多くの組織は、自己抑制を促すために時間と労力をかけるよりも、達成方法を問わず目標に集中することを重視し続けている。一部の組織に見られる成果、報告書、指標への根強い執着は、どんな犠牲を払ってでも業績が最優先だというメッセージを従業員に送っている。
その結果、組織では目を見張るような失敗がいくつか起きている。たとえば、ライドシェア事業を手がけるウーバーでは、不適切なリーダーシップが、自己抑制の欠如を体現し、それを助長した。フォルクスワーゲンの2015年排ガス不正問題も、業績目標の達成方法に対する監視が不十分な場合に何が起きるかを示す、厳しい教訓となる事例だ。
私たちの多くは、ふと自己抑制を失ってしまうことがある。顧客向けの報告書を仕上げる代わりにFacebookを見て先延ばしにしたり、いら立たせる同僚にかっとなったりすることも、その一例だ。研究によると、自己抑制の欠如は、より広く見て、機能不全を招く結果につながる。
私たちの研究は、破壊的なリーダーは不安を感じているときや、課題の難易度が高いときに、とりわけ自己抑制を欠くことを示している。一方、建設的なリーダーは自己抑制力がはるかに高く、圧倒されにくい。
目標重視から自己抑制重視へと転換するには
感情や行動の反応を調整する能力である自己抑制は、現代の組織で成功するうえで不可欠だと広く認識されている。自己抑制の起源は、少なくとも部分的には、生物学的な基盤にあると考えられている。そのため、自己抑制は身につけられるものではあるが、職場で自らの行動を律するよう従業員を訓練するのは、必ずしも容易ではない。
企業が従業員の業績を測る一般的な方法を端的に示すのが、ノートンとカプランのバランス・スコアカードだ。この手法では、従業員やチームが達成すべき、バランスの取れた一連の目標を設定する。それらの目標は組織の上層へと連動し、容易に進捗を監視できるようになっている。
こうしたツールに頼ると、自己抑制の欠如を見抜けないばかりか、助長してしまうこともある。説明責任の乏しい環境が生まれ、自己抑制に欠ける人々が上級管理職に就く道を開きかねない。研究によると、業績重視はまた、従業員の学習と能力開発を妨げる一方、努力と適切なプロセスに重点を置けば、組織ははるかに確かな基盤を築ける。
従業員の自己抑制を促し、その失敗による影響を最小限に抑える方法は複数ある。
その一つは、従業員の間に参加型の文化を育むことだ。会議で全員が意思決定に加われば、適切な議論がイノベーションの成功につながる。そう、ブレインストーミングは実際に効果があるのだ。多様な人々が発言しやすいと感じられるよう参加を促すことで、問題と解決策に対する当事者意識を皆で分かち合うことに重点が置かれるからだ。
自己抑制を高めるためにマインドフルネス研修も広く導入されており、新たな研究は、これがウェルビーイングの向上につながる可能性を示唆している。最も効果的なマインドフルネス研修は、規則に従いながら単にリラックスする方法を学ぶのではなく、適切なプロセス、内省、道徳について問い直すことに重点を置く。
効果的な組織は、自己抑制、適切なプロセス、十分な議論を促し、非現実的な業績指標よりも成長志向を重視する。核心となるのは、業績は重要だが、プロセスを犠牲にしてはならないということだ。従業員の自己抑制を促し、高めることは、適切なプロセスを守る一つの方法である。


