地球の気温がピークに達した後も、生物多様性のリスクは少なくとも半世紀続くと研究が指摘

Biodiversity damage from temperature rises could be irreversible in some areas.
Biodiversity damage from temperature rises could be irreversible in some areas.Image: Unsplash/Boudewijn Huysmans
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  • 今世紀後半に世界の気温がピークに達した後に低下しても、生物多様性のリスクは数十年にわたって続く可能性が高いと、新たな研究が明らかにした。

  • すでに種の死亡や生息地の変化が起きており、研究対象地域の4分の1では、こうした被害を回復できる可能性がないか、不確実である。

  • 熱帯地域が最も大きな影響を受け、アマゾンの全種の半数以上が変動の激しい気候にさらされる可能性が高い。

  • 世界は、産業革命前の水準から気温が2°C上昇するのを防ぐことを最優先すべきだ。少なくとも、上昇幅や上昇が続く期間を抑える必要があると、研究共著者は述べる。

気候変動により今世紀中にピークを迎えた後、世界の気温が低下し始めたとしても、生物多様性のリスクは数十年にわたって続く可能性が高いと、新たな研究で、ロンドン大学(UCL)とケープタウン大学の研究者らが明らかにした。気温が2°C(35.6°F)を超えて上昇した後、再び低下し始める場合について、産業革命前の水準を基準に生物多様性への潜在的な影響をモデル化した。

気候変動と、それに伴う人為的な影響によって、すでに生物多様性の危機が進んでいる。大量死の例としては、2020年に米国南西部で渡り鳥数百羽が空から落下したことが挙げられる。繁殖時期や種の分布の変化も、すでに生じている悪影響の一つだ。

2015年、地球温暖化を2°C未満に抑えることを目指し、パリ協定が締結された。温室効果ガスの排出が増え続けるなか、現在では多くの科学モデルが、この上限を数十年にわたって超過するシナリオを分析している。このモデルでは、二酸化炭素除去技術が実現した場合の効果も考慮し、2100年までに有害な気温上昇を相殺することを想定した。

上振れ後に「平常」に戻れるか、見通しは不確か

研究者らは世界各地の生息地に暮らす3万種以上を調査し、調査対象地域の4分の1では、上振れ前の「平常」な状態まで被害を回復できる可能性がないか、不確実であることを明らかにした。

「世界の気温がピークに達した後も、膨大な数の動物種が数十年にわたり危険な環境にさらされ続けることが分かりました」と、共著者であるアレックス・ピゴット博士(UCL生物多様性・環境研究センター、UCL生物科学)は述べた。「種が生態系から取り返しのつかない形で失われる前に、私たちが協力して地球温暖化を反転させられたとしても、危険な気温が引き起こす生態系の混乱は、その後さらに半世紀以上続く可能性があります。」

研究者らは、二酸化炭素排出量が2040年まで増加し続け、その後、排出削減の取り組みと二酸化炭素除去技術の導入によって2070年以降に減少する可能性も検討した。つまり今世紀中、数十年間にわたって世界の気温が2°Cを超え、2100年以降に低下するシナリオである。研究者らは、各地の種が有害な気温にさらされるまでの速さ、その状態が続く期間、影響を受ける種の数、そして「平常」に戻れるかどうかを分析した。

熱帯地域では大半の種が変動の激しい生物多様性環境に脅かされる

多くの地域では、種が適応可能な温度の範囲を外れるにつれて、危険な気温への曝露が急に起きる。研究者らはまた、こうした種が快適な温度環境に戻るまでには時間がかかり、世界の気温低下に大きく遅れることも明らかにした。変動の激しい気候条件と生態系への影響がその理由である。生物多様性のリスクが上振れする期間は100~130年と推定され、実際の気温上振れ期間の2倍に及ぶ。

最も大きな影響を受ける地域には、中央インド洋、インド太平洋、オーストラリア北部、サハラ以南アフリカ北部の熱帯地域が含まれ、これらの地域では種の90%超が適応可能な温度の範囲を超える。アマゾンでは、全種の半数以上が変動の激しい気候にさらされることが分かった。アマゾンを含む調査対象地域のほぼ19%では、上振れ前の水準に戻れるかどうかが不確実であり、地域の8%はその水準に二度と戻れない可能性がある。世界では、種の不可逆的な絶滅や生態系の変容が起こりうる。

気温の上振れ回避を最優先に

「私たちの調査結果は厳しいものです」と、共著者であるクリストファー・トリソス(ケープタウン大学アフリカ気候・開発イニシアチブ)は述べた。「排出削減を先延ばしにすれば、自然と人間に天文学的なコストをもたらす気温の上振れが起きること、そして実証されていないネガティブエミッション技術ではそれを簡単に元に戻せないことを、警鐘として受け止めるべきです。」

二酸化炭素除去技術や、植林などの自然を活用した解決策にも、潜在的な悪影響が伴うと、筆頭共著者であるジョアンヌ・ベントリー博士(ケープタウン大学アフリカ気候・開発イニシアチブ)は述べた。ベントリー博士は、地球温暖化を2°Cに抑える目標を超過すれば、生物多様性の喪失によって、人類の生計を支える生態系サービスが損なわれる恐れがあると警告した。気温の上振れを避けることを最優先とし、そのうえで上振れの幅と期間を抑えるべきだと提言した。

この研究は、アフリカ科学アカデミーと王立協会の共同助成を受けた。論文は『Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences』に掲載された。

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