マキャベリは、人を突き動かす主な衝動は愛と恐怖の2つだと述べた。
研究者らは今回、この力学が職場でどのように表れるかを明らかにし、基本となる2つのリーダーシップスタイルを示した。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』の記事で、米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のジョン・マナー教授は、一部のリーダーが「威信」に基づいてマネジメントする一方、別のリーダーは「支配」に頼る仕組みを明らかにしている。
原始的なリーダーシップ
マナーと共著者によると、支配は原著論文で述べているように進化の歴史をたどることができ、チンパンジーを含む霊長類にも見られる。順位の高いチンパンジーは、ほぼ常にオスで、尊敬と服従を求め、威嚇によって支配を維持する。
人間も影響力を行使する際、強制、攻撃、罰や報酬など、同様の手段を用いる。
通常、階層は厳格で、権力の大部分は最も支配的な人々が握っている。
研究者らによると、支配を軸とするリーダーシップの手法は、自己愛的な人々になじみやすい。
チームを結束させる
一方、威信を軸とする戦略は人間に固有のもので、初期人類が小さな共同体を築き始めた頃に初めて現れた。こうした集団では、チームのメンバーはリーダーの知識や技能を尊重し、敬服しているため、自発的に従い、リーダーを手本にする。
階層は平坦な傾向にあり、リーダーは他者とのつながりを求め、自ら目立とうとするとは限らない。
支配型リーダーと威信型リーダーを見分けるには
支配型のビジネスリーダーは、脅威とみなすチームメンバーを注意深く監視し、その人物が「危険」になりすぎると、やがて排除する傾向がある。能力を発揮できないよう、スキルに合わない仕事を割り当てるのだ。また、チーム内で親密な関係が築かれるのを妨げる傾向も強い。
対照的に、威信を軸とするリーダーは、優秀な社員を受け入れて味方に引き入れ、敵に回すことを避ける。チームのメンバーが才能に合った役割で力を発揮できるよう自由を与え、チームの結束を促す。
支配型リーダーは「知識は力なり」と考え、自らの地位を保つために情報を隠す。一方、威信型リーダーは情報共有を重視する。

状況に応じた使い分け
支配型か威信型のどちらかに明確に分類できるリーダーもいるが、どの戦略を使うかは状況によって変わると、研究者らは明言している。
チームの足並みをそろえ、迅速に同じ方向へ進む必要があるときは、支配型の手法が最も効果的とみられる。たとえば危機に際しては、議論に時間をかけず、迅速に連携して対応する必要があるかもしれない。常に連携できているとは限らない複数の部門を、共通の目標達成に向けてまとめる必要がある場合も同様だ。
こうした状況では、強力かつ迅速な意思決定が求められ、「命令される」ことを快く思わない人々への感情面の影響を、あまり気にかけていられない。
チームに力を与える必要がある状況では、威信型の戦略がはるかに効果的だ。クリエイティブチームが新たなキャンペーンのアイデアを出し合う場合は、考える余地を与え、話し合いながらアイデアを練るよう促すのがよい。リーダーは枠組みと指針を示しつつ、一般のメンバーとして振る舞うべきだ。
研究者らは自らの研究に基づき、経験豊富なリーダーは自分が自然にどちらのスタイルに傾くかを理解しており、状況に合わせて両者を使い分けられると結論づけている。


