ビル&メリンダ・ゲイツ財団で、ハディ・パルトヴィが code.org の「Hour of Code(コードの時間)」について講演した際、すなわち、より多くの学校や生徒にコンピューターサイエンスを導入するという彼の取り組みについて語った際、そのアプローチのシンプルさがパトリシア・ウェストの心に響いた。
そこで、高校の社会科教師であるウェストは、Leading Professional Learningイベントに参加したほかの4人とともに、丸一日にわたる「デザイン思考」の体験に取り組み、パルトヴィのモデルを着想源として、専門能力開発の試作案を作成した。
「Hour of Power(力を得る1時間)」と名付けたこの構想で、ウェスト、チャリティ・ブリットン、シーリア・バンクス、ジェニファー・スミス、カイロニー・ダンスモアは、教師が週に1時間、「継続的な協働型」の専門能力開発に取り組む仕組みを描いた。ニーズ評価に基づきながらも、教師の「選択と情熱」に応える内容だ。報酬を受け取る教師リーダーがセッションを計画・進行し、教師が教室で直面する課題に関わるテーマを扱う。
「教師は学校に貢献したいと思っていますが、その仕事が認められず、授業のスケジュールも詰まっていると難しいと感じます」と、ルイジアナ州ジェファーソン郡公立学校システムの学校支援スペシャリスト、バンクスは言う。「また、学校のニーズについて話し合うために、教師には継続的に集まれる時間と場所が必要です。」
デザイン思考
この2日間の専門能力開発イベントには、教師と、財団の Teacher Practice Network (TPN)イニシアチブに参加する助成先団体の代表者が集まった。WestEdのCenter for the Future of Teaching and Learningが進行役を務めるTPNは、大学進学準備基準の導入を支援する教師ネットワークの活動を加速することを目的としている。この集まりは、教師が協会やその他の教育団体を自分たちの仕事のパートナーとして捉え、ネットワーク団体が教師の声を聞くための貴重な機会となった。
「専門能力開発の計画段階で教師の意見を取り入れることの重要性を、改めて認識して持ち帰ります」と、ジョージア州中部のChattahoochee-Flint Regional Educational Service Agencyで教育テクノロジー・スペシャリストを務めるスミスは言う。「生徒が自分の学びを自ら管理し、責任を持つことを期待するのと同じように、教師にも自分自身の学びをそうできる機会を与える必要があります。」
カリフォルニア州ハーフムーンベイに拠点を置くInstitute for the Study of Knowledge Management in Educationは、参加者がそれぞれの計画をいったん脇に置き、互いのアイデアを発展させることを目的に、一連の即興活動を行った。
たとえば「Yes, And」の活動では、参加者がペアになり、相手の発言を受け止めたうえで、自分のアイデアをその考えに付け加える練習をした。続いて、各自の学区や組織で今後の取り組みを促せるよう、簡潔に伝えられる専門能力開発の試作案を作ることが課題となった。
「デザイン思考を通じて、エンジニアのように考えることを思い出しました」とバンクスは言う。「このプロセスのおかげで、創造的になり、常識にとらわれず考えることができました。」
段ボール、色画用紙、モール、マーカー、粘土などの材料を使い、チームは専門能力開発のアイデアを立体模型で表現することにも取り組んだ。進行役のミーガン・シモンズが「間違いはありません」と繰り返し促すなか、参加者はたいてい床に座り、チームで模型を組み立て、タイトルを付け、会場のほかの人々に発表した。
チームはまた、考案した試作案について、架空の教師の言葉として引用文を書く必要があった。「ようやく、生徒たちのニーズに合った、的を絞った有意義な専門能力開発を受けられています」と、Hour of Powerの利用者は語った。「教師として超人的な力を得たような気分です!」
着想を得る
Hour of Powerチームは、自分たちの希望や経験をもとに試作案を作った。ロサンゼルス郊外のConejo Valley Unified School Districtで5年生を教えるブリットンにとって重要だったのは、教師の学年、教科、関心に応じた仕組みを作ることだった。教師たちが、ニーズに合わない毎週の専門能力開発セッションへの参加に不満を漏らした後、彼女の校長が実際に導入したのがこの方法だった。
「単位時間を満たすためだけに専門能力開発を選ぶところまで来ていました」とブリットンは言う。現在、彼女の学校では教師が学びたいことをより重視して専門能力開発を進めている。たとえば、テクノロジー委員会や読書会がある。「士気はずっと高くなったと思います」とブリットンは言う。
昨年10月以降、ウェストは夏のブレンデッド・ラーニング研修で学んだことを共有し、コロンビア特別区公立学校のCHOICE Academyで同僚の専門能力開発に貢献する機会を得ている。彼女の「力を得る1時間」は毎週木曜日の「朝の協働」の時間に行われ、教室でブレンデッド・ラーニングを活用するセッションを進行している。
またスミスは、Hour of Powerのような取り組みがあれば、教師が燃え尽きて教職を離れたくなるのを防げると述べた。
「Hour of Powerは、教師の専門能力開発に関する意思決定の一部を教師自身の手に戻し、自分の学びを自ら決める力を与えます」と彼女は言う。「専門能力開発に取り組み始める前に、教師が納得して参加することが非常に重要な出発点になります。」
今後に向けて
Hour of Powerチームのメンバーは、デザイン思考の体験を通じて、教室での教師の仕事に専門能力開発をより関連づけるため、すでに進めている取り組みが確かなものになったと話す。
バンクスは、勤務先の複数の学校でこのモデルを導入することについて、ジェファーソン郡の同僚たちと話したという。「試作案を強化し、アイデアを具体的な行動や計画に変えて、正式な提案書にまとめることを楽しみにしています」と彼女は言う。
教師たちはまた、創造的な解決策をさらに生み出すきっかけとして、即興活動の一部をほかの教師たちとも行う予定だという。
「教師が集まり、学校コミュニティに大きな影響を与えるプロジェクトや活動を、却下される不安なく考案する機会はめったにありません」とバンクスは言う。「デザイン思考と即興の手法は、教師から生まれるアイデアを広げるうえで大きな役割を果たすでしょう。」
こうした協働演習は生徒にも活用できるとウェストは言う。互いのアイデアを発展させ、情報源を吟味し、よく考えた質問を生み出し、分析的かつ創造的に考える方法を生徒に教えるからだ。これらはまさに、生徒がCommon Core State Standardsの目標に到達するために用いるスキルである。
「デザイン思考は、実際に活用する必要がある形で教えるべき多くの基準を結びつけます」と彼女は言う。
本記事は、 The Bill & Melinda Gates Foundation との協力により掲載されています。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しません。
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著者:リンダ・ジャクソンは、地方、州、国レベルの政策や動向に幅広い知識を持つ教育ジャーナリストです。
画像:マドリードの公立学校で授業中に黒板に書く教師。REUTERS/Sergio Perez。


