避難を余儀なくされた人材の力を生かす移民制度への変革

Walter Banegas, 28, originally from Honduras, works at the Pace Industries aluminum injection molding plant, his formal job after settling in Mexico as a displaced person, in Saltillo, Mexico, October 16, 2023. REUTERS/Daniel Becerril
Displaced talent can help address the needs of labour markets and communities.Image: Reuters/Daniel Becerril
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  • 避難を余儀なくされた人々の保護に毎年数百億ドルが費やされる一方、先進国では何百万もの仕事が埋まらないままです。

  • その代わりに、数百億ドルのごく一部を活用して、そうした人々の技能を 地域社会の労働者や納税者として、安全に生かすことができます。

  • 組織が連携して避難を余儀なくされた人材を受け入れ、労働市場や地域社会のニーズに応える方法を紹介します。

適切な技能を持つ人が、難民であるという理由だけで採用されないのはなぜでしょうか。地元でパティシエや肉屋、介護助手や看護師、環境コンサルタントや建設積算士、フルスタック開発者や消防設備技術者、美容師やソフトウェアエンジニアを探しても見つからなかった企業は、そう考えるかもしれません。こうした空席はすべて、避難を余儀なくされた人材を活用することで、ここ数カ月のうちに3大陸の雇用主で埋まりました。

国際社会として、難民を飢えや危険、住居や教育の面で不十分な状態に置きながら支援するため、毎年数百億ドルを費やし続けることもできます。その一方で、経済協力開発機構(OECD)加盟国では、あらゆる技能レベルの何百万もの仕事が埋まらないままです。あるいは、数百億ドルのごく一部を活用して、そうした人々の技能を 地域社会の労働者や納税者として、安全に生かすことができます。

難民が逃れることを余儀なくされると、家や愛する人、持ち物を残していくことはあっても、自らの才能は携えていきます。世界の国外居住者のうち、難民が占める割合は約10%です。国境を越えて労働者と雇用主を結び付け、移動させる既存の兆ドル規模の労働移動産業を、 避難を余儀なくされた人材が現在の移動の3%または5%にアクセスできるように変革すれば、大きな変化をもたらすでしょう。

力を引き出すには、政府(国と地方の双方)、雇用主および推進役としての民間部門、国連その他の多国間機関、人道支援団体や地域の非政府組織(NGO)からなる4つの柱の連合体が必要です。これらが協力し、市場の力と雇用主の資金を生かして、避難を余儀なくされた人材を受け入れ、労働市場や地域社会のニーズに応えます。

こうすることで、雇用を通じて避難を余儀なくされた人々を力づけるのでしょうか。それとも、意欲の高い人材を採用ニーズに結び付け、産業や社会を力づけるのでしょうか。答えは、その両方です。

避難を余儀なくされた人材の雇用を阻むもの

多くの優れたアイデアが実現に至っていません。避難を余儀なくされた人々が安全な住まいへ移るための労働経路には、次のような構造的障壁があります。

市場の力を人道課題に応用するこの種の真のイノベーションは、現在の企業組織や職務記述、政府開発援助(ODA)の定義、人道支援の資金枠組みに当てはまりません。企業の人事組織や政府機関はもちろん、国連機関にも、適切な名称の適切な枠がありません。

カナダの「経済的流動性促進プログラム」は、熟練した難民の雇用をどのように確保しているのか
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ここでは制度上の摩擦が深刻です。中小企業、業界団体、世界最大級の企業が用いる既存の採用の仕組みでは、難民はほとんど見えない存在です。いくつかの分野で、私たちの概念モデルを見直す必要があります。保護策として大規模な雇用経路を整備するには、難民を貢献者ではなく被害者とみなしてきた考えを改め、2024年以降の採用において包摂性が何を意味するのかを再定義しなければなりません。

