気候テック系スタートアップへの資金調達は減少しているが、この分野は依然として投資家にとって魅力的だと、PwCの「State of Climate Tech 2023」報告書は指摘している。
減少の理由の一つは、風力や太陽光といった成熟した分野では、大規模な導入資金を、初期段階の投資家ではなく、銀行や政府から調達する必要があることだ。
気候変動への投資は、最も大きな効果が見込める分野に振り向けるべきだと、世界経済フォーラムは『グローバルリスク報告書2023』で述べている。
温室効果ガスの排出削減に役立つ気候技術は、2050年までに世界をネットゼロにするために不可欠である。
これらのソリューションを拡大し、提供するためには、気候テック企業への投資が必要である。しかし、プロフェッショナルサービス企業PwCの最新の「State of Climate Tech」報告書によると、気候テック系スタートアップへの資金調達は2年連続で減少している。
同報告書は、総額4,900億ドル超、8,000社超の気候テック系スタートアップが関わる3万2,000件超の取引を分析している。
投資はどのくらい減少したのか?
気候テック系スタートアップへの資金調達は、2022年と比べて今年40.5%減少した。
これは、地政学的混乱、インフレ、金利上昇、企業評価額の低下によって生じた減少で、初期段階の企業に対するプライベート・エクイティおよびベンチャーキャピタル投資全体が50.2%減少したことに比べればそれほど深刻ではないと、PwCは述べている。
しかし、気候テック分野への投資の減少により、同分野のスタートアップへの資金調達は、5年前の水準にまで戻ってしまった。
なぜ初期段階の気候テック投資は減少しているのか?
太陽光および風力のスタートアップが受け取る投資の割合は、過去に比べて大幅に縮小している。これは、技術と市場がすでに存在しているためだと、PwCは述べている。
成熟したこれらの分野に必要なのは、イノベーションを促進する初期段階の投資ではない。むしろ、技術の普及を大幅に拡大するための資金が必要である。その種の資金は通常、銀行、政府、その他の資金提供者が提供するものであり、スタートアップに出資するベンチャーキャピタルや個人投資家によるものではないと、PwCは説明している。
その結果、スタートアップの投資は、排出量が多く、そのため排出削減の可能性が大きい一部の分野へとシフトしている。PwCによると、これらには、炭素回収・利用・貯留、グリーン水素、代替食品が含まれる。しかし、これらの分野が受け取るスタートアップ投資の割合はわずかにすぎないと、PwCは述べている。
初期段階の気候テックの中には、拡大が難しいものがある。つまり、投資家にとって収益を上げることが困難なのだ。さらに、財務市場の低迷により、一部の起業家は資金調達を控えている。企業の評価額が本来の水準まで上がらない可能性があるためだ。
気候テックは依然として投資先として有望な分野なのはなぜか?
PwCによると、気候テックは依然としてスタートアップ投資家にとって魅力的な分野である。
気候技術に対するニーズは増え続けており、初めて投資する投資家も「着実に流入している」と、同報告書は述べている。
一部の地域の気候テック分野への投資も増加している。例えば北米では、排出量が最も多い分野である産業部門が、2022年から2023年にかけて、スタートアップ投資に占める割合を9%から16%へとほぼ倍増させた。
企業評価額の低下は、これらのスタートアップの株式を購入する投資家にとって、潜在的に有望な市場であることも意味すると、PwCは述べている。ただし、投資先の企業が成功することが前提となる。
気候テックのスタートアップへの資金調達を後押しするものは何か?
ベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティ企業などの初期段階の気候テック投資家は、資金調達の全体像の一部にすぎないと、「State of Climate Tech」報告書は示唆している。
必要とされる250億トンのCO2を2030年までに削減するためには、スタートアップ資金だけでなく、「膨大な額」の成長資金が必要になると、投資家はPwCに語っている。
PwCがスタートアップに伝えるメッセージは、政府融資や奨励金制度を含め、「あらゆる資金源を模索する」ことである。
組織間のより緊密な協力と、基準および政策の変更も極めて重要である。
最も大きな効果をもたらす気候テックに投資する
気候変動の緩和に失敗することは、世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書2023」によると、今後10年間で世界が直面する最大のリスクである。
世界的なリスクの第2位、第3位、第4位も気候関連であり、生物多様性の喪失、自然災害、極端な気象現象などが含まれる。
こうした背景のもと、地政学的および財政的に厳しい時代において、投資は最も大きな効果が見込める分野に振り向けられる必要がある。
「例えば土壌の生物多様性を回復させることで、再生型農業は大量の炭素を貯留する可能性がある」と、同フォーラムは示唆している。
複数の気候リスクに対処するソリューションへの投資も理にかなっている。これには、温室効果ガスの排出を削減しつつ、コミュニティが気候変動に適応できるよう支援するプロジェクトも含まれうる。









