人材の定着や従業員の幸福度には多くの要因が関わりますが、その核心を問う一つの問いがあります。従業員の意欲は高まっていますか。モチベーションがあるからこそ、従業員は毎朝出社し、質の高い仕事に取り組み続け、期待を超える努力を重ねます。また、幸福で生産性の高いチームを築くうえでも欠かせない要素です。
しかし、経験豊富なリーダーでさえ、人々の意欲を高めることに苦労します。四六時中、周囲を鼓舞し続けるのは難しく、厳しい状況では人を動機づけることがさらに困難になります。
私はUltimate Softwareで、これを身をもって経験しました。2000年代初頭、当社は従来のオンプレミス型ソフトウェアから新しいクラウド技術へと移行し、ビジネスモデルを転換しました。振り返れば、それは会社にとって正しい決断であり、現在の成功に大きく貢献しています。しかし当時、投資家から強い懐疑の目を向けられ、株価も一時的に下落しました。
周囲からの疑問に自信を失いそうになるのは簡単ですが、私たちは自分たちの決断に確信を持っていました。決して揺らぐことなく、経営陣は楽観的な姿勢を保ち、従業員の意欲を高め続けることに意識的に取り組みました。振り返ると、あの困難な時期を乗り越えられたのは、従業員に対して誠実で透明性を保ち、創業初日から築き始めた揺るぎない企業文化を支えにできたからです。
会社の歴史上最高の四半期を迎えているときも、一時的な苦境に直面しているときも、いくつかの基本原則を思い出せば、好調なときも厳しいときもチームの意欲を保つ助けになります。
厳しいときこそ、誠実に向き合う
物事がうまくいっていないとき、その影響は会社のあらゆる階層に及び、従業員から疑問の声が上がります。そうした疑問を無視すると、不安や不信感が生まれ、従業員の意欲を損なうことがあります。
従業員と早い段階から頻繁にコミュニケーションを取り、こうした否定的な感情を防ぎましょう。大手取引先の喪失など会社全体に関わる懸念であっても、一時的な人手不足の影響を受けている特定のチームの問題であっても、従業員には会社が支えていると伝える必要があります。不安な気持ちを認め、状況に率直に向き合えば、従業員は支えられていると感じ、意欲を高め、今度は自分たちも会社を支えようという気持ちになるでしょう。
チームの結束が不可欠
経営陣から現場への誠実なコミュニケーションは重要ですが、モチベーションの責任を経営幹部だけに負わせるべきではありません。先日、全国規模の調査を実施したところ、従業員の93%が、職場で満足して働き続けるには直属の上司への信頼が不可欠だと答えました。従業員は上司を信頼していると、会社にとどまり、意欲を保つ可能性が高まります。
また、直属の部下の意欲を高める管理職の能力を測る仕組みを整えることも重要です。同じ全国調査では、管理職の71%が、チームの意欲を高める方法を知っていると考えている一方で、実際に上司がそうしていると答えた従業員は44%にとどまりました。この隔たりから、管理職が直属の部下と定期的に面談し、仕事への意欲について継続的に話し合うことがいかに重要かが分かります。
利益より人を優先する
もちろん、言うは易く行うは難しく、この原則を実践できる企業ばかりではありません。しかし優れたリーダーは、従業員のエンゲージメントと会社の成功が密接に結びついていることを理解しています。業績が低迷すると、労働時間の短縮、401(k)のマッチング拠出の制限、食事手当や出張手当などの福利厚生の削減といった即効性のある経費削減策で短期的には資金を節約できるかもしれませんが、長期的には従業員の士気を損なう可能性があります。
可能な限り、従業員に直接影響しない分野で支出を抑えましょう。会社に支えられていると従業員が感じれば、意欲とエンゲージメント、幸福度を保ちやすくなります。そして、幸福度の高い従業員は、顧客(そして株主)の幸福にもつながります。調査によると、従業員が幸福な企業は競合他社を20%上回る業績を上げ、株主にもプラスのリターンをもたらしています。
将来を心配していると、楽観的な姿勢や意欲を保つのは難しいものです。最も厳しい時期に直面したとき、私たちは従業員と事業にとって正しいことをすることに注力しました。時代は変わっても、従業員を重視する姿勢は変わっていません。人への投資を第一に考える企業文化を根づかせるよう努めれば、互いに支え合えるでしょう。結局のところ、皆が力を合わせて働いていれば、楽観的な姿勢とそれに伴う意欲を保ちやすくなります。


