測定されるものは管理される――気候変動適応への主体的な取り組み

Climate adaptation must be a priority alongside mitigation. But to make adaptation work, we need a standardized way to measure the value of investments.
Climate adaptation must be a priority alongside mitigation. But to make adaptation work, we need a standardized way to measure the value of investments.Image: REUTERS/Tim Wimborne (AUSTRALIA - Tags: DISASTER ENVIRONMENT)
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  • 気候変動の影響はすでに世界中で感じられており、2022年には気候関連の自然災害によって世界の経済損失が2,750億ドルに達した。

  • 気候変動適応策の費用便益を測定することで、気候変動への適応と回復力を強化することができる。

  • 費用便益比(BCR)は、普遍的に妥当で、算出が容易かつ追跡可能な指標であり、適応策の財務的な妥当性を裏付けるものである。

私が育ったナポリは地震活動の中心地であり、近くには活発なカンピ・フレグレイ火山カルデラがある。最近この地域で活動が活発化したことを受け、イタリア政府は5,200万ユーロを発表した。これは、リスク評価、防止、事前の災害リスク削減への備えに充てられるものである。

地震は数秒のうちに甚大な被害をもたらし、その復旧には何か月もあるいは何年もの多額の費用を要する。トルコから日本まで、ここ数か月や数年は、その実例に事欠かない。温暖化する気候によって引き起こされる他の自然災害に対しても、世界が備えができていればよいのだが。

気候変動によって、洪水、干ばつ、激しい暴風雨はより極端かつ頻繁になり、予測が困難になっている。すでにその影響の一部が表れており、備えと適応のために与えられた時間を無駄にしてはならない。準備不足のために人的・経済的代償を後で払うよりも、今レジリエンスを構築するほうが良い。

自然災害のコスト

気候関連の自然災害により、2022年には世界の経済損失が2,750億ドルに達した――この傾向は、経済成長と不動産開発により、さらされる経済価値が増加するにつれて続くと予想される。さらに、経済損失と保険損失の差である世界の保護ギャップは、過去5年間にわたり着実に拡大している。スイス再保険研究所のレジリエンス指数によれば、2022年には1兆8,000億ドルという過去最高を記録した。世界のリスクの40%超は保険で補償されていない。

気候関連の損失は拡大の一途をたどっている。最適な適応方法を見極めるには、気候関連投資の価値を測定する方法が必要である。Image: スイス再保険研究所

気候変動緩和に向けて進展が見られている。例えば、世界経済フォーラムCEO気候リーダー連合では、加盟組織が2019年から2021年の間に、全体として排出量を10%削減することを達成した。

しかし、オーストラリアや南アフリカの洪水、欧州の冬の嵐、中国や南北アメリカの熱波など、気候変動の影響はすでに世界中で感じられている。そのため、緩和努力と並行して、気候変動適応により一層の重点を置く必要がある。

世界各地のプロジェクトでは、気候変動適応の事例が実際に行われている。例えば、2011年のオーストラリア・ブリスベン洪水では42万棟を超える建物が被害を受けた。その後、川周辺の景観はすでに一新され、「浮き桟橋式フェリー乗り場」、かさ上げされた居住空間、改善された雨水管理システムなどにより、都市のレジリエンスが高まった。

リスクへの対処に加えて、気候変動適応への投資は、競争優位性の創出、経済の安定、雇用機会の創出、自然環境の保護につながることがよく知られている。しかし、緩和については測定可能な目標があり、標準化の取り組みも継続しているのに対し、気候変動適応については同様のことが言えない。このことが、気候変動適応プロジェクトを軌道に乗せるために必要な投資と資金調達の妨げとなっている。

気候変動適応の測定

適応には決して安くないコストがかかる。国連環境計画の試算によると、開発途上国における気候変動適応の年間コストは、2050年までに3,150億~5,650億ドルに達する。より大きな進展を促すための一つの方法は、測定可能な成果によって、その資金供与を正当化することである。

ここで私たちが影響を与えることができる。民間資本が気候変動適応プロジェクトに流れ込み、また、この闘いの中心であり続ける公的資金の利用を拡大・最適化するために必要な構造的条件を整えることである。

一つの基礎要素として、さまざまな気候変動適応施策の効果を、より体系化された普遍的なアプローチで測定することが考えられる。スイス再保険研究所の最新報告書によれば、気候変動適応施策の便益は、平均して費用の10倍に上るという結果が出ている。このモデルは、より広範な費用便益比(BCR)へと発展させることができ、BCRは普遍的に妥当で、算出が容易かつ追跡可能な指標である。

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気候変動適応のための資金調達の実現

BCR指標を一貫して用いることで、適応プロジェクトにおける透明性と比較可能性を高め、その財務的な妥当性を裏付けることができる。また、プロジェクトの開始に必要な専門知識や地域の関与を引き出すことにもつながる。

スイス再保険の初期研究は、洪水および熱に関連する適応策を対象としたもので、BCRが実用的な指標であることを示している。一方で、データとコンセンサスの欠如も明らかになった。例えば、気候変動適応施策から生じる財務上の便益に関して、標準化された期間を設けることが重要である。

そのため、測定と複数のステークホルダーによる協働は、気候変動適応への資金調達を実現するうえで重要であるだけでなく、効果的な適応施策のデータや事例の共有にとっても重要である。

気候変動適応は安定をもたらす。経済発展を支え、新たなビジネスや雇用機会を創出しながら、より持続可能な世界の構築に貢献する。今から本腰を入れて取り組めば、長年にわたり大きな成果が得られる。ただし、効果的に進めるためには、どの施策が最も費用対効果が高いかを測定し、理解する方法が不可欠である。

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