半世紀余りの間に、プラスチックは汎用性と費用対効果の高さから経済全体に広く浸透し、生産量は20倍に増加しました。しかし、明らかな利点がある一方で、現在のプラスチックシステムには大きな欠点があります。昨年発表された報告書『新しいプラスチック経済:プラスチックの未来を考え直す』は、世界経済フォーラム、エレン・マッカーサー財団、マッキンゼー・アンド・カンパニーによるもので、現在、世界でリサイクルのために回収されるプラスチック包装はわずか14%で、残りは焼却、埋め立て、あるいはごみとして、しばしば海洋に流出していると報告しています。現在の傾向が続けば、2050年までに海洋中のプラスチックの重量が魚を上回る可能性があります。この調査の発表からわずか1年後、企業と政府のリーダー40人以上が、プラスチック包装の再使用率とリサイクル率を70%に高める可能性のある行動計画を支持しました。
新たな報告書が今週ダボスで発表され、プラスチックの新しい経済への移行に向け、業界に必要な3つの戦略と一連の行動を提示しています。次のとおりです。

再使用
プラスチック包装の20%以上は、例えば使い捨てのプラスチック袋を再使用可能な代替品に置き換えることで、採算の取れる形で再使用できます。多くの国では、再使用を促すために袋に少額の料金を導入しています。これにより使い捨てプラスチック袋の使用が大幅に減ることが多く、例えば英国では5ペンスの料金により使用量が85%減少しました。ルワンダなどの国はさらに踏み込み、プラスチック袋を全面的に禁止しています。
企業もまた、再使用の新たな機会を活用し始めています。例えば、家庭用洗剤や液体せっけんなど、私たちが毎日使う多くの製品は、現在、使い捨てボトルに入っており、その大部分は水で、少量の「有効成分」が含まれています。オーストラリアの企業Sploshは、水に溶ける小袋入りの詰め替え用製品を顧客に提供しており、顧客は自宅で詰め替え可能なボトルに水と混ぜて使用できます。このような、顧客への製品の革新的な届け方により、包装材を80~90%、包装コストを25~50%削減でき、企業と顧客の双方に利益をもたらす可能性があります。

リサイクル
世界共通のリサイクルマークが導入されてから40年以上が経ちましたが、世界でリサイクル施設に届くプラスチック包装はわずか14%で、処理過程での損失を差し引くと、実際にリサイクルされるのはわずか10%です。包装設計と、使用後のプラスチック包装を管理するシステムの両方を改善すれば、プラスチック包装の50%を採算の取れる形でリサイクルできる可能性があります。
素材、色、形状、その他の設計要素の選択は、プラスチック包装のリサイクルのしやすさと費用対効果に影響します。比較的小さな変更でも大きな違いを生みます。例えば、飲料水のボトルなどに使われる透明なPET製ボトルは、不透明なPET製ボトルよりはるかにリサイクルしやすいものです。フランスだけでも不透明なPET製ボトルは年間約5,000~6,000トン販売されており、リサイクル費用を年間推定100万~200万ドル押し上げています。

目的に合わせて設計された包装に、回収、選別、再処理技術の改善を組み合わせれば、プラスチック包装のリサイクルの採算性を大幅に高められます。同時に、基本的な回収・管理インフラの整備と改善を急ぐ必要があります。特に、東南アジアのようにプラスチック包装が環境中に流出するリスクが高い地域で、その必要性は大きいといえます。
再設計と革新
最大の課題は、プラスチック包装の重量の30%を占める部分です。これは年間100億枚のごみ袋に相当し、抜本的な再設計と革新がなければ、再使用もリサイクルもできません。菓子の包装、小袋、ファストフードの包装など、日常的なこれらの品目はリサイクルできず、品目数ではプラスチック包装全体のおよそ半分を占めます。現在、設計上、短期間の一度きりの使用後に埋め立てまたは焼却される運命にあり、ごみとして環境中に流出するおそれも少なくありません。

こうした種類の包装を再使用またはリサイクル可能にするには、抜本的な再設計と革新が必要です。小型包装については、回収システムから漏れ出る可能性を下げるため、包装自体や使用方法を再設計する必要があります。飲料缶は、再設計の可能性を示す好例です。小さな部品であるプルタブは回収が難しく、ごみになりやすいものでしたが、1970年代に現在一般的なステイオンタブに置き換えられました。
一般的でない素材はリサイクル率が非常に低いことが多く、PVCの場合は5%未満です。よりリサイクルしやすい素材に置き換えれば(革新の余地を残しつつ)、リサイクル率は明らかに向上します。コーヒーカプセルやファストフードの包装など、食品残渣やその他の廃棄物が付着した包装では、堆肥化可能な包装と関連インフラの利用拡大を優先する必要があります。紙パックやポテトチップスの袋のような複合素材の包装については、代替素材や再処理技術の革新を促進する行動が必要です。
世界のプラスチック業界に行動を促す
この行動計画は、新たな報告書『新しいプラスチック経済:行動を促す』で提示されています。同報告書は今週、ダボスで開催されたフォーラム年次総会において、世界経済フォーラムとエレン・マッカーサー財団が発表しました。この調査は、新しいプラスチック経済イニシアチブの一環として行われました。同イニシアチブは、世界経済フォーラムとエレン・マッカーサー財団が主導する、複数業界にまたがるCEO主導の協働プロジェクト「Project MainStream」の直接の成果として、2016年5月に設立されました。エレン・マッカーサー財団が主導するこのイニシアチブには、世界のプラスチック業界全体を代表する主要組織40団体が参加しています。中核パートナーであるAmcor、The Coca-Cola Company、Danone、MARS、Novamont、Unilever、Veoliaなどが協力し、より効果的な世界のプラスチックシステムの実現を目指しています。
今後1年間、新しいプラスチック経済が重点を置くのは、幅広い革新の実現です。このイニシアチブは、素材と包装形態の再設計に着手するため、世界規模のイノベーション・チャレンジを2件開始し、包装設計に関する世界共通の基準(「グローバル・プラスチック・プロトコル」)の策定に着手します。当初は、最も大きな効果が見込まれる変更に焦点を当てます。また、参加企業と都市の協働プロジェクトを通じて、リサイクルシステムも改善します。「循環型」のデザイン思考とシステム全体を捉える視点への移行を支援し、イノベーター、起業家、デザイナーを鼓舞するため、エレン・マッカーサー財団とIDEOは、一般公開の新しいサーキュラー・デザイン・ガイドを2017年1月、ダボスで発表します。
注:新しいプラスチック経済イニシアチブは、主要慈善パートナーとして、The Eric and Wendy Schmidt Fund for Strategic Innovationを通じたWendy Schmidtの支援を受けています。また、慈善資金提供者として、MAVA Foundation、Oak Foundation、およびPeople’s Postcode Lottery(GB)の参加者から支援を受けています。





