者:ダニエラ・チャンシオは、西オーストラリア大学の土木・環境・鉱山工学分野の上級講師です。

画像:北京郊外の万里の長城・司馬台区間を歩く訪問者。ロイター/Claro Cortes IV

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