4月2日は世界自閉症啓発デーです。
神経多様性のある人々の失業率は高くなっています。
ニューロダイバーシティに配慮した採用プログラムを導入する企業は、職場に多様な視点を取り入れるメリットを得ています。
神経多様性のある人々が職場で力を発揮できるようにする、簡単な取り組みをいくつか紹介します。
「型にはまらない考え方を助けてくれる人がいることは、組織にとって大きな強みです。」
AJは、アスペルガー症候群とディスレクシアと診断されたのはこの1年以内のことです。脳の働き方が独特であることが、英国防衛科学技術研究所の主任ソフトウェアエンジニアとしての仕事に役立っているといいます。
「私たちは物事を理解し、問題を解決しようとしています。だから、さまざまな意見やアイデア、物事の考え方をできるだけ多く集めれば集めるほどよいのです。」
4月2日は国連の世界自閉症啓発デーです。今年のテーマはすべての人に包摂的で質の高い教育をです。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの間、自閉症のある生徒は、教育や支援サービスの中断によって不釣り合いな影響を受けました。
教育、職業訓練、生涯学習の機会を得ることは、自閉スペクトラムの人々が「潜在能力を発揮し、労働市場で持続可能な成功を収める」助けになると、国連は述べています。
しかし、雇用統計が示すように、さまざまな思考様式を持ち、自閉症、発達性協調運動障害、ディスレクシア、ADHDなどの特性がある神経多様性のある人々は、しばしば差別に直面します。企業は職場におけるニューロダイバーシティの利点ではなく、課題に注目しがちです。
「治すことや、取り除くことが目的ではありません」とAJは言います。「その人が最大限に力を発揮できるよう、必要な手段を提供することが大切です。」
神経多様性のある人々が働く職場が重要な理由
世界の人口の10~20%は神経多様性があると考えられていると、コンサルティング・監査会社デロイトは述べています。
世界ではおよそ子どもの100人に1人が自閉症であると、世界保健機関(WHO)の最新の数値は示しています。しかし、AJを含め、多くの人は成人してから診断されます。米国では、子どもの44人に1人が自閉スペクトラム症(ASD)であると、米疾病対策センター(CDC)は報告しています。
米国で自閉症が広く見られるにもかかわらず、自閉症のある人々の大半(85%)は失業しているとデロイトは述べています。一般人口の失業率は4.2%です。
「あらゆる種類のニューロダイバーシティには、多くの固定観念があると思います」とAJは言います。「ディスレクシアの人は読めない、自閉症やアスペルガー症候群の人は社会性がまったくなく、現実の世界ではやっていけない、と考える人がいます。
「そうした考えはどれも正しくないと思います。『神経多様性のある人に一人会ったなら、会ったのは神経多様性のある人一人だけ』という格言があります。誰もが違うのです。ほかのすべての人がそれぞれ異なるのと同じです。」
デロイト、マイクロソフト、SAP、JPMorgan Chase、EYなど、多くの企業は神経多様性のある人々が労働力にもたらすスキルに気づき、それを受けてニューロダイバーシティに配慮した採用プログラムを導入しました。
これらの企業は、非営利団体Disability:INの「Neurodiversity @ Work Employer Roundtable」にも参加しています。これは雇用主が協力し、「神経多様性のある従業員が成長し、潜在能力を最大限に発揮できる機会を提供するための理解、認知、支援体制を築く」コミュニティです。
2013年にSAPが「Autism at Work」プログラムを開始した際、応募者には2つの学位を持つ人や、電気工学と経済統計学の修士号を持つ人が含まれていたと、ハーバード・ビジネス・レビューは伝えています。しかし、多くの人はそれまで、自分のスキルを生かせる仕事に就くことができませんでした。
こうしたプログラムを通じて採用された神経多様性のある従業員は、細部への注意力、パターン認識、推論力、数学やコーディングのスキル、時間厳守、革新的で創造的な解決策を提案する力など、数多くの能力を評価されています。
企業がニューロダイバーシティを支える方法
デロイトによると、リーダーは自分自身の経験について、もっと率直に語る必要があります。テクノロジー企業シスコの元CEO、ジョン・チェンバースによれば、CEOの4人に1人はディスレクシアです。ヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソンと並び、チェンバースは自身の神経多様性を比較的オープンに語ってきたリーダーの一人です。
「リーダーが自ら神経多様性について明らかにすれば、ほかの従業員も安心して声を上げられるでしょう」とデロイトは助言しています。
同社は、職場の多様性を高め、「神経多様性のある専門職人材をよりよく受け入れ、その潜在能力を最大限に生かす」ために取り組むべき、明確な3つの領域を提案しています。
まず採用プロセスを見直すことです。採用には無意識の偏見が入り込みやすく、「ニューロティピカル(定型発達)」の候補者データで訓練されたアルゴリズムが使われている場合もあります。
候補者のストレスを減らすため、面接の進め方を調整できます。たとえばマイクロソフトは、数日間にわたる採用イベントを開催し、候補者がスキルを発揮できるようにしています。
デロイトによると、企業は神経多様性のある人もない人も活躍できる文化を築く必要があります。そのためには、従業員に画一的な対応をしないことが大切です。
その代わりに、管理職は「それぞれの専門職が最も力を発揮できる働き方や、課題を最も理解しやすい方法を把握し、それに応じて自分の対応を調整する」べきです。
神経多様性のある学生を教えるある教授によると、コミュニケーションを少し工夫するだけでも大きな効果があります。その教授はデロイトに対し、「第1章を読む」「問1から8を解く」のように動詞を加えるなど、指示をより具体的にする必要があると説明しました。
メンターや相談相手を設け、特にハイブリッド勤務について柔軟性を持たせることも、生産性や定着率を高める、包摂的で支援的な文化を築く重要な方法です。
デロイトは次のように結論づけています。「神経多様性のある専門職人材に共通する配慮事項は、従来の人事慣行を変えることもありますが、最終的には、誰にとってもより良く、安全で、包摂的な職場を実現できます。」




