史上初めて、現在5つの世代が共に働いており、多世代の労働力は仕事の未来を左右する鍵となっています。
特にZ世代がイノベーションを推進しており、テクノロジーを活用したビジネス変革の潜在能力を十分に引き出せるかどうかは、この世代にかかっているといえます。
しかし、世代ごとに職場にもたらす経験は独自のものであり、未来に備える企業は、協力を促し、スキルアップを支援し、人を中心とした変革を進めることで、これらすべての視点を支える必要があります。
職場は、テクノロジーの容赦ない速さと労働力への期待に後押しされ、猛烈な速さで変わりつつあります。さらに、現在私たちが経験している地政学的な混乱や経済の不安定さを加えると、今日の時代精神が見えてきます。それは、変化が恒常化した時代です。
今日、エンゲージメントが高く、革新的で、回復力のある労働力を率いるには、社員が誰であり、何を必要とし、どのように協働しているかを理解する必要があり、その状況は急速に変化しています。企業の未来を理解するには、それを牽引する人々を理解することが欠かせません。
世代とは何でしょうか?
先進国では労働人口が急速に減少しています。欧州では、20年後には労働人口が25%減少する見込みです。一方、米国では、Z世代の人口はミレニアル世代より300万人少なくなっています。α世代はさらに少なくなると予想されています。
2034年までに、先進国の労働人口の80%は、ミレニアル世代、Z世代、そして成人に達し始めた最初のα世代で構成されることになります。このような人材が縮小していく状況において、多世代の労働力は私たちの未来の鍵を握っています。職場における人口動態の変化は新しいことではありません。リーダーは常に、新鮮で若い人材を迎え入れることと、経験豊富な専門家を育成することのバランスを取ってきました。
史上初めて、5つの世代――それぞれが独自の技術的・形成的経験を持って――が現在、肩を並べて働いています。今日の労働力の年齢の幅はかつてないほど広がっており、各世代を特徴づける経験もかつてないほど異なっています。1990年以前に職場に入った人々の紙の記録に囲まれた環境を想像してみてください。手のひらの上にインターネットがある環境で育ったZ世代にとっては、まったく想像もつかないことでしょう。

まさにこの多様性の広がりこそが、リーダーにイノベーションと成長の新たな機会をもたらしています。
Z世代はどのように職場の変化を牽引しているのでしょうか?
どの世代も職場に独自の特徴をもたらしていますが、Z世代ほど注目を集めている世代はありません。それには十分な理由があります。Z世代は、他のすべての世代を自らの軌道に引き寄せる重力のような存在です。EYでは、この点を強く認識しています。EYの社員12万7,000人――全社員のほぼ3分の1――がZ世代です。この数は3年間で3倍に増加し、現在EYの社員の年齢中央値は30歳です。
コミュニティ、グローバルな視点、所有よりも利用、副業、洗練さよりも誠実さといったZ世代の価値観が、世代を超えて職場文化を形づくっています。彼らは新しい技術を素早く習得し、以前の世代には考えられなかったほど膨大な量のデータや情報を活用します。職場の外での経験も、職場に求められるものを変化させつつあります。例えば、Z世代は職場のテクノロジーツールに、ソーシャルメディアアプリと同じような使いやすさを期待しています。
また、Z世代の社員は転職しやすい傾向にあります。2024年のEYWork Reimagined Surveyでは、回答者の38%が来年に退職する可能性があると答えています。これは前年の調査より4ポイント増加しており、その動きは主にZ世代によって牽引されています。この世代を職場にとどめておくことは、イノベーションを推進し、私たちが未来の姿を捉える助けとなる新しいアイデアや新しい方法を示すうえで重要です。ビジネス変革の潜在能力は、その大部分がZ世代にかかっています。
将来のビジネスニーズを理解するために、リーダーは今何ができるでしょうか?
リーダーは、労働力の変化するニーズに対応し、今という時代がもたらす豊かな多様性を活かすために、次の3つの重要な行動から始めることができます。
1. 多世代間の協働を促す
若い世代のニーズに大きな注目が集まっていますが、各世代は独自の経験をもたらしており、その知識を組み合わせることで革新的な解決策を生み出すことができます。人材プールが縮小し、人々がより長く働き続ける中で、世代を超えた協働は不可欠です。
これは、多世代のチームを意図的につくり、階層構造を取り払い、偏った世代的ステレオタイプを手放し、各世代が新たな考え方をもたらすことを受け入れることを意味します。各世代が必要としているものを把握するには、次世代の諮問機関やシャドウボードを設置し、従業員のエンゲージメントや最も重要な課題について新鮮な視点を得ることが有効かもしれません。
世代間の分断は障壁として生じることがありますが、こうした分断を乗り越えて労働力を導くリーダーは、イノベーションを育み、回復力を築く独自の機会を得ることができるでしょう。
2. スキルアップを適切に進める
人工知能(AI)や自動化の急速な進歩が職務の在り方を作り変え続けており、スキルアップの必要性はこれまで以上に重要になっています。
Z世代はAIの可能性に楽観的である一方、新たな調査によれば、自分の能力を過大評価することもあるようです。同時に、X世代やミレニアル世代の社員は、AIをまったく異なる視点で捉えている可能性があり、その技術との関わり方に合わせた個別化された研修を必要としています。
こうしたギャップを埋めるには、リーダーは継続的な学習を優先し、知識の格差に対処するだけでなく、人々が新しいスキルを習得するさまざまな方法にも合致した個別化された研修を提供する必要があります。
3. テクノロジー主導の時代において人を中心に据える
私たちが忘れてはならないのは、インテリジェント時代が、これまで経験してきたどの変革とも同じくらい人間の時代であることです。テクノロジーと人間の能力はますます融合していくかもしれませんが、そうなるにつれて、共感、倫理、そして批判的な問題解決の必要性は高まるばかりです。そして、それこそが人間がもたらすものなのです。
AIに支えられた変化が恒常化する世界では、あらゆる世代のニュアンスを活かし、意味のあるつながりを重視する組織が先頭に立ち、私たち全員が新たな世界で成長するために必要な新しい構造的・組織的モデルを構築していくことでしょう。
本記事で論じられている見解は著者個人のものであり、必ずしもEYグローバル組織またはそのメンバーファームの見解を反映するものではありません。


