企業は自社の事業活動における排出量を削減しなければなりませんが、真に意味のある違いを生み出すためには、サプライチェーン全体で取り組む必要があります。
スコープ3排出量は、多くの場合、企業のカーボンフットプリントの最大の割合を占めています。これを認識し、対処することは、気候危機と闘うための切迫した取り組みにおいて極めて重要です。
スコープ3排出量を削減するためには、企業は調達力を活用し、より協調的になる必要があります。
2015年のパリ協定以降、年を追うごとに、気候変動対策を急ぐ必要性は高まるばかりです。気候変動は、世界各地で具体的な影響をますます及ぼしつつあります。2023年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)で行われたグローバル・ストックテイクは、重要な見直しプロセスですが、私たちの気候変動目標が全体として不十分であることを改めて明らかにしました。取り組みを加速させるべき時です。
特にビジネスセクターには、大きな変革を推進する独自の責任と機会があります。この取り組みにおいて最も基本的な一歩は、企業が自社の事業活動における排出量を削減することです。しかし、真に意味のある違いを生み出すことを約束した企業にとって、これは、バリューチェーン全体へと取り組みを拡大するための土台を整えるにすぎません。これを実現するため、私たちは次のことを行わなければなりません。
1. スコープ3排出量を優先する
サプライヤーや販売製品に由来する間接的な温室効果ガス排出量(スコープ3排出量として知られる)は、多くの場合、企業のカーボンフットプリントの最大の割合を占めています。これを認識し、対処することは極めて重要です。多くの企業は自社の直接的な気候変動への影響(スコープ1および2)を入念に測定していますが、サプライチェーンや製品のライフサイクル全体がもたらす広範な影響は、往々にして見過ごされています。包括的なアプローチが必要です。
GEAがネットゼロを2040年までに達成することへのコミットメントは、自社の直接的な事業活動にとどまるものではありません。それはすべてのスコープの排出量を対象とし、バリューチェーン全体に及びます。この長期的な野心は、2030年に向けた中間目標によって裏付けられており、当社はこの目標を大幅に引き上げたところです。当社のネットゼロ目標および中期目標は、最近科学に基づく目標イニシアチブ(SBTi)による検証を受けました。これは、当社の野心が最新の気候科学に沿っており、パリ協定の目標に合致していることを裏付けるものです。
スコープ3排出量は、その複雑な性質上、サプライヤー、顧客、およびその他のステークホルダーと共に取り組むことでのみ削減できます。成功には、イノベーションと協働を組み合わせたアプローチが求められます。エンジニアリングおよび製造業の企業にとって、これは何よりもまず、当社が提供する製品やソリューションを適応させることを意味します。当社の製品は長期間使用されるため、今日当社が販売するすべての機械は、数十年にわたり環境に影響を与え得ます。このため、当社は、ライフサイクル全体で使用する資源を減らし、排出量を抑える機械の設計に注力しています。また、今日の技術の可能性を最大限に引き出すため、早い段階から顧客と協力しています。
包括的な360度アプローチを採ることで、大きな改善を達成できます。重要なのは、地球環境にとって持続可能なことは、通常、企業の収益にとってもプラスになるということです。そのためには、当初の努力と投資が必要となるだけです。結局のところ、資源を節約する取り組みは、環境に利益をもたらすだけでなく、長期的なコスト削減と業務効率の向上にもつながります。GEAのような企業にとって、持続可能性への注力は、環境に配慮したソリューションをますます求める市場において成功するための重要な要因でもあります。
2. 調達力を活用する
スコープ3排出量を削減するための、もう一つの重要な分野は調達力にあります。往々にして過小評価されがちなこのテーマに注目することで、企業は自社の直接的な事業活動の範囲を超えて変革をもたらすことができます。その理屈は説得力があります。気候変動リーダー企業が厳格な持続可能性基準を設定し、より高いコミットメントと透明性を求めることでサプライヤーに働きかけると、バリューチェーン全体に広がる波及効果が生まれ、その効果は増幅されます。
前進するため、企業はサプライヤーとの間で率直な対話を促進するとともに、信頼できる検証者が次のものを確立することを認めるよう求めることができます。持続可能性スコアカード、製品ライフサイクル分析のためのデータ共有、および持続可能性目標へのコミットメント(SBTiによる検証済み)。サプライヤーが遵守しない場合、優先サプライヤーとしての地位は取り消されます。こうした措置は、これまで自社の事業活動の脱炭素化を優先することに消極的であった企業に対しても、強い動機付けとなります。
私たちの経験から、多くのサプライヤーが貢献することに非常に前向きであることがわかっています。当社の年次GEAサプライヤー・デーは、その証左であり、金属部品、電子部品、その他多くの中間製品を供給してくださっているサプライヤーの方々と、持続可能性について議論する場となっています。このモデルは、他社でも再現可能です。
3. 業界横断的なサプライヤーのマイルストーンを設定する
持続可能性基準の強化や、主要企業によるより積極的なサプライヤーへの関与に向けた動きは、重要かつ歓迎すべき進展です。しかし、力を合わせることで、その影響力を高め、より幅広いサプライヤーを動機付けることができます。現在、サプライヤーは、取引先ごとに異なる優先事項、期待、時間軸が入り混じった状況に直面することが少なくありません。この状況は、より一層の協働とリーダーシップの必要性を浮き彫りにしています。
世界経済フォーラムのCEO気候変動リーダー・アライアンスのメンバーとして、私は、このような業界横断的な指針の策定に貢献することが重要だと考えました。私のチームと私は、スコープ3上流アクションプランの策定に積極的に関わりました。COP28で発表されたこのプランは、世界の主要企業の協働によって生まれたものであり、サプライヤーを巻き込み、脱炭素化を促すための極めて重要なツールです。このプランでは、アライアンスのメンバーに対し、2025年までに2050年ネットゼロへの経路に沿ったスコープ3目標を設定し、同年までに少なくともサプライヤー基盤の30%への働きかけを開始することを求めています。2026年までに、この働きかけは少なくとも67%のサプライヤーにまで拡大されるべきであり、2028年までに、サプライヤーは2050年ネットゼロへの経路に沿った独自のスコープ1~3目標を設定し、排出量を開示することが期待されています。
スコープ3アクションプランのような合意は、進捗のための共通の枠組みを提供し、サプライヤーに求めることとインセンティブの与え方を一致させるものです。
より良い世界に向けた共同の対応
気候危機に取り組むには、特に企業セクターからの確固たる対応が求められます。包括的なスコープ3排出量削減戦略を採用し、調達に脱炭素化を組み込み、サプライヤーとの関与のための業界横断的な枠組みを確立することは、より持続可能な事業のあり方に向けた不可欠な一歩です。課題は大きいものの、より良い世界に貢献する可能性は計り知れません。



