LSEによる新たな研究によると、大気汚染はロンドンにおける犯罪の主要な要因である。
次のディスカッション・ペーパー(労働経済研究所(IZA)発行)によると、大気汚染のレベルが高いほど、首都における大半の種類の犯罪の発生率が上昇し、特に万引きやスリといった比較的軽微な種類の犯罪が増加する。
ただし、大気汚染は殺人、重大な身体的危害を伴う暴行、強姦といった最も深刻な犯罪には、顕著な影響は認められなかった。
研究者らは、大気汚染の指標である大気質指数(AQI)が10ポイント上昇すると、犯罪率が0.9%増加することを明らかにした。これは、最も汚染された日(AQI 103.6)のロンドンの犯罪率が、汚染レベルが最も低い日(AQI =9.3)と比べて8.4%高いことを意味する。
AQIが35を超える日は、平均して4日に1日の割合で発生するが、その場合、犯罪は2.8%増加する。これは、警察活動が9%減少した場合に相当する。
この研究結果は、シカゴやニューヨークなど、同様に高レベルの大気汚染と犯罪に悩まされている他の主要都市にも示唆を与えるものである。
本論文の共著者で環境経済学の准教授であるセフィ・ロス博士は、次のように述べた。「当研究は、都市部における大気汚染の削減が、健康面での効果に加えて、犯罪を減らすための費用対効果の高い方法となり得ることを示唆している。
「ロンドンで継続している ナイフ犯罪は、大気質の改善によって影響を受けるとは認められなかった。しかし、比較的軽微な犯罪の件数を減らすことができれば、警察はこうした極めて深刻な事件への対応により多くの資源を振り向けられる可能性がある。
「大気汚染が犯罪に影響を与えるレベルは、英国および米国における現行の規制基準をはるかに下回っている。このことは、既存のガイドラインを引き下げることが有益である可能性を示唆している。」
特に、ロンドンで最も裕福な地域(同時に最も汚染されている地域)が影響を受けていた。最も貧しい地域は汚染の度合いは低いものの、やはり影響を受けており、そこに住む人々が大気質の悪化に対してより敏感であることを示唆している。大気質の悪化が健康に与える同様の感受性は、他の研究によってすでに明らかにされている。
研究者らは、2年間にわたる180万件の犯罪を分析し(1)、それらを時間経過に伴う汚染データと照合した区および選挙区内ので比較し、同じ条件同士の比較となるよう確保した。その分析では、気温、湿度、降雨量、曜日、季節の違いといった要因も考慮された。
研究者らはまた、風向きを「自然実験」として用いた。風向きは汚染物質を地域の内外へ無作為に運ぶため、観察された犯罪と大気汚染の関連について、他の要因が原因である可能性を排除するためである。
研究者らは、大気汚染と犯罪の間に見られた関連は、汚染レベルの高い地域に暮らす人々に生じうる、ストレスホルモンであるコルチゾールの増加と関連している可能性があると指摘している。





