直接的または間接的に、世界の国内総生産(GDP)の約半分が、自然に対して高度から中程度に依存しています。
将来の経済を守るためには、自然の保護と再生をビジネスの実践に組み込む必要があります。
「自然の価値評価に関する議長ガイド」 は、取締役会議長に対して、なぜ、どのようにして自然ポジティブであることがすべてのビジネスにとって重要なのかを説明するとともに、議長がこの変革を進めるための支援を行います。
周りを見渡してください。すべては自然に依存しています。地球だけでなく、産業、ビジネス、人々、社会の幸福も自然に依存しているのです。
これはあなたのようなビジネスにも当てはまります。直接的か間接的かを問わず、世界の国内総生産(GDP)の約半分は、健康と生産性を保つために必要な食料や清浄な水など、自然に高度から中程度に依存しています。自然がなければ、GDPのもう半分、つまり私たちが生産し消費するすべてのものは持続不可能になるでしょう。
気候変動対策は、今や優れたガバナンスの基礎的な要素として広く受け入れられています。この勢いを活かし、同じ考え方を自然をビジネスの実践に組み込むことにも広げるべき時です。
自然ポジティブとは何か、そしてどのようにあなたのビジネスに利益をもたらすことができるのでしょうか。
簡単に言えば、自然ポジティブとは、自然が劣化するのではなく、回復している状態を指します。ネットゼロ目標と同様に、「自然ポジティブ」を目指す取り組みは、 近い将来、中核的なビジネスの基準となることが予想されます。このコンセプトを組織内外で先頭立てて推進し、発展させるのは、あなたのような議長の役割です。
株主や幅広いステークホルダーがリスクを認識するにつれ、こうしたリスクに対応するための自然ポジティブな行動計画をビジネスが持つことへの期待は高まるでしょう。例えばビジネスは、自然を戦略に組み込み、リスク管理と監督プロセスをより多く取り入れ、開示と コミュニケーションに関する包括的なアプローチを構築する必要があります。
これは取締役会議長にとって何を意味するのでしょうか。
今後のビジネス活動は、組織が自然を保護し、再生することにかかっています。行動を怠ると、広範かつ場合によっては不可逆的な自然の損失につながるおそれがあります。このような損失は、広範なシステミックリスクや経済への衝撃をもたらす可能性があります。ビジネスにとっては、資源不足、商品価格の上昇、雇用の喪失、政治的不安定などの長期的な影響が生じる可能性があります。
どのビジネスもこうした混乱から免れることはできません。私たちは皆、自社の利益以上のものを守る上で重要な役割を担っています。議長として、あなたにはこうしたリスクをビジネスが乗り越えられるよう支援する責任があります。
自然を議題に掲げることで、あなたのビジネスは変革の最前線に立つことになります。ネットゼロの未来だけでなく、自然ポジティブな未来の実現も推進することになるのです。
「自然の価値評価に関する議長ガイド」 は、取締役会議長に対して、なぜ、どのようにして自然ポジティブさがすべてのビジネスにとって重要なのかを説明するとともに、議長がこの変革を進めるための支援を行います。
世界経済フォーラムは自然に関してどのような取り組みを行っていますか。
自然・気候センターは、リーダーが気候、自然、経済発展の相互関係を理解するのを支援しています。レジリエンスと繁栄を地球の限界の範囲内で支える道筋を探究するためのプラットフォームを提供しています。
セクターや地域を超えた協力を可能にすることで、同センターは、パートナーが共有された理解を、実用的な気候および自然の解決策へと具体化することを支援しています。
自然の並外れた重要な価値をビジネスの中核として認識し、この目的を支えるための強固なガバナンスを実施することで、企業の物理的および商業的なレジリエンスを強化すると同時に、すべてのステークホルダーにとってより大きな価値を創出できます。
自然の劣化は、広範かつ急速に進展している問題です。完全な情報があるわけではありませんが、早急に行動を始めなければ手遅れになるおそれがあります。ビジネスがすべての答えを持つことは期待されていませんが、計画を持つことは求められています。ビジネスと取締役会が取り組みを始められる行動のレベルは2つあります。
ビジネスが取るべき行動
回復を加速させるため、ビジネスは自然を破壊するのではなく、保護する活動に投資しなければなりません。ビジネスは次のことを行う必要があります。
回避・削減再生的な手法を適用するか、資源効率を向上させることにより、自然に対するビジネスの影響を抑えます。例えば、目標を設定して水の使用量を削減したり、材料の使用を多様化したりすることが挙げられます。これには、汚染の削減、有害化学物質の使用削減、廃棄物の削減、製品のライフサイクルの持続可能性の向上、バリューチェーン内での森林破壊防止方針の策定が含まれます。これは、ビジネスの直接の事業範囲内で行うことも、バリューチェーンを通じて間接的に行うこともできます。
回復・再生復元・再生プログラムへの投資や、自然を活用した解決策の開発に向けた協業を通じて、自然を回復・再生させます。これには、可能な限り自然インフラに投資することが含まれます。例えば、水処理のための人工湿地の建設、洪水防止のための森林地域の保全と強化、沿岸部の安定化のためのマングローブ生態系の再生などです。これは、現地のコミュニティや先住民と適切に関わりなが、状況に応じたアプローチを用いて、その権利を保護し、前向きな影響を最適化する形で行う必要があります。
取締役会が取るべき行動
自然関連の目標を達成するための体制を強固に整えるため、構造化されたプロセスを監督し、その責任を主体的に担ってください。具体的には次のとおりです。
• ビジネスにとっての自然の重要性を振り返る。
• バリューチェーン全体における既存の取り組みや評価を総点検する。
• 組織と自然との接点を特定し、自然関連のリスク、影響、機会への曝露を把握する。
• リスクと機会にどのように対処するかについて、さらなる評価と行動の計画を策定する。
• ステークホルダーと関わる。
自然ポジティブな未来は、ビジネスにとって、リスクを軽減するとともに、新たな製品、市場、ビジネスモデルを開拓する無限の機会をもたらします。
自然ポジティブの力を取締役会に取り入れる準備はできていますか。






