パンデミックによってリモートワークの新時代が幕を開け、企業は従業員が遠隔で目標を達成できるよう、最適な環境を整えなければなりません。
リモートで働けるようになったことで、組織間および組織内の国際的な協働の可能性が広がりました。
この新時代において企業は、既存の従業員に異文化コミュニケーションのスキルを身につけてもらう研修を行うとともに、そうした専門性を持つ人材を採用することで恩恵を得られます。
COVID-19の感染拡大により、世界各地でソーシャルディスタンスが求められ、特に仕事の場面でオンラインのやり取りが増えました。パンデミック中も連絡を取り続ける必要があったため、オンライン会議が新たな日常となりました。その結果、政府間や科学界の国際協力がパンデミックを受けて拡大しただけでなく、国際的な仕事やリモートワークも増加しました。この新たな現実のもとで、企業は従業員が遠隔で目標を達成できるよう、可能な限り最適な環境を整えなければなりません。
しかし、こうしたリモートでのやり取りによって異文化間の交流が増えていることは、すべての企業が十分に考慮しているとは限りません。企業の視点から見ると、こうした交流はさらにグローバル化する機会となるため、異文化間の交流を積極的に促すべきです。
従業員の視点から見ると、パンデミック中に多くの仕事がリモート化したことで、家を離れずに海外の新たな仕事を探せるようになりました。多くの国では、リモート職に応募し、より高い報酬を得ることが可能になりました。報酬はドルやユーロなど、別の通貨で支払われることも少なくありません。国際的なリモートワークは、収入を増やす大きな機会となっただけでなく、国内では得られなかった成長の機会を見つける手段にもなっています。
リモートワークの普及に伴い、従業員は多様性がますます高まる職場環境に身を置くようになっています。そのため、従来から必要とされてきた高度な英語力やデジタル分野の専門知識に加え、今では異文化間スキルも必要です。
異文化間スキルとは何でしょうか。
異文化理解力や異文化コミュニケーションのスキルには、複雑で多様な状況における不確実性への対処や、無意識の偏見の解消などが含まれます。こうしたスキルは、異なる多様な背景を持つ同僚との関係構築を助け、互いを尊重し包摂する職場環境を実現します。さらに、文化的背景の異なる対話相手や聴衆と接する際に、従業員が目標を達成するうえでも役立ちます。
リーダーシップ、マネジメント、コミュニケーション、チームワークが意味するものは、国や文化によって異なる場合があります。例えば、コミュニケーションが明快で簡潔な文化や国もあれば、より洗練され、多層的な表現が用いられるところもあります。同様に、国や文化によって、フィードバックを直接的または間接的に伝えることがあります。また、意思決定が合意に基づく場合もあれば、権限を持つ一人に集中する場合もあります。
相互理解と文化への認識を深めることは、従業員が互いを尊重し、新たな顧客の獲得、取引の円滑な交渉、印象に残るプレゼンテーション、戦略的パートナーシップの構築といった目標を達成する助けになります。
異文化間スキルがもたらす影響
では、こうしたスキルは、専門職の人々が異なる文化の人々と交流するうえで、どのように役立つのでしょうか。リモートワークは、文化への理解と尊重を深めるはずです。また、固定観念や排除、差別の軽減にもつながるでしょう。しかし、異なる文化の人々と働くだけで、文化への認識が自動的に深まるわけではありません。企業は異文化間スキルの育成に投資する必要があります。
そのため企業は、チームのメンバーや新たな候補者がこうした分野の能力を伸ばせるよう、研修に重点を置くべきです。パンデミック中に必要性が高まったグローバルなスキルは、今後も価値あるものと見なされるでしょう。国際協力とリモートワークは今後も続きます。
PWCの調査によると、パンデミック中、適応力と柔軟性は企業にとって重要な要素となりました。「企業がより強く立ち直るには」CEOパネル調査では、CEOが柔軟でデジタルを活用したビジネスモデルと、従業員を重視する労働力を優先していることが示されました。実際、調査対象となったCEOの61%が、リモートワークへの移行は今後も続くと回答しました。
異文化間スキルの重要性が高まっていることをさらに示すように、これらのCEOは、他者への敬意を示すこと、信頼を築くこと、多様なチームの中で効果的に働くことを、最も重要な3つの必須スキルに挙げました。これらは、職務に関連する適切な資格や経験よりも重視されました。異文化間スキルは、英国文化振興会(British Council)の以前の調査でも、正式な資格と同等に高く評価されていました。
文化の違いがもたらす影響を、すべての組織が考慮すべきであることは明らかです。そのため、異文化理解力や異文化コミュニケーションのスキルを育む必要性は、かつてないほど高まっています。
新時代に求められる新たなスキル
しかし、これは企業が直面する大きな課題です。異文化コミュニケーション上の問題や、差別や排除といった障壁は、企業の評判を損なうだけでなく、生産性や従業員のエンゲージメントにも影響を及ぼすおそれがあります。また、誤解を招き、協働を妨げることもあります。こうしたことはすべて、組織の成長と成功に影響しかねません。
したがって企業は、従業員に対人スキルや異文化間スキルの研修を行うだけでなく、そうした能力を持つ人材を採用するべきです。グローバルな視点は リモートワークの新時代において、採用時に最も重視すべき要件の一つであるべきです。


