米国では、パンデミックの影響により1,000万人以上の求人が埋まっていない。
この労働力不足は、従業員の期待と志向の変化を示している。
現代の職場に適した、雇用者と従業員の間の新たな契約を構築しなければならない。
かつて、マットレスの販売が始まる前であり、夏の非公式な締めくくりの行事となる前には、レイバー・デーはアメリカの仕事の価値と意味を感謝し、振り返る日であった。
現在、1,010万件の求人が埋まっていない――これは21年ぶりの高水準である――今こそ、その考え方に立ち返るときだ。今年のレイバー・デーには、アメリカの雇用者と従業員の間の契約を見直す時である。経済成長はそれにかかっている。
夏の間、ホテルやレストランの従業員は、記録的な割合で離職した――平均賃金は大幅に上昇し、1980年代初頭以来見られなかった水準の増加となったにもかかわらず。一方、製造工場は需要が急増している中でも、生産を縮小しており、コンテナ船は、労働力不足のためロングビーチとロサンゼルスの港で、積荷が満載のまま停泊している。
コールセンター、特に医療分野では、業務負荷やストレスの高まりを理由に離職者数が大幅に増加しており、「大離職(Great Resignation)」のような新たな言葉も生まれている。あらゆる職種の労働者が、自身の仕事がもたらす全体的な満足度を見直し、充実感が得られない場合には、自由に離れる選択をしている。「離職率」は今春、20年ぶりの高水準を超え、なお上昇を続けている。

これは景気循環的な動きであり、経済を刺激しようとした政府の財政支援や立ち退き猶予措置によって生じたもので、結果として労働力不足を招いたと言う人もいるだろう。しかし、刺激策が終われば、われわれの労働力の課題が解決されるわけではない。
今夏、リゾートの町や都市のほぼすべての企業に掲示された「求人中!」の張り紙は、景気循環的な動きを超えた現実、すなわち経済の構造的変化を示している。力関係は雇用者から従業員へと移行した。この変化はCOVID-19以前から進んでいたものである。多くの人にとって意外なことかもしれないが、COVID-19はその変化を加速させた。
人口減少、移民政策、技能訓練の機会、テクノロジー、そしてパンデミック中に労働者が見出した新たな柔軟性と自由が組み合わさり、力関係を雇用者から従業員へと移してきた。産業革命以前にさかのぼらなければ、このような権力の移行は見られなかった。
したがって今こそ、現代の労働力の価値について改めて深く考え、仕事に与えられる価値をどのように示すかを検討すべき時である。必要なのは新たな契約である。雇用者が賃金や安全性だけでなく、それ以上のものを念頭に置いて設計する契約である。
力関係は雇用者から従業員へと移行した。この変化はCOVID-19以前から進んでいたものである。多くの人にとって意外なことかもしれないが、COVID-19はその変化を加速させた。
Becky Frankiewicz、北米担当社長、ManpowerGroup
新たな契約が必要である
新たな契約では、職場におけるより大きな自律性と柔軟性への、ほぼ普遍的な願望を考慮に入れる必要がある。これらの恩恵は「どこからでも働ける」専門サービス職にしか得られないというのは誤解である。
例えば、より先進的な考えを持つ顧客の一社は、 「自分で勤務スケジュールを組める」制度を導入しており、応募者は週1日から5日の間で勤務日を選択できる。別の顧客は、学校の標準時間に子どもを預ける手段のある人が労働市場に参加できるよう、保護者に配慮した午前9時から午後2時までの勤務時間の導入を検討している。どちらも倉庫業の顧客である。
テクノロジーにより、スケジュール管理、シフト交代、責任分担に対して、より創造的なアプローチを採用することが可能になっており、雇用者は、人材を惹きつける柔軟な企業文化を築くために、積極的にこれを活用すべきである。
世界経済フォーラムは、仕事の未来について何をしているのか?
新たな契約では、人事業界誌の見出しを飾るための一時的な施策や目新しさにとどまらず、実践的で、使いやすく、効果的で、共感を呼ぶ恩恵に焦点を当てる。大学の学位取得プログラムを検討する雇用者は年々増えている。われわれのデータによると、従業員がそのようなプログラムへの参加を見送る最も大きな理由は、時間がないことである。新たな契約では、こうした現実を踏まえ、実効性のある「働きながら学ぶプログラム」によってそうした恩恵を提供する。また、現在の技能ミスマッチを考えると、これは雇用者が必ず成功させるべきプログラムである。
同様に、メンタルヘルスや従業員の健康増進プログラムを導入する際、雇用者は自問すべきである。これらの取り組みは単なるチェックリストを埋めるだけの作業なのか、それとも、企業が従業員の労働力に対して抱く真の関心の表れなのか。
雇用者は、従業員の仕事の内外を問わず、その生活のパートナーとなる必要がある。
Becky Frankiewicz、北米担当社長、ManpowerGroup
労働者を職場に呼び戻すためには、雇用者は従業員全体、すなわち、彼らの生活や価値観について考え始める必要がある。一日8時間の勤務や、夕食やランチのシフトに入る一個人だけを見るのではなく、全体を捉えるべきである。雇用者は、従業員の仕事の内外(対面またはオンライン)を問わず、その生活のパートナーとなる必要がある。
現代の労働力の「大いなる目覚め」――従業員がより良いワークライフバランス、より大きな柔軟性、より高い賃金を求め、個人の健康と幸福をより重視するようになっていること――は、今後も定着する文化的・経済的変化である。この新たな現実を反映した新たな契約が必要である。それは、わが国の経済と必要な長期的成長にとって正しいことである。そして、レイバー・デーの意味を考えるとき、アメリカの労働力の価値を尊重することもまた正しいことである。

