海藻――世界的なプラスチック危機に対するインドネシアの答え

A closeup of seaweed is displayed as masses of green seaweed, which at times emits noxious gasses, is seen on Kerlaz beach near Douarnenez in Brittany, western France, August 30, 2011. REUTERS/Mal Langsdon (FRANCE - Tags: ENVIRONMENT SOCIETY TRAVEL DISASTER)
9 billion tonnes of plastics have been produced since the 1950s.Image: REUTERS/Mal Langsdon
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世界的なプラスチック使用の影響は、憂慮すべき水準に達している。最新のデータによると、1950年代以降、プラスチックは90億トン生産され、70億トンの廃棄物が生じている。プラスチック廃棄物は環境を損ない、動物の命を脅かすだけでなく、人々にも害を及ぼしている。

1950年から2015年に発生したプラスチック廃棄物。Image: Science Mag

プラスチック廃棄物のなかでも、とりわけ危険なのがマイクロプラスチックと呼ばれる微小な破片だ。環境、とくに海洋に、当初の想定をはるかに上回る量が蓄積し、被害を与えている。最近の研究によると、マイクロプラスチックの数は世界全体で最大51兆個、重量にして23万6,000トンに達している。こうした微小粒子は、飲料水を通じて、あるいは魚介類を食べることで人々の体内に入り、健康リスクをもたらす可能性がある。

プラスチック使用を減らすため、さまざまな取り組みが導入されてきた。その一つが、環境中で自然に分解する生分解性プラスチック、つまりバイオプラスチックの開発だ。

私の研究は、海藻がバイオプラスチックの原料として最適であることを示すことを目指している。本稿では、海藻由来プラスチックの開発においてインドネシアが重要な役割を担えると論じる。

プラスチック対策の政策

近年、複数の国が、プラスチック使用を減らすため、政策を導入し、分解可能なプラスチックの利用やリサイクルを促している。

英国は、早ければ来年にも、プラスチック製ストローや綿棒を含む使い捨てプラスチックの禁止を検討している。

米国の都市は、プラスチック製ストローの撲滅に乗り出している。シアトルは「ストローレス・イン・シアトル」と銘打ったキャンペーンを開始し、ニューヨークはプラスチック製ストローの禁止を検討している。

2017年、ケニアは最も厳しいプラスチック袋禁止措置を導入し、違反者には禁錮4年または4万ドルの罰金を科すこととした。

解決策を探る

しかし、プラスチックの使用をやめることは不可能だ。

今のところ、プラスチックはさまざまな用途に使える最も便利で用途の広い素材であり、私たちの暮らしに大きな恩恵をもたらしている。人々がプラスチックに依存し続けているため、現在も、そして将来も生産量の増加が見込まれる。

プラスチック産業は巨大で、今後も拡大が続くと予想される。2014年、プラスチック包装産業の市場規模は2,700億米ドルで、2030年までに3,750億ドルへ拡大すると予測されている。

プラスチック使用を抑える方法の一つはリサイクルだ。しかし、想定ほど簡単ではない。プラスチック製品には100種類以上があり、その違いが非常に大きいため、リサイクル工程で分別するのは難しい。

そのため、リサイクルされるプラスチック廃棄物は約9%にすぎない。約12%は焼却され、残りの大半は埋め立て地か海洋に行き着く。

バイオプラスチックは代替手段となる。一般に植物や細菌から作られ、環境により優しく、持続可能でもある。

高まるバイオプラスチック需要

世界のバイオプラスチック生産能力は、環境に優しい製品への人々の意識の高まりを受け、2016年の420万トンから2021年には610万トンに増加する見込みだ。

買い物袋や使い捨ての家庭用品から電子機器まで、日常生活のさまざまな場面でバイオプラスチックが使われ始めている。

大手ブランドでは、コカ・コーラ、ハインツ、ユニリーバ、ネスレ、ダノン、ナイキなどが包装材にバイオプラスチックを使い始めている。

なぜバイオプラスチックに海藻を使うのか?

バイオプラスチックの製造によく使われる原料は、トウモロコシ、サトウキビ、植物油、でんぷんだ。しかし、これらをプラスチックの原料に使うことには懸念もある。

第一に、バイオプラスチックの生産には土地、肥料、化学物質への多額の投資が必要だ。第二に、こうした植物をプラスチックに使うと、食料用作物とプラスチック用作物の間で競合が生じ、食料価格の上昇や食料危機につながる。

海藻は、これまでのところバイオプラスチックに最適な候補だ。前述の二つの課題をどちらも解決できるからだ。まず、安価である。陸上植物と異なり、海藻は肥料なしで育つ。沖合で成長するため、広大な土地も必要としない。バイオプラスチックに海藻を使えば、食料となる農産物の生産を維持でき、食料価格の上昇も食料危機も起こらない。

インドネシアが担う重要な役割

インドネシアは世界最大の群島国家で、国土の3分の2を水域が占める。世界有数の海藻生産国でもあり、世界の海藻生産量の3分の1以上を占めている。インドネシアの海藻輸出額は2014年に約2億米ドルに達し、生産量は年間約30%のペースで増加していると報告されている。

また、インドネシアは世界最大の紅藻生産国でもある。紅藻に含まれる炭水化物は、バイオプラスチックの重要な原料だ。

最近の報告書は、気候、栄養分、地理的条件から、インドネシアが紅藻の養殖に非常に適した場所だと示している。

海藻由来プラスチックの開発でも、インドネシアは他国に先んじている。インドネシアのスタートアップ企業インドネシア・エボウェアは、養殖した海藻からカップや食品容器を開発し、商業販売を始めた。

この発明は、バイオプラスチックの代替素材として海藻が大きな可能性を持つことを示している。海藻由来プラスチックを他のプラスチック製品にも応用できるよう、さらなる研究が必要だ。将来、海藻由来プラスチックが従来のプラスチックに匹敵するようになることを期待したい。

その可能性を踏まえ、インドネシアは世界的なプラスチック危機を回避するため、海藻由来の環境配慮型プラスチックの開発で重要な役割を果たすべきだ。海藻由来プラスチック製の水筒や買い物袋が廃棄物になっても、その廃棄物は元の場所に戻るだけなので、心配はいらない。

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