保護主義では雇用を守れない。雇用を守るのは何か

People stand on a platform at a train station in Tokyo December 8, 2014. Japan's economy shrank more than initially reported in the third quarter on declines in business investment, data showed on Monday, surprising markets and backing premier Shinzo Abe's recent decision to delay a second sales tax hike. REUTERS/Yuya Shino (JAPAN - Tags: BUSINESS SOCIETY) - RTR4H2EM
While China is far more urbanized than India, it, too, is still trying to bring ten million people a year into its cities.Image: REUTERS/Yuya Shino
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米国と欧州の政治指導者たちは質の高い雇用の将来を懸念しているが、世界の賃金に大きな下押し圧力をかける恐れのある、発展途上のアジアが直面するはるかに大きな問題に目を向けるべきだ。インドでは、一人当たり所得が米国の約10分の1にとどまるなか、年間1,000万人を超える人々が農村を離れて都市部へ流入している。彼らは、チャイワラとしてさえ、ましてやコンピュータープログラマーとしては、仕事を見つけられないことが多い。雇用の将来をめぐる米国人や欧州人の不安は、アジアでは桁違いに大きい。

インドは、日本が先駆け、中国をはじめ多くの国が追随した従来型の製造業輸出モデルを目指すべきなのだろうか。今後20年ほどの間に自動化によってそうした雇用の大半が消滅するなら、その先に何があるのだろうか。

もちろんサービス部門もある。先進国では人口の80%がそこで働き、インドのアウトソーシング産業はいまなお世界最大だ。しかし、こちらも前途は決して平坦ではない。自動音声応答システムはすでに世界のコールセンター事業のかなりの部分に取って代わっており、定型的なプログラミングの仕事の多くもコンピューターに押されている。

過去30年間の大きな物語は中国の経済発展だったかもしれないが、中国も同様の課題に苦しんでいる。中国はインドよりはるかに都市化が進んでいるものの、年間1,000万人を都市に迎え入れようとしている点では同じだ。自動化や、ベトナムやスリランカといった低賃金の競争相手によって雇用が失われるなか、新たな労働者を受け入れることはますます難しくなっている。

近年、世界的な保護主義の高まりがこの困難な状況をさらに悪化させている。その象徴が、アップルの主要サプライヤーであるフォックスコンがウィスコンシン州の新工場に100億ドルを投資すると決めたことだ。確かに、米国で生まれる新たな雇用1万3,000人分は、インドと中国が毎年創出しなければならない2,000万人(またはそれ以上)と比べれば、また米国が必要とする200万人と比べても、ほんのわずかにすぎない。

トランプ氏が公約するように、米国と欧州には貿易をより公正にする余地が多少はあるかもしれない。たとえば、中国の製鉄所の多くは最先端の汚染防止設備を備えているが、コスト削減のために停止できる。過剰生産された鋼材が安値で世界市場に投げ売りされる結果となるなら、西側諸国が対抗措置を取るのは十分に正当化される。

残念ながら、貿易保護主義の長い歴史を見ても、それが外科手術のように的を絞った措置となることはめったにない。むしろ、主な受益者は富裕層や政治的なつながりを持つ人々であり、敗者となるのは高い価格を払う消費者であることが多い。

外国との競争から自国を過度に閉ざす国は、やがて競争力を失い、イノベーション、雇用、成長が損なわれる。たとえばブラジルとインドは、歴史的に内向きの貿易政策に苦しんできたが、近年はいずれも開放度を高めている。

もう一つの問題は、西側諸国の経済の大半が、ずっと以前から世界のサプライチェーンに深く組み込まれていることだ。トランプ政権でさえ、メキシコからの米国の輸入品に米国製の部品や価値が相当含まれているとようやく理解したとき、北米自由貿易協定から離脱する計画を見直さざるを得なかった。高い関税障壁を築けば、メキシコの雇用と同じくらい多くの米国の雇用が失われる可能性がある。もちろん、米国が輸入関税を大幅に引き上げれば、コストのかなりの部分が価格上昇という形で消費者に転嫁される。

貿易はサービス部門にも、今後ますます浸透していくだろう。アマゾンのメカニカル・ターク(実際には人が巧みに隠れていた18世紀のチェス対局機械にちなんで名付けられた)は、買い手が非常に小規模で具体的な作業(たとえばプログラミングやデータ入力)を第三世界の賃金水準で委託できる新たなプラットフォームの一例だ。アマゾンの巧みな標語は「人工的な人工知能」である。

保護主義者が業務のアウトソーシングを阻止できたとして、その代償は何だろうか。確かに、ウーバーの初期の経験が示すように、オンラインのサービス・プラットフォームは規制される必要がある。しかし、インドと中国が毎年創出しなければならない膨大な数の新規雇用を考えれば、またインターネットが依然として国境を越えて広く利用できることを踏まえれば、先進国がサービス輸出を厳しく抑え込めると考えるのは愚かだ。

では、各国はテクノロジーと貿易の止まることのない進展にどう対処すべきだろうか。当面は、インフラと教育の改善によって大きな成果を上げられる。世界の他の地域が2008年の金融危機後に苦境に陥るなか、中国は広大な物流網とサプライチェーンの拡充を続けた。

人々が頻繁に、ときには大きく仕事を変えざるを得ない可能性が高い世界では、成人教育を抜本的に変える必要があり、その中心となるのはオンライン学習だ。最後に、各国は税と給付を通じた、より強力な再分配制度を導入する必要がある。トランプ氏が掲げてきたような従来型のポピュリズム的な貿易政策は、過去にうまく機能しておらず、今後はさらに悪い結果を招く可能性が高い。

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