資本主義は地球温暖化の原因かもしれない。しかし今、気候変動に取り組む原動力になり得るのでしょうか?
『Climate Capitalism』の著者が、利益追求の動機が変化を促している仕組みを解説します。
「世界を壊すより救うほうが、今や安上がりだ」——これはアクシャット・ラティの著書『Climate Capitalism』の冒頭の一文です。同書でブルームバーグのシニア気候担当記者であるラティは、適切な規制環境が整えば、利益追求の動機が企業や金融業界による地球温暖化対策を後押しする仕組みを探っています。
「気候変動に何も対処していないのだから、私たちは破滅する運命にあるという考えは、まったくの誤りです」と、世界経済フォーラムのポッドキャスト『Radio Davos』で語ります。
エピソードの主な内容をご紹介します。
気候資本主義で解決策を拡大する
アクシャット・ラティ:本書は、世界中の人々が気候変動に取り組むために十分なことをしているのかを確かめようとして書き始めました。小規模な事例があちこちで見つかるだろうと思っていました。でも、ご存じのように、課題は非常に大きく、私たちは目標達成への道筋から大きく外れています。
ところが実際には、世界中で大規模に機能している解決策を見つけました。ですから、気候変動に何も対処していないのだから私たちは破滅する運命にあるという考えは、まったくの誤りです。
そして、それは『Climate Capitalism』という本になりました。というのも、こうした解決策はすべて資本主義の制度のもとで進められているからです。中国、インド、米国、欧州ではそれぞれ異なる資本主義の形がありますが、いずれも資本主義のもとにあります。ただし、気候変動への対応によって、解決策を拡大するために資本主義がどう機能すべきかが変わりつつあります。
中国の事例
中国から話を始めます。中国には多くの問題があります。世界最大の温室効果ガス排出国であり、世界最大の石炭消費国です。その一方で、太陽光や風力など、クリーンエネルギーの導入量も世界最大で、電気自動車用バッテリーの生産と電気自動車の製造でも世界最大です。
インドや中国が多くの非難を受けている一方で、エネルギー転換もまさにそうした場所で始まりつつあります。しかし、これらの国々は気候問題に取り組むために、異なる方策を取る必要があります。その理由は温室効果ガスの排出だけでなく、世界での競争力にもあると理解しなければなりません。
中国は、欧州で太陽光パネルの需要があったため、その製造産業を築きました。その後、国内でも導入を始めました。
つまり、気候変動対策は温室効果ガスの排出削減だけを理由とする必要はありません。世界に存在する経済システムに適合する必要があります。
気候変動対策における人工知能
人工知能(AI)、つまりビッグデータを分析して意味を見いだす能力は、これまでも気候変動対策にとって非常に有望なツールでした。今では、気候分野のさまざまな領域で実際に導入されていることが分かります。
私は、世界各地で電気自動車が次々と普及するなか、送電網がそれに対応できるようAIを活用している企業を取材しました。
気象に関連する影響を、より細かい単位で予測し、人々が行動に移せる情報に近づけるため、人工知能を活用した解決策が開発されています。
こうした利点は、解決策の導入を加速させるだけでなく、これまであまり注目してこなかった解決策にも取り組む助けになります。すでに進んだ温暖化に、どう適応するかという課題です。
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