シベリアのツンドラで起きている異常な現象は、気候危機と関連づけられている。
いわゆる「ゾンビ火災」が、記録的な炭素排出量に拍車をかけている。
メタンガスの爆発によって巨大なクレーターが形成された可能性がある。
ホラー映画で死者の中からよみがえる「肉食」ゾンビになぞらえ、科学者らは、ゾンビ火災が北極圏の氷に覆われた地表の下にある泥炭層で、冬の間ずっとくすぶり続ける可能性があると考えている。春になると、火災は地表の植生に再び燃え広がり、植生と泥炭の両方から二酸化炭素を放出する。泥炭は二酸化炭素を自然に蓄える貯蔵庫だ。
2019年に記録された北極圏の炭素排出量は、今年、それを上回り、夏の火災によって同地域の排出量はさらに3分の1以上増加したと、コペルニクス大気監視サービス(CAMS)は伝えている。
ロシアのサハ共和国では、数百万エーカーの土地が火災で焼失した。気温上昇によって夏の山火事シーズンが早く始まり、異例の激しさで燃え広がり、気候危機を悪化させた。
高まる圧力
シベリアのツンドラの一部で巨大なクレーターが突然、爆発的に出現する現象、いわゆる氷火山活動の増加も、気候変動が原因である可能性がある。
その少なくとも9つの巨大クレーターからなる一連の現象については、2013年以降にヤマル半島で発見されているものの、ほとんど分かっていない。人里離れた場所にあるうえ、1、2年以内にクレーターが水で満たされ、風景に点在する何千もの湖のようになるため、見つけるのが難しく、調査はさらに困難だ。最新のものは、深さ30メートル、幅20メートルで、今年の夏に発見された。
世界経済フォーラムは気候変動にどう取り組んでいるのか?
「現時点では、こうしたクレーターの形成を包括的に説明する理論はありません」と、ロシアのスコルテック炭化水素回収センターの主任研究科学者、エフゲニー・チュビリン氏はニューズウィークに語った。「形成の背景にある爆発的な現象はあまりにまれで、発生の瞬間を捉えて適切に調査するのが難しいのです。新しいクレーターが存在するのは通常わずか1〜2年で、観測がほとんど行われていない遠隔地にあります」
この現象についてはさらなる研究が必要だが、チュビリン氏は、ガスが主にメタンが永久凍土の上層に蓄積するとみている。時間の経過とともに圧力が激しく高まり、凍土を突き破ってクレーターを形成すると同時に、メタンを大気中に放出するほどになる。
ある研究チームは、リモートセンシングデータと現地調査を用いて、ガス放出クレーター5つを分析した。ロシア科学アカデミー地球雪氷圏研究所のマリーナ・O・レイプマン氏は、2012年と2016年に起きた熱波のような夏の極端な暑さが、メタンの蓄積とクレーターの形成に寄与した可能性があると考えている。
融解
陸上と同じく海上でも、気候危機は北極圏に打撃を与えている。北極圏の温暖化は世界の他の地域の2倍の速さで進んでおり、気温上昇によって海氷は大幅に減少した。ホッキョクグマなどの動物は、餌を捕るために海氷に依存している。

国立雪氷データセンターによると、北極圏の海氷は1980年以降、ほぼ39%縮小した。同じ期間に南極地域の海氷は6%以上縮小している。
こうした変化は北極圏の地域社会に新たな課題をもたらす一方、同地域へのアクセスがますます容易になるにつれ、海運、鉱業などの商業分野から強い関心が寄せられており、気候危機をさらに悪化させるおそれがある。