このアイデアの価値は明らかですが、優れたアイデアの多くは始動に至らず、それを変える必要があります。ケニアのカコマ難民キャンプからカナダのノバスコシア州へ移り、高齢者の介護助手として働くある難民女性は、必要なものではなく能力について尋ねられた日が人生で最良の日だったと語ります。これは敬意と尊厳をもたらす解決策です。

変革に向けた次のステップは何でしょうか。

解決策はいつも同じです。大きな夢を抱き、綿密に計画するリーダーシップです。

先月ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会2024で、国際移住機関(IOM)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が共催した「雇用を通じたエンパワーメント」イベントに参加したリーダーの一人、FEMSAのフランシスコ・カマチョ・ベルトランCEOは、自社が2027年までに難民2万7,000人を雇用する計画を示しました。これは一企業の話にすぎません。このような意欲がフォーチュン500企業や20の世界的な業界団体に広がったらどうなるか、想像してみてください。

私の考えでは、試験導入と試行の段階は終わりました。Talent Beyond Boundaries、RefugePointなどは実証を終えています。第一庇護国から難民が安全な経路で移動できるよう、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)をはじめ多くのパートナーと協力し、さまざまな産業がある複数の国で、持続的な解決策につなげてきました。低コストで、結果として生じた庇護申請はゼロ、送還の事例もゼロで、雇用継続率は非常に高く、もちろん継続率は容易に金銭的価値へ換算できます。

オーストラリアの既存プログラムに、カナダと英国が加わり、さらにアイルランド、ポルトガル、ベルギーでも国際移住機関と緊密に連携しています。今年は米国、イタリア、スペイン、ドイツ、スロバキア、フランスでプログラムの設計と実施を開始する予定で、今後さらに参加国が増える見込みです。ただし、規模はまだ限られています。

避難を余儀なくされた人々の雇用を可能にするために必要なこと

規模拡大を願うだけの段階は終わり、次の段階の設計に着手する必要があります。つまり、概念実証の試験導入から、解決策を標準化する大規模プログラムへの橋渡しを築くことです。適切な、強い意志を持つ関係者たちが一堂に会し、多くの初期段階の優れたアイデアを阻む「鶏が先か卵が先か」の障壁を乗り越えなければなりません。

雇用主のニーズを満たす規模で難民を移動させる確約を得るには、大規模で効率的なマッチングと物流のインフラが必要です。一方、その確約なしには、そうしたインフラの資金を調達し、設計し、実施することはできません。どちらも先に必要なのです。

この問題を解決する方法は、魔法でも新しいものでもありません。ベンチャーキャピタル、エンジェル投資、ビジネスインキュベーションです。4つの柱から変革を主導する上級リーダーが、自立的に解決策を標準化するためのインフラを整備し、それによって投資を回収する必要があります。

これは本質的にサプライチェーンの問題です。(悲しいことに)供給は豊富にあり、(幸いにも)需要も豊富にあります。世界経済フォーラムのコミュニティには、サプライチェーンのボトルネック解消について、私よりはるかに詳しい人々がいると思います。

毎年ダボスに集う政府、国連や多国間機関、市民社会、企業は皆、難民のための安全で合法的な雇用経路を拡大するのに必要な担い手です。

オープン・ソサエティ財団のマーク・マロック=ブラウン会長は、先日ダボスで私たちのパネル討論の司会を務めた際、こう述べました。「毎年、何百万人もの人々を国境を越えて合法的に働きに移動させる巨大なグローバルシステムに、難民や脆弱な立場にある移民の技能を組み込むことで、気候変動や避難民危機、医療・高齢者介護やグリーン経済への移行などに深刻な影響を及ぼす労働力不足、さらには人口減少を解決できるでしょうか。いいえ。

それは、価値ある相乗効果を生む力となり、多くの家族を尊厳を保ちながら安全な場所へ導く、重要な緩和要因になり得るでしょうか。はい。」

Talent Beyond Boundariesは、国際移住機関(IOM)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が共催した世界経済フォーラム年次総会2024の「雇用を通じたエンパワーメント」イベントに参加しました。

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