遊びは世界の森林を大きく変える力になり得るか?

Games can help explore possible future outcomes for the environment
Policy-making through play … games can help explore possible future outcomes for the environment.Image: H. Dessard
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企業のリーダーであれ政府の代表者であれ、意思決定者には、法律、政策、規制を策定し、それを実施するために必要な資源を投入するという重大な責任がある。これは容易な仕事ではない。広範な調査に加え、さまざまな選択肢の長所と短所を比較し、政党の方針や企業戦略を考慮したうえで、最終的には自らの判断に基づき、多くの人々の暮らしや生計、そして環境に影響を及ぼす決定を下さなければならない。最善の意図をもっていても、誰も望んでいない集団的な結果に加担してしまうことがある。

人間の意思決定プロセスに内在する複雑さを捉えられるなら、モデルはこの仕事に役立つ。こうしたモデルの根幹には「限定合理性」を考慮する必要がある。人間の認知能力には限界があり、時間的制約のもとで行動し、部分的または不完全な情報しか得られないという事実だ。しかし理論モデルでは、現実世界におけるこの状態のあらゆる側面を正確に表現することは難しい。そこで登場するのが、シミュレーション、ロールプレイ、ゲームである。次の特徴を備えたこの手法は、複雑な問題を分解するための別のアプローチとなる。

適応性: ゲームでは、あらゆる形態の社会的相互作用や、あらゆる種類の利害関係者を表現できる。知識が蓄積し、新たな知見が得られるにつれて、ゲームは現地試験や、より高度なツールにかかる費用のわずか一部で、改変、拡張、再設計できる。そのため、急速な変化に対応し続けるのに最適なツールとなる。たとえば、ルールをいくつか追加し、新たなシナリオを設けることで、政治情勢の劇的な変化を表現できる。このツールは多様な目的にも役立つ。ゲームは教育や研究に活用できる一方、同じゲームを意思決定の場で使うこともできる。プレーヤーは自らの政策が及ぼす影響を検討し、検討中の政策変更への対応としてどのような対処策が生まれるかを探ることができる。

包摂性: 遊びは人間の本性の一部であり、何らかの形のゲームはあらゆる社会に存在する。だからこそ、価値観にかかわらず、誰もがゲームに参加できる。ゲームでは強力な対立勢力も表現できるため、参加者は対立や衝突を探ることもできる。それでも、あくまでゲームであるため、プレー中の参加者は危害から守られる。プレーヤーは当局者に賄賂を渡す、銀行から盗む、法律を破るといった行動をしても、その行動が現実のプレーヤーに悪い評価をもたらすことはない。この手法では、この特性が、利害関係者を集め、そうでなければ検討されなかったかもしれないシナリオを作るうえで鍵となる。ゲームは参加者の間に信頼と対話を育む安全な場を生み出し、多様な人々が集まって可能性を共に探ることを後押しする。

Image: E. Fauvelle

全体的視点: ゲームは外の世界の動きを映し出し、意思決定に影響を及ぼす複雑さと無数の要因を明らかにする。参加者や観察者は、部分の総和を超える全体としてシステムを捉えることができる。このアプローチは単純すぎるように見えるかもしれないが、注意深く詳細に設計すれば、それを強みに変えられる。優れたゲームが減らすのは複雑性ではなく、煩雑さである。ゲームはノイズとシグナルを選り分け、参加者にシステム全体をより明瞭に見渡せる視点を与える。それにより、重要なボトルネックに注意を集中させ、知識の不足を特定し、一歩引いて全体像を捉えられるようにする。

エンパワーメント: 遊びは普遍的で、動物界にも見られる。ライオンやオオカミが遊ぶ様子を見てみよう。遊びが成立するには、群れのリーダーがほかの個体を傷つける意思がないことを示す必要がある。遊びは、敵意なく一緒に活動しようという誘いから始まる。遊ぶ意思を示すことで、リーダーは対話に開かれているという合図を自然に送る。この一時的な権威の停止は、参加者のエンパワーメントに直接つながる。安全な環境と相まって、ゲームは利害関係者が幅広い未来の可能性を探れる公平な場をつくる。

こうした強力な特性を踏まえると、シミュレーション、ロールプレイ、ゲームには、現代の最も差し迫った課題の一つ、つまり森林破壊を止められずにいる状況に取り組む大きな可能性がある。熱帯地域では森林の減少が続き、その事実も気候変動への影響も誰もが知るほどになっている。企業は自らの慣行を見直すと表明する。政治家は国際協定の草案を作り、有権者の前で約束する。しかし実際に実行に移す者は少ない。NIMTOF症候群、すなわち「自分の在任中には起きない」という考え方があるからだ。これは、災害の影響が近いうちに自分へ直接及ぶ可能性は低いとして、そのことを考えないようにする人間の傾向を指す。

そこで、100人の参加者がゲームに参加し、次の目標達成に挑む場面を想像してほしい。目標を掲げるのはボン・チャレンジである。世界規模で森林を再生し、森林破壊を食い止めることを目指す。世界のサプライチェーンと市場のモデルを用い、このゲームでは五大陸の森林、人々、多国間機関を表現する。人間の意思決定プロセスを、これまでで最もよく再現するものとなるだろう。参加者は何が機能し、何が機能しないのか、合意に達せるのか、掲げた目標は現実的なのかを探ることができる。この体験によって、成功に必要なことを見極める道筋が明らかになるだろう。

この手法は万能薬ではない。しかし、IPCCの最近の警鐘のような報告書に漂う暗い見通しの中で、希望の光となるかもしれない。ゲームは単なる娯楽ではない。気候変動との闘いに欠かせないツールである。

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