この定期的なニュースまとめでは、世界経済フォーラムの新経済・社会センターが、労働市場に関する重要なニュースや最新情報をお届けします。
主なニュース:出社回帰をめぐる議論、人材確保に不可欠となった柔軟な働き方、経済の変化が新卒層や脆弱な国々にもたらすリスク。
会社からオフィスに戻るよう言われたら、どう感じますか?
あらゆる業界で起きている動きです。経営陣は、出社を求めるのは協働、企業文化、創造性のためだと説明します。しかし、多くの従業員が語るのは異なる現実です。柔軟な働き方が生産性、仕事への満足度、忠誠心を高めるというものです。
従業員の声と食い違うことも多いなか、出社義務化を求める声が強まっています。出社回帰の逆説について、知っておきたいことを紹介します。
企業の出社義務化が拡大
オフィス出勤の要件を厳しくする大手企業が増えています。
定期的な出社を求められる従業員の割合は急増し、75%に達しました。ピュー・リサーチ・センターのデータによると、2023年初めの63%から2024年後半に上昇しました。シスコのより最近の調査もこれを裏付けており、回答者の72%が、自社にはオフィス勤務の義務があると答えています。
一方、こうした要件に反発する従業員も増えています。
従業員のほぼ半数(46%)が、雇用主に在宅勤務を認められなくなれば新しい仕事を探すと、ピューの調査で回答しました。また、英国の調査では、週5日の出社義務に従うと答えた従業員は42%にとどまり、2022年初めの約54%から低下しています。
一部の見出しでは、出社回帰の方針が自発的な離職につながると報じられています。パンデミック期に過剰採用した後の、いわゆる「隠れた人員削減」の手法です。
イノベーションと協働をめぐる落とし穴
企業の経営陣は、オフィス出勤の義務化は協働や創造性に欠かせないとしばしば主張します。
対面でのやり取りは生産性を大幅に高めることが、2022年の研究で示されています。シリコンバレーの知識共有に関するMITの研究では、対面会議を25%減らすと、特許引用数が8%減少する可能性があることが分かりました。
さらに、『Nature』誌に掲載されたマイクロソフトのエンジニアに関する分析では、完全リモート勤務によってネットワークがより硬直化し、サイロ化が進み、リアルタイムの協働が減少することが分かりました。
世界経済フォーラムは仕事の未来に向けて何をしているのか?
調査によると、リモートワークは……
企業経営陣が従業員をオフィスに呼び戻す動きを強める一方、データは異なる実態を示しています。
生産性の向上は現実に起きています:あるコールセンターの調査では、 完全リモートに移行したトルコのコールセンターで、オペレーターはパンデミック前より10%多くの電話に対応しました。
柔軟性はウェルビーイングと定着を支えます:中国のある 旅行会社の調査では、週2日の在宅勤務を認められた従業員は、退職する可能性が33%低く、満足度も高いことが分かりました。
柔軟な働き方とジェンダー平等:トルコの調査では、リモートワークによって労働力に占める女性の割合も、2023年初めまでに50%から76%へ上昇しました。これは同国の女性の労働参加率35%を大きく上回ります。世界経済フォーラムの『雇用の未来レポート2025』によると、多様な人材プールを活用することは、競争の激しい世界の労働市場で人材の確保可能性を高める、最も効果の大きい企業慣行トップ5の一つとされています。
……しかし、完全リモート勤務はどうでしょうか?
完全リモート勤務の従業員は、オフィス勤務の同僚より仕事への関与や熱意が高いと報告する一方、ストレス、孤独感、精神的苦痛を経験する割合も高くなっています。
によると、ギャラップが指摘する「リモートワークの逆説」では、日々の社会的なつながりがなく、技術の進歩に一人で対応することが、特に時間の経過とともに負担になり得ます。
欧州の2万5,000人を対象とした最近の調査では、心理的健康とイノベーションにはハイブリッド勤務が最適と分かりましたが、鍵となるのは柔軟性です。マッキンゼーは、ハイブリッド勤務を成功させる6つの実践を紹介しており、明確なルール、定期的な対面の時間、信頼関係の構築などを挙げています。
世界各地で異なる出社回帰の動向
出社義務化の動きはどこでも同じように進んでいるわけではありません。
アジア太平洋地域は世界的な出社回帰の先頭に立っており、中国(4.7日)、インド(4.4日)、韓国(4.2日)の従業員は、週の大半をオフィスで過ごしています。
対照的に、米国と英国の従業員の出社は週平均でわずか2日強です。欧州各国の政府は、リモート勤務に適した権利の確立に力を入れており、「つながらない権利」などが含まれます。
柔軟性はもはや付加的な福利厚生ではなく、熟練労働者の採用と定着を図るための中核的な競争戦略となっています。
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